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  トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2832号 6月2日付
 
税金 徴税攻勢
 

納税猶予不許可は違法
大阪国税不服審判所が裁決
京都・亀岡民商の「かついち」さん

 大阪国税不服審判所は5月12日、納税猶予申請した京都・亀岡民主商工会(民商)の会員「とんかつ屋かついち」(審査請求人)に対し、園部税務署が「納税猶予不許可処分」としたことは「違法であり、原処分の全部を取り消す」との画期的な裁決を下しました。
 消費税の納税猶予申請者に対して全国で「却下決定」を乱発する税務署に対し、反省と対応の是正を促す大きな成果です。
 審査請求人は06年2月、自宅(営業店舗は別)全部を焼失し、祖母も焼死。「05年分の消費税16万7500円を一度に払えない」と同年5月、園部税務署に「り災証明書」を添付して納税の猶予を申請。ところが税務署は11月、「非該当」とだけ記載した不許可通知書を送付してきました。
 異議申し立て(07年11月)に対し、税務署長は火災により被害を受けたのは納税の猶予要件(国税通則法46条2項1号)に該当するとしつつ、「納付計画の記載がなく、単に納付すべき国税と猶予申請期間を記載した申請は認められない」と不許可にしました。
 しかし、審判所は「国税通則法施行令(15条2項3号)は、分割納付の方法により猶予を受けようとする場合には、納付計画を記載することとなっているのであり、納付計画の記載がなく、その後も納付計画を明示していないという理由をもって申請を認めないというのは誤り」と請求人の主張を全面的に認定しました。
 原処分庁(税務署)は「聴き取った内容を裏付ける資料の提供がなかったから納付困難かどうかの判断ができなかった」と税務調査まがいの主張を展開しました。しかし審判所は、納付困難であるかどうかの判断は、現在納付能力調査(納税の猶予等の取扱要領7章1節)に基づき、申請書に記載された猶予申請期間の始期の前日、06年5月31日が調査日になると言及。税務署が行った8月と11月の臨場調査は「調査日の選定として相当とはいえない」と指摘しつつも、調査日に近接する8月に聴き取った内容だけでも十分に判断が可能だったとして「納付困難な税額が算定されるのであるから、原処分庁の主張は意味がない」として「本件不許可処分は違法であり、取り消すべきである」と厳しく断罪しました。
 裁決を受けて、「かついち」氏は「皆さんの励ましのおかげで頑張れて本当によかった。全国的にも意義のある結果だと聞いてうれしく思います。当たり前のことを認めてもらうのに、2年もかかるのはおかしいですね」と話しています。

裁決は「当然」
 税理士 角谷 啓一

 自宅が全焼し、祖母が焼死するという大変な状況下での「納税の猶予」の申請なのに「納付計画の記載がない」というだけで「不許可」。これが民主憲法下の行政のすることでしょうか。
 「納税の猶予等の取扱要領」には「納税者有利の方向で納税の猶予等の活用に配意する」と記されています。この通達の趣旨を徴税行政の現場に、いっそう徹底させましょう。
   
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