どうなる複数税率・インボイスの実務(4)

全国商工新聞 第3380号2019年10月7日付

税率アップに伴う経過措置など

 消費税率が上がる際、いつもどの時期から新しい税率を使うのかというのが問題となります。今回は取引ごとに、どの税率を使えばいいのかを簡単に説明します。
(1)製造業や販売業など(商品の引き渡しがある場合)
 原則は、9月30日までに引き渡したものは8%、10月1日以降に引き渡したものは10%となります。例えば、引き渡した(出荷した)のが9月30日で、相手方が検収したのが10月1日だったとします。この場合には、売った側も購入側も、8%で取引を行ったということになります。
(2)工事請負契約など
 経過措置についてはいろいろありますが、代表的なものとして、2019年3月31日以前に締結された一定の請負契約の場合には、10月1日以降に完成・引き渡しがあっても8%でよいとされています。
(3)家賃契約・リース契約
 事業用の家賃契約やリース契約については、原則としていつ支払ったかは関係なく、19年10月分以降の家賃については10%ということになります。例えば19年10月5日に9月分の家賃を支払った場合は8%となります。
 ただし、経過措置として3月31日以前に契約しているもので、契約期間と契約金額が定められており、なおかつ対価額の変更を求めることができる定めがない場合には、その契約期間は8%取引とされています(図)。
 そのため、消費税が上がったことにつき、その部分だけ対価額が変更されるというケースはこの限りではありません。
(4)9月30日以前に売り上げた商品が返品された場合
 9月30日に売り上げた商品が10月5日に返品された場合には、消費税率は売り上げた税率である8%で計算することになります。

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