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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3097号11月25日付
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「生業を返せ」福島訴訟 東電保有データの提出命じる

 「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(中島孝原告団長)の第3回口頭弁論が12日、福島地裁で開かれ、潮見直之裁判長は原告の要求に応じ原発事故前に東電などが行っていた津波の影響評価などの試算データすべてを提出するよう東電に求めました。同データは津波による全電源喪失を、東電が予見できたかどうかを裏付ける核心部分。今後の裁判を大きく左右するものとして注目されます。試算データの提出を求める決定は全国でも初めてです。

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「生業を返せ、地域を返せ」 福島訴訟 原告団

 裁判所が提出を求めたのは、(1)東電が事故前に検討していた福島第1、第2原発に関連する既往津波及び想定津波とこれに基づくシミュレーション結果、そして両原発の安全性評価が記載された一切の文書(2)2000年に電気事業連合会の部会に提出された津波に関するプラント概略影響評価についての文書一切-です。
 これらの文書には巨大地震とそれにともなう津波の可能性、14メートルの津波が来た場合、建屋への浸水にともない全電源喪失に至る可能性についても言及しています。
 原告側は、提訴当初から公開された一部の資料をもとに「全電源喪失は予見可能であった」と指摘。それにもかかわらず必要な津波対策をとらなかったのは「故意ともいえる重大な過失」であり、その立証は「訴訟の争点の核心部分」とし、各種試算データを証拠として提出するよう求めてきました。
 ところが、東電は「反論する際に提出も検討する」とデータの提出を引き延ばし。一方、国は「国に資料が提出されているかどうか報告を受けていないから分からない。提出する必要はないと考える」と拒否を続けてきました。
 この日の弁論で、原告側は試算データの提出は「予見可能性を立証するための核心部分」「提出されなければ裁判そのものが成り立たない」「国民の関心事でもある。提出しないのは国民への裏切りだ」と語気を強め、あらためてデータの提出を迫りました。
 しかし、東電と国はこれまでの弁明を繰り返すだけ。原告側の再三の要請に裁判長は「津波による予見可能性を判断するうえで重要な文書」「原告の主張を議論するうえで重要な文書」とし、11月末までの提出を決定しました。
 この決定に、廷内の傍聴者から思わず「よし」の声が上がるほどでした。
 口頭弁論では、南相馬市小高区でラーメン店を経営している相双民主商工会(民商)会員、福島市内の土湯温泉でコンパニオン派遣業を営む会員の女性、山形県米沢市への避難者の3人が意見陳述。営業や暮らしへの被害、困難な避難生活に触れながら「東電と国には責任を取ってほしい」と迫りました。
 1次提訴、2次提訴の裁判が併合され、2000人の原告団となりました。
口頭弁論に先立ち、市内の公園で原告など150人が決起集会。原告団の中島孝団長は、原発情報をも「特定秘密」にする特定秘密保護法案の危険性を指摘し、「大きな国民運動の強大な一翼となって、雪をも溶かす熱い運動を繰り広げよう」と訴えました。
 参加者は裁判所に向かってデモ行進。「完全賠償を行え」「原発の再稼働反対」などと訴え、市民にアピールしました。

全国商工新聞(2013年11月25日付)
 
   

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