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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第3146号12月1日付
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“増税不況”鮮明に 増税中止し景気対策を

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暮らしと経済研究室主宰・山家悠紀夫さんに聞く
 消費税8%による「増税不況」で景気悪化が鮮明になっています。安倍首相は11月21日、税率引き上げを先送りする一方、2017年4月に必ず10%にすると断言し衆院を解散。2日公示、14日投票で総選挙がたたかわれます。「アベノミクスの破綻は明らか」「5%に戻すことこそ景気対策」「税制は消費税に頼らぬ別の道を」と主張する「暮らしと経済研究室」の山家悠紀夫さんに聞きました。

アベノミクスは失敗
―― なぜ、GDP速報値が落ち込んだのでしょうか
 7〜9月期のGDP(国内総生産)の速報値は前期比マイナス0.4%、年率換算でマイナス1.6%となりました(表1)。予想外ではなく、当然の数値です。
 マイナス成長の最大の要因は個人消費が落ち込みから回復しなかったことです。政府は4〜6月期の落ち込みは駆け込み需要の反動減と強調し、7月以降は反動減が長引いていると言っていました。
 しかし、そうではなく4〜6月期の落ち込みは反動減に加えて消費税増税の影響が重なったことにあります。7〜9月期のマイナス成長は、消費税増税の影響が極めて大きかったという表れです。
 実は日本経済は昨年10〜12月期からすでに落ち込み始めていました。これはアベノミクスの金融緩和政策で円安になって物価が上昇し、実質消費が落ち込んだからです。安倍内閣発足後、一時的に株価が上がって富裕層が消費を増やすことはありましたが、その影響がなくなるにつれ消費は伸びなくなった。そこに消費税8%への引き上げが追い打ちとなり、日本経済は立ち行かなくなったわけです。

―― アベノミクスは異次元の金融緩和政策を目玉にしていましたが
 金融緩和政策は明らかに失敗です。日銀から民間の金融機関への資金供給を増やせば、民間銀行は個人や企業への貸し出しを増やすという筋書きでした。
 日銀は2013年、民間の金融機関への資金供給を1年間で64兆円増やしましたが、民間銀行が企業や個人に貸し出したのは15兆円ほどでした。借り手がいないわけです。企業は必要な資金をすでに借りてしまっています。10月31日に追加緩和で資金供給量を年間80兆円にまで増やすとしましたが、銀行にたまる資金が増えるだけです。
 総選挙では破綻の事実が明らかになったアベノミクスそのものを問う必要があると思います。

―― 安倍政権はアベノミクスで日本経済が良くなったと主張していますが
 安倍内閣がスタートした2013年の実質GDP成長率は、前年と同じ1.5%でした。2014年に入ってからの成長率は1〜3月期は増税前の駆け込み需要があって前年同期比2.9%でしたが、4〜6月期はマイナス0.2%、さらに7〜9月期はマイナス1.2%になっています(表2)。10〜12月期もマイナスになるでしょう。景気は足踏みから落ち込む状態に変わっています。
 その中で大企業だけは大変な利益を上げるようになりました。13年度の全企業の経常利益は60兆円で史上最高でした(表3)。そのうち大企業の経常利益は35兆円、利益が増えているのはもっぱら大企業です。
 一方で暮らしはどんどん悪くなっています。サラリーマン世帯の家計収入の伸び率(名目)は、民主党政権時の12年は1.6%でしたが、安倍内閣下の13年には1.0%に下がり、今年に入ってからは4月以降マイナスになっています(表4)。安倍首相は賃上げが進んでいるといっていますが、一部の大企業の正規労働者だけです。

表1〜4

5%に戻し家計応援
―― 日本経済を立て直すために何が必要ですか
 消費税増税によって景気が猛烈に落ち込んだわけですから、消費税を5%に戻すことを景気対策として掲げる。そうすれば少なくとも増税前の景気に回復する可能性があるわけです。そういう大胆な政策が必要です。
 そもそも消費税は不平等な税制の代表です。消費税に頼るのをやめて別の道を真剣に考えるべきだと思います。応能負担による税制、つまりもうかっている大企業にはもっと負担してもらう。法人税減税はまったく必要ありません。大企業は内部留保をため込んでいるわけですから。たくさん稼ぐ人にも負担してもらうために所得税の累進性を強化する。
 景気回復には個人所得を増やすことが不可欠です。例えば最低賃金を上げ、企業の収益を賃金に充てざるを得ないようにする。雇用も規制強化をして正規雇用をせざるを得ない条件をつくり出す。賃上げ政策と年金や医療、生活保護など社会保障を充実させて個人所得を増やす。あるいは中小企業対策に力を入れ、政府系金融機関の融資を拡大するなどです。
 安倍政権がこれからやろうとしている「第3の矢」は法人税減税や労働に関する大幅な規制緩和、TPPへの参加、医療分野では混合診療の拡大を認めるなどです。もうかるのは大企業だけで、そのしわ寄せを受けるのは働く人びとや中小企業です。安倍政権が続く限り、経済は立ち直りません。
 総選挙で安倍政権に審判を下すことが経済対策の第一歩でもあります。

全国商工新聞(2014年12月1日付)
 

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