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事業計画書を見直し国の補助金獲得=群馬・高崎

 「ものづくりや経営の見直しにもつながる」―。こんな思いで中小企業庁が実施している補助金事業に挑戦し、採択を勝ち取った事業主がいます。群馬・高崎民主商工会(民商)の会員で、有限会社萩原電子システムを経営する萩原誠さん。挑戦2回目で“成功”にこぎつけたカギは「相手にわかってもらう事業計画書づくり」でした。

革新的な検査装置開発

 萩原さんが挑戦したのは、中小企業庁が13年度から実施している「ものづくり・商業・サービス革新事業」(新ものづくり補助金)。革新的な取り組みに挑戦する中小企業・小規模事業者を支援するもので、(1)成長分野型(2)一般型(3)小規模事業者型―の三つに分かれています。萩原さんは、補助上限額700万円(補助率3分の2)の小規模事業者型を選択しました。

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県の補助金で作製した機器を前に、補助金の活用を訴える萩原さん

 低価で短納期
 萩原電子システムがめざすのは「低価格・短納期の検査装置の開発」です。
 検査装置とは、例えばコピー機のスイッチを入れた時に、各部品が正常に作動するかどうかを確認するもので、自動車、家電などすべての製品・部品にとって不可欠なシステムです。専用、汎用の二つに大別されますが、専用は検査製品が変われば役に立たず、汎用は大半の製品に対応できるものの、操作が複雑で使いづらく価格も高いのが難点です。
 これに対し萩原電子システムがめざすのは、検査内容に合わせてハードとソフトを組み合わせることで、顧客の注文に応えられる汎用性の高い装置。しかも150万円という価格や2カ月という納期は従来製品の2分の1。まさに「革新的な内容」です。
 新ものづくり補助金への初挑戦は昨年5月で、事業計画書作成にかけた時間は約1カ月。「自信もありました」と萩原さん。群馬県の“ものづくり”補助金にも挑戦し、94年から09年までの間に4回申請。そのすべてが認められ計2500万円の補助金を獲得してきたからです。
 しかし結果は、不採択。気付いたのは、県と国では補助金申請の仕組みが違うことでした。専門家が直接、申請者から話を聞き取る県と違い、国の場合、申請者の事業計画書を任意に選ばれた6人の専門家に送付した上での書類審査が中心です。

 申請書見直し
 「内容が伝わらなかったのか」と考えた萩原さんは、2度目の挑戦(14年5月)に当たり、県の産業技術センター職員に相談します。返ってきたアドバイスは「開発する製品を審査員にどう分かりやすくアピールするかが、大きなポイント」というものでした。
 萩原さんは、事業計画名と計画の概要を大幅に書き換えます。初挑戦では「低価格セミカスタム検査機の試作開発」としていた計画名を、「検査対象に合わせてカスタマイズ可能な低価格・短納期の検査装置の開発」と、ユーザーサイドに立った表現に改めました(別表参照)。
 その上で、新ものづくり補助金を申請。6月末に届いた結果は「貴案件を『採択』とする」でした。

表=萩原さんが提出した事業計画書

事業計画で将来を展望

 「補助金獲得は一種のノウハウを知ることが大事。でも事業計画づくりを通じ、事業を見直し、将来を展望する意欲をつくりだすことがもっと大事」と萩原さんは言います。

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高崎民商が取り組む経営交流会で仲間と議論する萩原さん(右から2人目)

 提案型企業へ
 萩原電子システムの経営も平たんな道のりではありませんでした。リーマンショック前、1億3000万円ほどあった売り上げも、取引先の大手企業が相次いで海外に生産拠点を移したことなどによって、09年には3000万円まで激減しました。仕事の激減に加え、取引先から求められるのはコストカット。萩原さんは、従業員を維持したまま、コスト削減、提案型企業への転換を図り、なんとか経営を維持してきました。借金も重ねました。「眠れない日々も過ごした」といいます。民商や全商連の交流会や会議にも“すべて”といっていいほど出席し、経営やものづくりについて研究を続けてきました。
 「安さや効率化の追求は結局、中小企業を疲弊させ、大手だけが有利になるだけではないか」。その悩みから廃業さえ検討したこともあったといいます。
 今回の補助金申請は、経営の困難を乗り越え、「お客のニーズに応えた安くて質の高い日本のものづくりを残そう」という、新しいものづくりに向かう萩原さんの挑戦でもありました。

 商売語り合い
 高崎民商の副会長として、また経営を語り合う民商の「経営座談会」の中心メンバーの一人でもある萩原さんは言います。
 「経営が大変だった時に支えになったのは仲間の励ましでした。補助金の申請でも第三者の目で知恵をかしてくれる。暮らしを支えるものづくりと経営力アップのためにみんなと一緒に頑張っていきたい」

図=新ものづくり補助金の流れ

有限会社萩原電子システム
▽代表 萩原誠
▽住所 群馬県高崎市木部町471の1 Tel027・346・6311
▽創業 84年6月
▽業務内容 計測・検査システムの開発・設計・製作
▽取引先 日産自動車、本田技研、明電舎、三菱電機など多数

全国商工新聞(2014年9月22日付)
 
   

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