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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3285号10月23日付
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完全賠償めざして 4年半のたたかい確信

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「国、東電の責任を認めた大きな勝利」とバンザイする報告集会参加者

 東京電力福島第1原発事故の被害者約3800人が国、東電を相手に原状回復と損害賠償を求めた生業訴訟(中島孝団長)の判決が10日、福島地裁(金沢秀樹裁判長)でありました。金沢裁判長は「事故は回避できた」「津波を予見できたのに対策を怠った」と、国、東電の法的責任を認定。原告約2900人に総額5億円を支払うよう命じました。被害救済では国の「中間指針」に基づく賠償の対象地域を拡大し、賠償金についても上積みを認めるなど、救済対象を広げるものとなりました。

 「勝ったぞ」-。10日午後2時過ぎ、福島地裁前に「国と東電断罪」「被害救済広げる」の旗が掲げられると、1000人を超える原告、支援者の間で大きな歓声が上がりました。4年半を超えるたたかいを振り返り涙ぐむ原告も。二度と事故を繰り返さないの思いは「再稼働反対」のコールとなって、福島の空に広がりました。

国、東電の責任 はっきり認める

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判決報告集会で「全員救済の足がかりとなる判決」と語った中島孝団長(右から3人目)

 判決は、国、東電の責任を認めるとともに、被害者への権利侵害を認め、国の「中間指針」を上回る被害救済を認めました。
 中島孝原告団長は「国、東電の責任をはっきり認める判決。賠償の範囲、金額も不十分さはあるが、被害者全体の救済を進める上で大きな足掛かりだ」と力を込めました。
 判決を傍聴した宮城・仙南民商の小室ひとみさんは「大きな成果。でも宮城県は賠償が認められなかった。悲しいし、悔しい。今度はもっと大きな原告団をつくりたい」と決意。帰還困難区域の浪江町から伊達市に避難している石井啓輔さん=農業=は「長男夫妻、孫たちと別れてもう6年半。家に帰るすべもない。国、東電には元の福島に返せ、一生面倒を見ろといいたい」と怒りをにじませました。高橋政勝・福島民商副会長は「事故当時のことをいろいろ思い出した。原告の気持ちを分かってくれた真っ当な判決だと思う」と語ってくれました。
 生業訴訟の原告は第二陣も含め4200人。その半数近くを民商会員が占めています。

民商の賠償請求 裁判闘争に発展
 その出発点となったのが、事故直後から進められた賠償請求運動でした。
 民商・全商連、自由法曹団、税経新人会の税理士が、各地で相談会を開催。その数、数千人に上りました。
 事故から半年後の2011年10月には、三者で「福島原発被害・完全賠償請求中小業者連絡会」(完全賠償連絡会)を結成、同日発足したのが「『生業を返せ、地域を返せ!』福島原発事故被害弁護団」でした。
 生業訴訟は、民商・全商連、弁護士、税理士が一体となった賠償請求運動の中で誕生したのです。
 事故から3年後の3月11日、原告800人で福島地裁に提訴。14年には約4000人の原告団に広がりました。多くの文化人も支援を表明、活動の幅は日本国内だけでなく、「フクシマ」の経験を学ぼうと海外からも招待を受けるまでになっています。
 その一方、賠償の打ち切り、被害の切り捨てが進行。安倍政権下では、「二度と事故は起こさせない」の願いを踏みにじり、原発再稼働へ大きく舵を切りました。
 それだけに「津波は予見できた。事故は回避できた」とした判決は、原発再稼働への、司法からの警告でもあります。被害の実態を無視した賠償の打ち切り、切り捨てへのブレーキとなるものです。

営業の損害でも指針突破できる
 判決前に行われた原告団・弁護団・支援者によるデモ行進では、歩いている市民や商店主が手を振り、声を掛ける姿もありました。
 「この裁判は孤立した裁判ではない。多くの福島県民の支援を受けた裁判」と語るデモ行進者。全国各地の支援者も駆け付けました。
 事故当初から福島に通い、賠償請求運動に関わってきた民商役員はいいます。
 「判決は賠償についても『中間指針』を超えるものを認定した。つまり、営業損害でも指針を突破できるということだ。この判決を学ぼう。みんなに知らせよう。そしてもっと多くの原告を募り、声を上げていこう」

福島地裁 判決の要旨
 東京電力福島第1原発事故の生業訴訟で、10日に出された福島地裁判決の要旨は以下の通り。

◇   ◇

 【原状回復請求】
 空間線量率を事故前の値である毎時0・04マイクロシーベルト以下にという原告の請求は、国と東電に求める作為の内容が特定されていないから不適法である。
 【津波対策に関する予見可能性】
 文部科学省地震調査研究推進本部地震調査委員会が2002年7月に作成した「三陸沖から房総沖にかけての地震活動の長期評価について」(長期評価)は、「規制権限の行使を義務付ける程度に客観的かつ合理的根拠を有する知見」であり、その信頼性を疑うべき事情は存在しない。
 国は長期評価に基づき直ちにシミュレーションを実施していれば、08年4月に東電が試算したとおり、福島第1原発敷地南側において最大15.7メートルの津波を予見できた。
 【津波対策に関する回避可能性】
 福島第1原発1〜4号機の非常用電源設備は、15.7メートルの津波に対する安全性を欠いており、政府の技術基準に適合しない状態となっていた。経産大臣は「長期評価」公表後の02年12月末ごろまでに、東電に対し、非常用電源設備を技術基準に適合させるよう行政指導を行い、東電が応じない場合、電気事業法40条の技術基準適合命令を発する規制権限を行使すべきだった。
 【結果回避可能性】
 国が02年末までに規制権限を行使し、安全性の確保を東電に命じていれば、東電はタービン建屋等や重要機器室の水密化の措置を取っていたであろうと認められ、そうした措置をとっていれば、全交流電源喪失による事故は回避可能だった。
 【国、東電の責任】 経産大臣は電気事業法40条の技術基準適合命令を発することが可能であったにもかかわらず、その権限を行使しなかったのは、許容される限度を逸脱して著しく合理性を欠いていたと認められる。国は国家賠償法に基づく賠償責任を負う。
 東電は、予見可能な津波対策を怠った結果、事故に至った。過失があると言えるが、故意や重過失までは認められない。
 原子炉施設の安全性を確保する責任は第一次的には、原子力事業者にあり、国の責任はこれを監督する第二次的なものにとどまる。国が規制権限不行使により国賠法上の責任を負う場合でも、その責任の範囲は、東電の2分の1と認めるのが相当。
 【平穏生活権侵害に基づく損害賠償請求】
 原告らが賠償を受領したか否かを問わず「中間指針等による賠償額」を超える損害が認められるか否かを判断する。
 人は選択した生活の本拠において平穏な生活を営む権利を有する。平穏な生活には、生活の本拠に生まれ、育ち、職業を選択して生業を営み、家族、生活環境、地域コミュニティーとの関わりにおいて人格を形成し、幸福を追求してゆくという、人の全人格的な生活が広く含まれる。
 放射性物質による居住地の汚染が社会通念上、受忍すべき限度を超えた平穏生活権侵害となるか否かは、侵害行為の態様、侵害の程度、公共性・公益などを総合的に考慮して判断すべき。
 帰還困難区域の旧居住者が受けた損害は「中間指針等(国の中間指針と東電の自主賠償基準)による賠償額」である360万円を超える損害として20万円を認める。双葉町の避難指示解除準備区域でも同様。
 居住制限区域、避難指示解除準備区域、旧特定避難勧奨地点、旧緊急時避難準備区域は、中間指針等による賠償額を超える損害は認められない。
 旧一時避難要請区域は、中間指針等による賠償額を超える損害は3万円を認める。子ども、妊婦には8万円を追加する。
 自主的避難等対象区域では、被ばくや今後の事故に対する不安から、避難することもやむを得ない選択の一つだった。中間指針等を超える損害は16万円。福島県南地域は10万円、賠償対象区域外である茨城県の水戸市、日立市、東海村では1万円を認める。
 ふるさと喪失の損害については中間指針等の賠償額1000万円を超える損害は認められない。

全国商工新聞(2017年10月23日付)
 
   

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