新規開業をとことん支援 悩んだときは民商に相談!
開業届けはどうしたらいいのか、融資を申し込むには、お客は集まるのか…。起業・開業は、商売を始めることへの期待とともに、さまざまな不安が付き物。でもお任せください。商売人の集まりである全国各地の民主商工会(民商)は「ワンストップ相談」の窓口。各種手続きから、融資、記帳・税金、経営までなんでも相談できる強い味方です。
業者仲間が知恵発揮 神奈川・鎌倉民商の要求検討会 若林重利会長語る
でも民商の会員は、みんな起業を経験してきたベテラン。しかもさまざまな商売をしている業者の集まりですから、知恵も経験もアイデアもあるところなんですね。
事務局だけでなく、業者である役員が相談に乗ることで、その経験が大いに発揮できる。新規の事業者にとって、参考や力になることがいっぱいあります。
要求検討会で
鎌倉民商では「要求検討会」をつくり、ベテラン事業者にも加わってもらい、新規開業者の要望や不安に応える活動をしています。事業計画書をつくるときもそうですが、大事なことは「まず自分で考える」ということです。
「なぜこの事業をするのか」から始まり、返済計画まで考えてもらう。そして役員らが集まってその妥当性なども検討しています。あくまでもその事業主が主体で、私たちはサポートをするわけです。
それによって開業者の意識も高まり、自分の持っている知識を最大限に発揮し、事業計画が出来上がります。具体的に書かれていれば、融資を受けるときにも金融機関の担当者にしっかりと伝わります。また、自分の店の“売り”(セールスポイント)がなんであるのか、同業他店との違いもはっきりしてくるのではないでしょうか。
会員同士が、集まって話し合うことは、新規開業のときはもちろん、商売を続けていく上でも心強い支えになります。
開業の不安もすくに解消
「相談したら、すぐ行動してくれるのが民商です」―。さいたま市内で6月、飲食店をオープンした夫妻。10月に浦和民商に入会、開業までのサポートを受け、いまは融資獲得に向け民商と一緒に挑戦する日々です。
都内の韓国料理店で10年余りにわたり調理していた経験を生かし、独立を考えました。料理には定評があったものの、開業に関する知識はまったくありませんでした。
「実は店舗さえ構えれば開業できると思っていたんですよ」と夫は言います。
店の内装を任せていた長男に、「保健所と消防署から許認可を受けないと開業できない」と言われ、許可を受けるために火の元から配管、消火器、避難誘導標識の設置などをクリアしなくてはいけないことを知りました。
準備に奔走し
許認可がおり、オープンしたものの、割り箸やおしぼり、酒の仕入れ先なども準備しておらず、夫が都内の問屋街を走る日々が続きました。
メニューの価格も都内と同じ値段で設定したところ「ランチで1000円以上は高いよ」「店の外にメニューを出した方がよい」など客からアドバイスを受けるほど。その度に「商売は大変だ」と思い知らされました。
右も左も分からず不安が募るばかり。そんなとき目にしたのが、店の入り口に置かれていた「中小企業を応援します・ようこそ民商へ」のパンフレットでした。
パンフを開くと「パソコン会計はじめませんか」「資金繰りは中小企業の命綱」「経営のこと、なんでも相談できます」の言葉が目に飛び込んできました。
民商の名前を知っていた夫はすぐに「開業したが、経営のことで頭を抱えている」と連絡を入れました。
数日後、浦和民商の松本安映事務局長が訪問。「税務署と埼玉県に開業届けは出しましたか」と聞かれ、夫妻は「それは何ですか。出さなくてはいけない書類ですか」と言葉に詰まりました。
松本事務局長は「届けを出さないと申告書が送られてこないし、公的な融資を受けるときに開業した証明にもなる」と丁寧に説明。すぐに一緒に書類を作成し、開業届けを提出しました。
集客のためにも、宣伝を強化したいと考えている美幸さん。埼玉県の制度融資「独立開業貸付」を活用することを決め、民商に相談しながら試算表と事業計画を作成しています。
行動力に信頼
「たくさんの人からアドバイスを受けるが、相談してすぐに行動に移してくれる民商や知人が一番信頼できる」と話す妻。
パソコン会計にも必死で取り組んでいます。また、融資が実現したら、ホームページやチラシで宣伝を強め、メニューも増やす計画です。
民商婦人部で韓国料理の教室を開いたり、小集会の会場として店を使ってもらうことも視野に入れていると話す妻。「本当にゼロからの出発でした。民商やみんなのおかげ。これから勉強してもっと頑張っていきたい」と笑顔を見せました。
資金も店舗も仕入先も民商が丸ごとサポート 広島・福山民商 ラーメン開業応援ビラ
広島・福山民商が作成した「ラーメン店開業」のためのサポートビラ。開業資金の調達をはじめ、店舗探し、内・外装、味づくりなどに至るまで、どんなサポートができるか、を明記。不動産、建設、精肉、食料品、看板などの業者が集まっている民商だからこそ「とことん」サポートできる、とアピールしています。
開業に必要な資金 活用しよう公的融資
新たに事業を始める人のために、日本政策金融公庫や都道府県・市町村は、開業のための制度融資を実施しています。各種の補助金制度(返済不要)をつくっている自治体もあります。
例えば、神奈川県をみると、県のほかに横浜市、川崎市などにも制度融資があります。表2はその一部です。
融資を受けたら返済が始まります。経営の状況をよく見て据え置き期間を有効に活用することも大切です。
融資の条件や要件は業種によって異なります。また、提出に必要な書類も違いますので、詳細は各自治体などのホームページで確認してください。
意外と知らない手続きも なんでも相談を 民商がすべて解決
▼許可の取得
開業にあたって許可が必要な業種があります。該当する場合は、必要な資格や営業許可の取得、官公署や都道府県などへの登録が必要です。
▼会社設立
法人で事業を始める場合は、会社の商号、所在地、目的(事業内容)などを定めた定款の認証を公証役場で受け、必要書類を整えて本店所在地の法務局に設立登記を行います。
▼開業届け
営業を始める際には、その店舗や事務所のある自治体と税務署に開業届けが必要です。青色申告を選択する場合は、その届け出を税務署に行います。
▼労働保険
民商には労働保険事務組合があり、事業主本人も加入できる「特別加入」にも対応できます。
▼店舗探しからメニュー作りまで
民商には経験豊富な異業種の経営者がたくさんいます。法人設立や許可の取得、開業資金の確保、税金・記帳・決算、社会保険の加入をはじめ、店舗や事務所探し、店の内外装、宣伝物やメニューの作成、器具や備品の調達、仕入れ先の紹介など、起業をサポートし、開業後の悩みにもしっかり応えています。
▼経験交流や仕事確保も
異業種交流会や商工フェアで経験を交流し、技術や商品に磨きをかけています。
料飲オリエンテーリングや住宅リフォーム助成制度の活用など、地域経済の活性化と仕事や顧客確保にも力を合わせています。
▼弁護士、税理士などの専門家による無料相談も
民商では弁護士、税理士、司法書士など専門家を招いた無料相談会も開催しています。
開業関連データ
全国商工新聞(2012年11月5日付) |