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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2956号 12月20日付

税金 徴税攻勢
 

政府税調報告書 税務調査・徴収の強権化狙う

 政府税制調査会の「納税環境整備プロジェクト・チーム(PT)」は11月25日、「納税環境整備PT報告書」を発表。納税者権利憲章(仮称)制定に向けた議論のまとめを報告しました。「納税者の権利・義務をバランスよく記載すべき」と主張。国税通則法に調査権の強化を盛り込み、納税者権利憲章は単なる行政文書で済ませようとしています。報告書の問題点を洗い出しました。

【番号制度】全国民を番号で把握
 消費税では取引排除に

 全国民に番号を割り当て、国が管理する「番号制度」では、社会保障の充実や税負担の公正性を理由に「早急に制度設計に着手すること」を期待し、税務面では「納税者の所得情報を的確に把握することが可能」としています。
 しかし番号制度は、国民のプライバシーを侵害し、申告納税制度を形骸化させます。また取引のたびに取引先に番号を「告知」する、納税申告書に「記載」を義務づけることが打ち出されており、中小業者に膨大な実務が押し付けられます。
 納税者番号制とともに消費税にインボイスが導入されれば、免税業者は取引から排除されかねません。

【理由附記】記帳義務化とセット
 白色申告原則の変質

 「すべての処分について理由附記を実施する」ことと引き換えに記帳を義務化しようとしています。
 所得300万円以下の生業層に300万円超と同等の記帳義務を課すことは実務負担の過重な押し付けです。
 さらに記帳・帳簿等の保存が十分でない場合、「保存状況に応じて理由を記載」するとしています。白色申告者を納税者として尊重せず差別することは許せません。
 そもそも所得税法では白色申告を原則としています。青色申告はあくまでも例外規定です。白色申告者の記帳義務化は行うべきではありません。(1)必要経費の概算控除制度の導入(2)「正しい記帳」を行わない者の必要経費の考え方(3)記帳水準が向上した際の専従者控除の見直し-を検討していますが、必要経費の算定は納税者の自主申告権に属しています。納税者の人格の尊重、権利保障の前提として記帳義務を置くべきではありません。
 家族労働について給与を必要経費として認めることは常識です。所得税法第56条を廃止し、無条件に認めるべきです。

【権利憲章】適正手続き保障せず
 単なる行政文書に

 「納税者の立場に立って、複雑な税務手続きを平易な表現で分かりやすくお知らせする」ものとして「憲章」の策定を主張。しかし、単なる行政文書として国税庁に丸投げし、国税庁の権限強化まで「改正」国税通則法で定めようとしています。
 国税通則法の「改正」案は11年1月の通常国会に上程され、3月中に成立させられようとしています。
 しかし、私たちが望んできた「納税者権利憲章」は、国会審議を通じ国民的合意の上で主権者としての納税者の諸権利を定めることです。今回の税調審議は、税務調査での「立ち会い」「調査理由の開示」「租税徴収における適正手続き」に関する記述がまったく欠落しています。徴収手続きに関する納税者の権利を確立すべきです。
 また「報告書」は、「租税教育」「国税不服審判所の改革」についても言及しています。

【税務調査手続】事前通知に「例外」
 帳簿等の預かり合法化

 「事前通知」では、納税者の協力を促し、「円滑かつ効果的な調査の実施」を行うことを目的に「事前通知を行う」ことを法律で明確化するとしています。
 ところが、税務署長などが正確な事実の把握を困難にするなどと判断した場合は「行わない」としました。これでは、事前通知なしでの税務調査が横行します。事前通知は例外なしで行うべきです。
 反面調査も合法
 反面調査については「調査対象本人に通知しない」とし、反面調査を合法化しようとしています。「客観的に見てやむを得ない場合に限る」としてきた税務運営方針をも否定するものです。
 「調査終了時の手続き」では、課税庁の職員が「修正申告や期限後申告の勧奨を行うことができる」ことを「法令上明確化」することに。現在でも横行する修正申告の強要に拍車がかかります。「調査終了通知」の交付後も「再調査することができる」権限を税務当局に与えることは、際限のない税務調査の拡大を招くことになり、大問題です。
 「現行の『質問』『検査』に加え、帳簿書類その他の物件の『提示』『提出』を求めることができる」ことを明確化するとしています。課税権を強化し、署員が帳簿等を「提出」させ、持ち帰ることを合法化することにつながります。

【更生の請求】増額更生も5年に延長
 納税者の負担が増大

 申告後に、納税者が自ら行う減額の「更正の請求」期間(現行1年)を5年に延長する一方で、課税庁が増額更正できる期間(現行3年)も5年に延長します。
 これは申告の確定後、裁量権を5年間延長したのに等しく、横暴な税務調査や処分などを考えれば、莫大な金額の課税処分が納税者に負わされる危険性が生じます。

憲法原則を貫け
権利憲章第2次案を発表=全商連

 全国商工団体連合会(全商連)は11月28日、「納税者の権利憲章」(第2次案)を発表しました。
 「発表にあたって」では、憲法の理念に基づき、調査と徴収、不服審査から裁判に至るまで税務行政のあらゆる面に適正手続きを貫き、人権を保障し、強権的な徴収行政に歯止めをかける「納税者の権利憲章」の制定を要求しています。
 この「納税者の権利憲章」(第2次案)=パンフ発行=を積極的に活用し、消費税の廃止、民主的な税制・税務行政の確立に向け、国民的な運動と議論を巻き起こしましょう。

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