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  トップページ > 税金のページ > 消費税 > 全国商工新聞 第2933号 7月5日付
 
税金 消費税
 

大企業減税は必要なし 今こそ消費税減税を

くらしと経済研究室室長 山家悠紀夫さんが解説

 「消費税の10%引き上げなんてとんでもない」―。参院選のマニフェスト(政権公約)にかかわって、消費税率を10%に引き上げることを示唆した菅直人首相の発言に、「公約違反」と怒りの声が広がっています。大企業の法人税引き下げと抱き合わせで消費税増税を国民・中小業者に押し付けようとしています。大企業優遇で、国民・中小業者の暮らしが良くなるのか―。くらしと経済研究室の山家悠紀夫室長が解説します。

日本の税、社会保険料
企業の負担率は低い

 「国民生活第一」から「大企業優先」へ―。民主党政権はその政策の重点を大きく移しつつあるようです。菅首相が消費税の10%への引き上げを示唆する一方で、内閣は法人税率の引き下げを書き込んだ「新成長戦略」を閣議決定しました。
 「日本に立地する企業の競争力強化と外資系企業の立地促進のため、法人実効税率を主要国並みに引き下げる」というのが、「新成長戦略」に書き込まれた文言ですが、これには大きな疑問が少なくとも二つあります。
 一つは、そもそも日本が法人税率を引き下げる必要があるのか、という疑問です。
 現行の日本の法人実効税率(法人税、法人事業税など企業の負担する税総額の、法人所得に対する比率)は41%です。対して、アメリカ(カルフォルニア州)は41%で日本と同じ水準です。ヨーロッパ諸国は、フランス33%、ドイツ29%、イギリス28%と日本より低くなっていますが、これらの国では企業の社会保険料負担が重いことを考慮に入れなければなりません。
 税と社会保険料を合わせての企業の負担率(税+社会保険料/税引前利益+社会保険料)を比較すると、自動車製造業では日本の30%に対してフランスは42%、ドイツは37%、情報サービス業では日本の44%に対してフランスは70%、ドイツは56%などとなっていて(財務省調査)、日本の企業の負担率は低いのです(表1)。日本の法人税率を下げなければいけないという状況ではありません。

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法人税引き下げ効果なし
「遊び金」が海外や投機に

 二つは、日本の法人税率の引き下げが、(1)「日本に立地する企業の競争力強化」、あるいは(2)「外資系企業の立地促進」に役立つか、という疑問です。
 法人税率の引き下げがどのように「日本に立地する企業の競争力強化」をもたらすのか、「新成長戦略」は明らかにしていませんが、二つの経路を考えていると思われます。
 一つは、税負担の減少がコスト安をもたらし、商品の値下げを可能にするという経路です。しかし、この考えは非現実的です。日本企業の年間総売上高は1500兆円です。これに対して、税負担の減少額は、たとえ法人税率を10%引き下げてもせいぜい10兆円です。競争力強化につながるほどの値下げはとてもできません。
 二つは、税負担の減少が企業の内部留保を増やし、それが技術開発とか設備投資に回るという経路です。しかし、現状でも企業の内部留保は設備投資などに必要な資金量を上回っており、余った分は「遊び金」となって海外投資や投機などに回されているのです。
 法人税率を下げて企業の内部留保を増やしても、「遊び金」が増えるだけで、競争力強化にはつながりません。
 (2)について、外資系企業が日本に投資するとすれば、それは、日本の投資が十分なもうけを生むと予想されるときであるということです。もうけとは「投資によるもうけマイナス税負担」です。肝心なのはもうけそのものであり、その大小に比べれば税負担の大小など取るに足りません。海外からの投資を受け入れるためには、法人税率の引き下げより国内経済の活性化が大事、ということです。
 要するに、法人税率の引き下げは必要ない、加えて、引き下げてもその効果は限られており、財政状況を考えるならやるべきではないということです。

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消費税率の引き下げこそ
日本経済に必要な政策

 にもかかわらず、なぜ法人税率の引き下げを民主党政権は考えているのでしょうか。
 その背景には、日本経済を「強い経済」にするためには大企業を強くしなければならない、大企業が強くなれば日本経済が強くなる、そうすれば中小零細企業も潤う、暮らしも良くなる、という思い込みがあるのでしょう。経団連が「経団連成長戦略2010」(4月発表)で主張している考えでもあります。
 しかし、この思い込みは歴史の事実をまったく無視しています。小泉内閣の時代、大企業の利益は2倍以上に膨らみましたが、中小零細企業は潤わず、家計の所得も減り、日本経済は強くなりませんでした。大企業の利益が内部留保として蓄えられ、「遊び金」となって日本経済を強くする方向に使われなかったからです。
 日本経済に今、必要な政策は、民主党やその政権が予定しているのとは逆の政策、すなわち、消費税率を下げて法人税率を上げる、という政策なのです。



10%増税阻止に全力を
全商連三役が街頭宣伝

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「増税反対の声を広げよう」と呼びかける全商連三役ら

 消費税の増税問題が最大の争点となっている参院選(11日投票)期間中も増税阻止に全力をと全国商工団体連合会(全商連)は6月25日、東京・JR目白駅前で署名・宣伝行動を実施しました。
 国分稔会長を先頭に三役がマイクを握り、大企業減税の穴埋めとして消費税増税が狙われていることを告発。「10%なんてとんでもない。増税反対の声を広げよう」と訴えました。

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