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  トップページ > 業種のページ > 料理・飲食 > 全国商工新聞 第3173号6月22日付
相談は民商へ
 
 
業種 料理・飲食
 

民商発 夜オリで街を元気に

 民主商工会(民商)では、夜の飲食店街に活気をもたらすオリエンテーリングに取り組んでいます。まだ始めたばかりの民商から10年以上継続している民商まで、全国で「地域ににぎわいを」「料飲業者を励まそう」と、地域住民に喜ばれる工夫をこらし、料飲店にやる気と元気を広げています。

まるでミステリーツアー “夜オリ”リポート=東京・北区
 「夜オリは、どきどきのミステリーツアー!地域の人やお店との出会い、交流が楽しくて」―。本紙随想欄でおなじみの和文化スタイリストで利き酒師の如月まみさんが4日、東京・北区民主商工会(民商)の「夜のオリエンテーリング」(藤ノ木宏之実行委員長)に参加。夜オリの魅力をリポートし、読者の皆さんをにぎわいの場へとご案内します。

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「集っこ」店長の賢さんが次の店に案内してくれました

 北区王子の「夜のオリエンテーリング」に初めて参加しました。「おっかなびっくり」で始まりましたが、とても面白く、思い出に残る一夜となりました。
 当日はJR王子駅前三角公園に7時に集合。スタート前の抽選会は地元飲食店の食事券やビール券など、当たりの本数が多くて、くじ運のない私もちょっとワクワク。

驚きのルール
 夜オリの説明を受けると、「指定された3店を順番通りに回ること」「最後の店は21時30分までに入店」などルールがいっぱい。一番驚いたのは、3〜4人チームで回るため、知らない人とチームを組むこと。
 「決まりごとが多くて大変だなあ」「どんな店を回るのだろう」。ちょっと不安でしたが、参加店舗側にロスが出ないようにすること、店を知ってもらってリピート客を増やすことへの配慮だそうです。なるほどなあ。地域の活性化のためにきちんと取り組むイベントなのですね。

地図を片手に
 さて、早速地図を見ながら1軒目「集っこ」をめざして出発。王子はかつて利き酒師の認定資格取得試験を受けた場所。懐かしく思い出しながら歩きました。
 小さなお店が集まる小路を通って到着。一緒に回る2人組との対面です。ドキドキしましたが、「こんばんは!」。かわいいい女の子2人組で、ホッとひと安心。基本同性同士で組をつくり、年齢によってお店やコースなども配慮してるとのこと。よく考えられてますね。
 互いに自己紹介。近くの製紙会社に勤めるなっちゃんと、かなちゃんです。前回は既にチケット完売で、「今回こそ」とまめに情報をチェックしていたそうです。
 すぐに会話が盛り上がりました。

地酒を追加し
 「集っこ」の夜オリメニューは「すじじゃが」「おでん盛り合わせ」「キャベツコンブ」から1品、ドリンクは500円以下から選びます。レモンサワーを頼むと、これが冷たくてすっぱすぎずおいしい。お通しのコールスローや煮物も絶品です。
 開業して6年目、家族で経営する店長の平田賢さんと母親の眞理子さんとも話が弾みました。店のメニューは、家庭料理そのままとのこと。「おいしい地酒もありますよ」と勧められて、三重県のお酒を追加注文。利き酒師をしている賢さんが好みを聞いて選んでくれました。
 あっと言う間に時間。後ろ髪を引かれましたが「また来ます」と店を後にしました。

2軒目も完食
 2軒目は7分ほど歩いたところにある「いっぱいいっぱい」。「集っこ」さんが途中まで送ってくれました。
 店に着くと、テーブルの上には、ナス、玉ネギ、鶏肉、シイタケ、ウズラの卵の串揚げとキャベツ。ドリンクは生ビールか、セルフで焼酎飲み放題です。根本亮さんが営む家庭的な雰囲気の店で、隣の席の夜オリ参加の女性4人ともいつの間にかおしゃべり。串揚げはどれもとってもおいしくてペロリと完食しました。

3軒目に到着
 わいわいと街歩きを楽しみながら3軒目の「半人前」に到着。メニューは「ゴルゴンゾーラのポテトサラダ・鶏の煮込み・クロツブ貝の煮物」のプレートです。店長の奥康太さんが店を始めるときに、「絶対これだけはメニューに入れる」と決めていた自慢の品だそう。「生まれも育ちも北区。みんなに支えられてなんとかやってる」と話す奥さん。まさに「地元の飲み屋」ですね。家に帰る前にちょっと寄れる場所があるっていいな。
 最後はそば茶ハイで乾杯。なっちゃん、かなちゃんは「めっちゃ楽しかった! またゆっくり行きたい店も多くて、これで3300円は幸せ」と満面の笑み。知らない人や行ったことのない店との“意外”な出会いを楽しめるのが人気の理由かもしれません。

魅力を実感
 どのお店も質、量、サービスともに予算以上のパフォーマンスでした。通常営業も合わせてこなせ、かつ夜オリ参加者が満足しアピールできる方法、メニューがよく考えられていると感心しました。
 終わってみると本当に楽しかった夜オリ。「おっかなびっくりのミステリーツアー」には、地域に住む人、働く人を結びつける魅力や新しさがありました。

 * * *

▽北区民商の「夜のオリエンテーリング」
 3年前から開始し、今回で14回目。王子・赤羽・十条の3カ所で順番に年3回開き、今回は30店舗、240人が参加。参加費は3300円で、3〜4人のグループで指定された3軒をはしごする。

▽如月まみさんプロフィル
 テレビ、雑誌で着物コーディネーターとして活躍。小唄、端唄、三味線のライブ活動をしながら「着物と酒場」「着物と三味線」の見せ方を提唱。利き酒師。2013年1月「酒場のおんな」出版。6月、東京・神田に和食屋「神田錦町 如月」をオープン。

地域の住民に愛されて1000人参加の大イベント=長野・飯田
 長野・飯田民商が年2回取り組むオリエンテーリング(夜オリ)は毎回約1000人の住民、100店が参加する地域の一大イベントに発展しています。どんな人たちがどんな気持ちで関わっているのか、また、開催までの準備やリピーターを増やす工夫など具体的な取り組みの内容を紹介します。

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大いに盛り上がった飯田民商夜オリ参加者

 5月14日(木)、夜オリ当日の飯田のまちは静かな高揚感に包まれていました。開始時間からさかのぼること4時間。電器店では「お客さんが今日は夜オリだから半休とったって張り切ってましたよ」と女性店員。タクシー乗務員は「今夜はにぎやかになるからうれしい。民商さんが企画してくれて助かるわ」。
 16時、集合会場には「雨が降らなくてよかったね」とほっとした顔で、民商副会長で実行委員長の坂下一明さんらがスタンバイ。テントや看板設置を進めていました。
 18時、受付を開始すると「あれ久しぶり」「そんなことない、夜オリで年に2回は会っとるら」と会場はどんどんにぎやかに。受付でお客さんにコース表を渡しているのは、市内の会社で営業をしている篠田欽一さん。もともと参加者の一人でしたが、「面白そう」と実行委員を手伝うようになったといいます。
 この日、中央公園に詰めかけたのは950人。初参加の女性は「飯田にこんなに人がいたの」とびっくり顔です。飯田市の人口は10万人なので、全住民の100人に一人が参加したことに。参加店数は開催地域の約20%に当たります。
 「さあ、いよいよ始まりますよ!」。開会式の司会を務める黒河内健太郎さんの声がスピーカーから流れ、ステージには着ぐるみを来た若者たちが登場。病院に勤める黒河内さんは実行委員からヘッドハンティングされ、3回前から司会になったそうです。
 市の後援も8年目で、市長からもメッセージが。「早く飲みに行きたい」とボルテージが上がる中、19時の「スタート」の掛け声で、参加者が公園の外にどっと流れ出しました。
 地図を片手にした人たちが街を行き交い、お祭りのようなにぎやかさに。「参加店」のポスターが貼られたバーのドアを開けると、店内いっぱいに軽快な音楽が流れる中、店長が4本のボトルをジャグリングしてカクテルを作るパフォーマンス。若い女性たちが手拍子をしながら歓声を上げています。
 焼き肉店「ろくなもんじゃねえ」では店長の金田良一さんが、煙の中で汗をかきながら、焼き肉盛り合わせで参加者を迎え、焼き鳥屋のマスターは「ここで商売やって頑張ってるよって知ってほしい。客に来てもらうのが商売の楽しみだから」と腕を振るっていました。
 飯田産のジューシーなアスパラ肉巻きが提供された串焼き店では仕事仲間と参加した榊原かおりさんが笑顔に。スナックでは「初めてだけど、未知との遭遇ってかんじ」と26歳の女性。「うまいこと言う」と仲間と盛り上がっていました。
 9時になり、ほろ酔いの参加者約600人が中央公園に再集合。飲食券1万円などの賞品が当たる大抽選会です。アサヒビールやキリンビールなど協賛会社の人たちも登壇。キリンビールマーケティングの村井泰人営業部長がクジを引き始めると、「当たれ当たれ」と参加者がステージににじりよります。1万円が当たった公務員の男性グループは「次の店はもう決めてある」とにっこり。ハズレた人も「さあ、今夜はもう一軒行くぞ」と夜の街に消えていきました。

個人店の良さ満喫 いいとこ夜の路地裏探索隊=埼玉・所沢

 埼玉・所沢民商は5月24日、夜のオリエンテーリング「いいとこ夜の路地裏探検隊!」を開催し、34店248人が参加しました。7回を迎えたとあって、「探検隊」は所沢市も後援するイベントとして定着。これまでの平日開催から日曜日開催に変更したこともあって、これまでと違うお客さんが集まり、夜の所沢を満喫しました。
 「探検隊」は1人3500円の前売り券を購入し、指定された3軒の飲食店をグループで巡り、チェーン店ではない個人飲食店の良さを知ってもらう企画です。
 日曜日開催を決めたものの、休みのお店も多く、参加店集めに苦労しましたが「民商さんのためなら、その日は開けますよ」と話す店も。お客集めにも工夫を凝らし、「所沢のまちおこしのイベントです」と説明しながら、商店街や大通り沿いのお店にポスターを貼らせてもらったり、タワーマンションのロビーにも置かせてもらうなど、今までとは違う層へのPRに力を入れました。
 実行委員会でも「お店へのリピート客につなげるにはどうしたらいいか」「1日限りのイベントにさせないにはどうしたらいいか」など活発に議論し、夜オリ当日に配る飲食店マップ裏面に参加店広告を載せることを決定。参加店との相談の上、「1ドリンク無料」「お通しプレゼント」「カラオケ歌い放題」といったサービスやぜひ食べてほしい料理、宴会・イベント案内などを、写真とともに自由に掲載しました。「チケット販売に力及ばず申し訳ない」という気持ちから、メンチカツ1枚サービスや、ボトル半額といった思い切ったサービスを提案してくれる参加店もいました。
 常連の参加者や地元企業から「日曜日は難しい」との声が出たこともあって、民商役員を中心に駅頭で数回にわたり、お知らせビラを配布。「このイベントを初めて知った」とその場でチケットを購入してくれた人もいました。また「お店は休みだけど、お客さんとお店の外で楽しむ良い機会」「他店を利用して経営の勉強になれば」と、これまでの参加店のママさん数人が常連さんを引き連れて参加してくれました。
 お楽しみ抽選会の当たり券を1000円券から2000円券へとグレードアップしたこともあって、夜オリ当日は、当選者の喜びの声もアップ。参加者からは「非日常を楽しめて良かった。ランチでもぜひ利用したい」「親子で参加してとても楽しめた。今度は友人と参加したい」などの声が上がり、アンケートでも、「よく知っているつもりの街だったが、知らない店ばかりで裏路地散策にワクワクした」「頑張っている個人店がこんなにあったのかと再発見できた」などの感想が寄せられました。
 初参加の店舗からも「お店を知ってもらえる良い機会になった」と次回の参加を望む声が上がりました。
 民商では「課題はまだあるが、より良いイベントになるよう研究を重ねていきたい」と話し合っています。

料理や衣装を工夫 深夜までにぎわい=新潟・新津

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ママとの会話も弾んだ新津民商の夜のオリエンテーリング

 新潟・新津民商は5月27日、五泉市内で2回目となる「五泉夜の街オリエンテーリング」を開催しました。会内外から初参加の10店を含め、昨年を上回る22店、191人が参加。五泉市も初めて後援し、五泉の夜の街に活気をもたらしました。
 五泉の夜オリは3000円のチケットを購入し、4人1組(1人でもOK)で3店舗を回るもの。
 午後7時過ぎ、大橋誠一実行委員長(新津民商副会長)が「今年は参加店も増えました。大いに楽しんでください」とあいさつ。参加者はいっせいに夜の街に繰り出しました。
 オリジナル料理が売りの店は「追加注文が利益になるので、短時間で提供できるイベント用メニューを作った」「猪汁や鯨汁など珍しい料理を提供」などの挑戦も。この日に備えスタッフを増員をしたり、おそろいのチャイナ服で出迎えるなど、各店それぞれが創意工夫をしておもてなし。新しい店の発見や仲間との交流、ママとの会話も弾み、「乾杯」の声が響きました。
 1人で初参加した青年は「行く店々で、周りの参加者が声を掛けてくれて楽しかった」と大喜び。「やっぱり面白かった。次も楽しみにしてます」などの感想も聞かれました。
 午後9時過ぎに始まった抽せん会は夜オリのハイライト。1等は5000円の食事券(3枚)。参加全店からボトル券や飲食券など160本以上もの景品が出され、当選が出るたびに歓声が上がりました。終了後は、当選券をもって再び夜の街へ。運転代行車1時間待ちの“延長戦”は、深夜まで盛り上がりをみせました。
 実行委員会は、一昨年11月の準備会をスタートに計7回の会議と何度も訪問行動を重ね準備してきました。参加店募集では、昨年の様子も交えながら話をすると「昨年のにぎわいは話題になっていた」など新たに10店が参加することに。
 1カ月ほど前に開いた出店者会議では、前回参加の店主が「平日夜に200人もの人が集まってくるなんてすごいことだ。決まった時間に決まったお金が入るし、精いっぱいのサービスをしてお客さんにお祭りとして楽しんでもらいたい」と語りかけ、他の民商の夜オリの写真を見たり、メニューについても意見を交わしました。
 民商は「参加者をもっと増やすには、お店同士の横のつながりを強め、自分たちのイベントとして関わってもらうことが大事。そのための工夫を重ねていきたい」としています。

見知らぬ人同士で「乾杯」の声響かせ 酒場サーフィン=東京・足立西

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足立西民商の夜オリは初開催。「また絶対にやってほしい」と好評でした

 東京・足立西民商は5月21日、夜のオリエンテーリング「酒場サーフィン」を初めて開催しました。商店街の経営対策、地域活性化イベントの目玉企画として取り組んだもので15店、95人が参加。夜の街に元気の波が広がりました。
 「酒場サーフィン」は、1人3000円の参加券を購入し、3〜4人がグループとなって3軒の店をはしごするもの。
 集合場所となった西新井さかえ公園は、初めてのイベントとあって、どの顔ぶれも興味津々です。参加者の期待と熱気に包まれました。
 永井正美実行委員長(足立西民商副会長)が「大いに楽しんでください」とあいさつ。参加者は関原の夜の街に繰り出しました。
 参加店はスナック、中華料理店、カフェ、メキシコ料理、家庭料理と多彩で、15店中11店が会外の店。飲み放題あり、出血サービスありの大盤振る舞いも。店に入れば見知らぬ参加者同士が「乾杯」の声を響かせ、会話も弾んで、おいしい料理に舌鼓を打ちました。
 地域住民に一度お店に足を運んでもらいたいというお店の要望から始まった「酒場サーフィン」。実行委員会はイベントを成功させようと、商店街50軒を訪問。ビラも1万枚作り、商店街や団体にも直接届け、ショッピングモール前では、サーフボードとともに宣伝するなど、区民の注目を集めました。
 参加店からは「今までは常連さんだけだったけど、新しいお客さんが次から次に来てくれてうれしかった」などの声が寄せられ、参加者からも「おいしい料理が食べられて楽しかった。また絶対やってほしい」などの感想が出されました。
 実行委員会は「新しい民商の姿を知らせることができた。2回目、3回目も検討しぜひ実現したい」と話しています。

宣伝、運営に一工夫 多彩なグッズ
フライヤー

フライヤー

 郵便局や参加店舗などに置いてもらい宣伝

コース表

コース表

 左側が店舗名、右側にスタンプと感想を書くようになっており、抽選会場で右側を回収し、抽選に使用する仕組み

参加証

参加証

 服に貼るタイプの布シール。毎回色が異なり、集めて店に貼っている参加店も

チケット

チケット

 店数×10枚+余分数を印刷。参加チケットは「オリメン」から先行発売。1人何枚でも買えますが、民商の事務所か実行委員、参加店舗が販売。販売割合はオリメン4割、実行委員3割、参加店舗1割

参加店募集用チラシ

 2カ月前に開催地域に一斉にポストイン。企画趣旨やルールなどを明記。そのままFAXで申し込める。

マップ

 お店の一言紹介入り。今年は「クーポン」としての役割も持たせ、夜オリ終了後マップを持ってクーポン対象店舗に行くとサービスが受けられる。A2判(新聞大)

オリメール

 「オリメン」(オリエンテーリング・メンバー・500人)へ、2カ月前から週に一度、参加店舗やチケット情報、豆知識などをメールで配信。「口コミには限界がある。お金をかけない拡散ツールはないか」と横前彰人民商副会長の発案で09年から開始。メールを通して要望が来たり、一般の人たちと直接つながることができ、リピーター確保にもつながっている。

全国商工新聞(2015年6月22日付)
 
   

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