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  トップページ > 経営のページ > 経営 > 全国商工新聞 第3108号2月24日付
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店舗のBGMに著作権使用料 500平方メートル以下に一律6000円?

 日本音楽著作権協会(ジャスラック)がBGMの著作権使用料の徴収を強化しようとしています。市販のCDや音楽配信でダウンロードした音楽を店舗などの商業施設でBGMとして流す場合、二次使用としての著作権使用料を払わなければならないというものです。全国商工団体連合会(全商連)は音楽著作権を守る立場に立ちつつ、小規模事業者の営業を守るため、文化庁やジャスラックに対して使用料規定の改善を求めています。

料金規定の改善要求=全商連
5席の飲食店に「お知らせ」届く
 東京都内で2年前に開業した飲食店は店内でCDを流しています。「無音じゃ寂しいし、私も音楽が大好きなので、BGMが流れていた方が仕事もはかどり、リラックスできる」と話します。
 開業当時、ジャスラックから著作権使用料の支払いについて「お知らせ」が届きましたが、そのままになっていました。「音楽家の著作権を守ることは大事なことだと思う。ただ、うちの店はカウンターが5席とテーブルが一つの小さなお店なので、負担能力に応じて著作権使用料を徴収してほしい」と古内さんは訴えます。
 ジャスラックが規定している著作権使用料は表のとおりです。店舗面積を6区分に分けて年間の著作権使用料を定めています。500平方メートル以下(約151坪)の店舗の使用料は年間6000円です。全商連はこの間、文化庁に申し入れをし、(1)著作権使用料の徴収はBGMの利用によって利益が伴うと考えられる商業施設に限ること(2)著作権使用規定は利用者・国民の合意が得られるように改善すること(3)建築基準法の用途規制により住宅地でも一定の店舗が建てられる150平方メートル以下の店舗は免除にする ― ことを要望しました。
 著作権法ではCDなどの複製は「個人的に又は家庭内その他これに準じる限られた範囲内において使用する」(30条第1項)場合は著作権保護の対象にはなっていません。150平方メートル以下の小さな店舗が「限られた範囲」に当たらないのか、と免除を求める声が広がっています。
 庁側は「著作権管理事業者の届け出は許可制から届出制に変わったので、ジャスラックを指導するのが難しくなった」としつつも「500平方メートルが最低ラインというのはどうなのか」と要望に理解を示しました。
 さらに申し入れでは著作権保護の対象が問題になりました。著作権法では著作者は音楽などの著作物を公衆に直接見せる、または聞かせることを目的として上演や演奏をする場合、著作権が保護されます(22条)。この条文をもとに文化庁は店舗で音楽を流す場合、著作権使用料を払わなければならないと主張しています。
 問題は「BGMを流した方が、仕事がはかどる」「無音じゃ寂しい」ということが「公衆に聞かせる」行為なのか、ということです。申し入れでは「聞かせる目的ではない私的利用の範囲までがBGMだと著作権保護の対象になるのは、『文化の発展』を目的とする著作権法の趣旨から逸脱するばかりかその妨げになる」と強調しましたが、庁側は「問題点はジャスラックに伝える」との回答にとどまりました。
 ジャスラックは3日、BGMの利用状況を確認するためのアンケート調査書をすでに発送。なぜ、ここにきて著作権使用料徴収の動きを強めているのでしょうか。

表:BGM料金表

一般商業施設も新規契約の対象
 元々CDやテープなどの録音物は、ディスコやダンスホール、音楽喫茶など音楽が主要な営業施設を除いて自由にBGMとして使用することができました。
 それが変わったのはジャスラックなどの働きかけを受けて著作権法が99年に「改正」され、同法付則第14条が廃止されてから。02年4月から一般の商業施設のBGMにも著作権が及ぶようになりました。当時、ジャスラックはその管理対象がおよそ120万軒とし、その内90%が有線放送を利用していると試算。元栓管理(有線放送事業者から徴収すること)で済ませました。
 ところが、その後、有線放送の契約を解約してCDなどを使ってBGMを流す店舗が増え、02年度に99%だった有線放送の利用率が57%(12年度)までに減少()。そのため、ジャスラックは店舗ごとに新たな契約を結んで著作権使用料の徴収強化に乗り出そうとしているのです。
 徴収した著作権料が著作者にきちんと届くのかとの声に、ジャスラックは有線放送音楽事業者のデータなどを参考に著作権料を分配するとしていますが、その方法の合理性にも疑問が残ります。

図:BGM管理状況の変化

対応のポイントは
免除規定を設けるべき
全商連常任理事 勝部志郎さん

 ジャスラックの利用状況を確認するアンケートでBGMを利用していると答えた業者には、ジャスラックは利用許諾の手続きを行うように求めてくるでしょう。しかし、著作権法第38条では「著作物は、営利を目的とせず、かつ、聴衆又は観衆から料金を受けない場合には、公に上演し、演奏し、上映し、又は口述することができる」としているように、「営利を目的」としない場合には利用許諾の申込みを不要としています。営利目的でない私的な利用は当然できるわけですから、よく事業の実態を踏まえ回答する必要があります。
 全商連としては小規模事業所の免除規定を設けるように今後、ジャスラックなどと協議していきます。

負担能力に配慮が必要
全商連常任理事 岩下幸夫さん=スナック

 全商連は音楽著作権を守る立場を一貫して鮮明にしています。同時にジャスラックが音楽著作権使用料を徴収する場合、強引なやり方ではなく、小規模事業者の負担能力に十分配慮することなどを要望しています。
 90年代後半、ジャスラックがそれまで対象外だった5坪以下の店からカラオケ著作権を徴収しようとしたとき、全国で大きな怒りが起きました。突然、同協会の職員が店にやってきてお客がいるにもかかわらず坪数を測り契約を迫る。過去にさかのぼって100万、200万円の法外な使用料を請求する ― など到底納得できない強権的なやり方が横行したからです。全商連は文化庁に改善を申し入れ、96年1月からの5坪以下の店からの徴収を見送らせました。
 全商連は、社会的合意が得られるような徴収の在り方を求めます。

 * * *

ジャスラックとは
 主に音楽著作権の管理を行う社団法人。作詞者や作曲者、音楽出版者などの会員・委託者から音楽著作権の管理についての信託を受け、放送局やコンサート主催者などの著作物利用者から使用料を徴収している。使用料は会員・委託者に定期的に分配している。

全国商工新聞(2014年2月24日付)
 
   

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