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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3081号7月29日付
 
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原発事故 生業・地域を返せ 原告団800人 口頭弁論=福島

 「人類史の画期といえる正義あふれる判断を」―。16日、福島地裁の法廷(潮見直之裁判長)に、福島・相双民主商工会(民商)の中島孝原告団長=スーパー経営=の凛とした声が響きました。原発事故被害者800人が、「地域を、生業を返せ」と、国・東電に慰謝料と原状回復を求めた裁判の第一回口頭弁論。原告側7人が意見陳述に立ち、原発被害の深刻な実態を明らかにするとともに、公害、原発訴訟の歴史的教訓を踏まえ、加害者である被告国・東電の責任を浮き彫りにしました。

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「生業を返せ、地域を返せ」の横断幕を掲げ福島地域に向けて行進する原告団ら

 意見陳述したのは、中島原告団長のほか、3人の原告と原告代理人の弁護士4人。
 中島団長は「宝物のわが家が朽ちていくのをなすすべもなく見守ることを余儀なくされている」と声を詰まらせ、国と東電が起こした深刻な社会と環境への被害を怒りを込めて告発。「困難から脱却し未来をつくろうとする人々の背中を押すような熱意と正義にあふれる裁判所の判断を」と訴えました。
 Tさんは原発事故によって、土作りと丹精込めた野菜作りを続けてきた父親が自ら死を選ぶまで追い込まれたことに触れ「私の父親は原発に殺された」と国・東電の責任を追及。「百姓にとって土や環境は命の次に大事なもの。汚された環境を元に戻してほしい。父が言っていたように原発はなくさなければならない」と力を込めました。
 40年以上にわたり水俣病訴訟に取り組んできた原告代理人の馬奈木昭雄弁護士は、国・東電がとっている原因の隠ぺいと究明妨害の態度は、水俣病をはじめとする公害問題で国や加害企業の対応と同じだ、と批判。その根底にあるのは「企業が利潤を将来的に確保し続けるようにすること」だと喝破し、「二度とこうした被害を起こしてはならない」と、「私憤でない公憤の声」を上げている被害者の主張を澄んだ目で見聞きしてほしい、と訴えました。
 38年前、東電福島第2原発の設置取消訴訟の先頭に立った原告団共同代表の安田純治弁護士は、当時の裁判で地震、津波による全電源喪失の危険性を訴えたにもかかわらず、当時の司法は「それは仮想事故」と片付け、退けたことを指摘。「司法の責任は大きい」とし、「歴史に耐える裁判がなされ、被害者に正義を」と強調しました。
 また、原告側は弁論で「津波による全電源喪失は予見できたし、安全対策をとってこなかった」と主張したにもかかわらず、国・東電は認否をしなかったため、裁判長は認否を明らかにするよう求めました。

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浪江町請戸地区から見た福島第1原発

口頭弁論に先立ち、原告と弁護団は、バス1台を仕立てて、第一回の現地調査を実施、放射線量計を持参し、線量の変化を調べました。南相馬市の畜産農家、伊達市霊山町の原木シイタケ農家などから聞き取りを行い、水タコがあがったばかりの原釜漁港を視察しました。
 また、口頭弁論を併せて行われた模擬裁判には100人が参加。裁判後行われた報告集会では、中島団長が裁判勝利に向けた決意を語りました。

▼「生業、地域を返せ訴訟」とは
 事故から2年たった13年3月11日、原発事故被害者800人が国と東電に、空間線量を事故前の水準に戻すこと、それまでの間、原告1人当たり毎月5万5000円の支払いを求めて起こした訴訟。原告の約半数は民商会員。二次提訴も準備中で1000人の原告団をめざしている。

全国商工新聞(2013年7月29日付)
 
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