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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第3015号 3月19日付
 
 

被災業者支援制度・自治体で創設相次ぐ

 東日本大震災を機に被災した中小企業者を対象にした助成制度が国、県、市レベルで相次いで創設されました(すでに終了した制度もあります。表1)。これまで「個人の事業資産形成に資する」として否定されていただけに、大きな前進です。各地の優れた制度をすべての被災地に広げるとともに、複雑な災害関連法規を見直し、被災者の生活再建支援制度を抜本的に拡充・改善することが求められています。

表1 この間実施された被災事業者向けの主な補助事業
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国はグループ補助事業実施
 国(中小企業庁)が創設した中小企業への支援策は「中小企業等グループ施設復旧整備補助事業」です。
 4つの類型((1)サプライチェーン上重要(2)地域の基幹産業(3)雇用・経済規模が大きい(4)地域コミュニティに不可欠な商店街)に分け、被災した中小企業がグループをつくり、復興事業計画を作成し、県の認定を受けた場合、施設・設備の復旧費用の4分の3を助成(国2分の1、県4分の1)を受けられます。
 3次募集の終了時点で172グループに2064億円の交付が決定(昨年12月27日現在)されています(表2)。

表2 国の「中小企業等部ループ施設復旧整備補助事業」に基づく交付状況

 「中小企業」と名は付くものの、宮城県の1次募集で交付決定がされたのは日本製紙などグループの大半が大手企業なのが実態です。建築関係では宮城・気仙沼本吉民主商工会(民商)の会員を中心にしたグループ「気仙沼地区住環境復旧復興支援プロジェクト」が認定されたものの、被災者のくらしと住まいを支えるグループ認定は、まれです。
 県の審査も宮城県が書類審査だけなのに対し、岩手県ではプレゼンを実施。中小企業者への支援も自治体によって異なります。
 岩手県・宮古市では「グループ補助は被災地の復興の切り札」(佐藤日出海・産業支援センター所長)と位置づけ、会議室の提供から始まり、グループ分け、申請書類の簡素化、事業計画づくり、プレゼンのやり方まで全面的にバックアップしています。
 「みんなが集まって事業計画を練ること自体が復興への大きな力。それにグループ補助をかちとることで浮いた市の財源を、さらに別の被災者支援に回すことができる」と佐藤所長は強調します。

各地の制度を全国に広げて
 県レベルでは岩手、宮城、福島の3県が被災した店舗や工場に対する補助制度を相次いで創設。岩手県では3月に入り、震災で店舗・工場が全壊・流出した事業者を対象にした補助制度を創設しました。民商ではこうした県の補助制度を積極的に活用。宮城県内では、これまでに41事業者が1億6000万円の助成を受け、再出発の糧にしています。
 市レベルでは岩手県の陸前高田、宮古市、宮城県の気仙沼、石巻市の計4市が独自の助成制度を創設。石巻市は、被災した店舗、事務所の再開や施設の建て替えなどに要した費用(20万円以上の工事)の半分を助成(上限100万円)する補助金制度をつくりました。石巻市を含め、陸前高田、気仙沼、宮古市の4市に共通するのは、津波被害が甚大だったことに加え、国の制度では取り残されている生業支援を求める政策提案が取り組まれてきたことです。こうした活動と「個人資産の形成税金は使えない」という壁の突破を目指す、阪神・淡路大震災以来、強められてきた被災者と国民の粘り強い運動が制度実現の力になっています。
 気仙沼本吉民商の菅原均会長は「各地でつくられた支援制度をその自治体だけのものとせず、国全体の制度に広げたい。それが復興のスピードにつながる。今後予想される災害への対応として法制化も必要なのではないか」と語っています。

全国商工新聞(2012年3月19日付)
   
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