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トップページ > 税金のページ > 徴税攻勢 > 全国商工新聞 第2817号 2月11日付

税金 徴税攻勢
 
 

経済的理由の「納税の猶予」かちとる
帳簿も示し説得
埼玉・川口民商 会員2人が画期的成果

 
 
事業の著しい損失(46条2項5号)を適用

 消費税の免税点の引き下げや住民税の増税で「税金が一度に払えない」と滞納する例が増えています。全国各地の民主商工会(民商)は、税務署に対する「納税の猶予」の申請などに取り組み、「分納」や「換価の猶予」をかちとってきました。しかし税務署は、差し押さえされず、延滞税も減免され、安心して分納できる「納税の猶予」(国税通則法第46条)の適用を一貫して否認。税法や内部で定めた「取扱要領」の解決をもゆがめてきました。埼玉・川口民商では集団申請など粘り強く運動。2人の会員がついに「納税の猶予許可通知」をかちとりました。売り上げ減など、経済的理由での申請却下が相次ぐなかでの画期的な成果です。
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Kさんに届いた、延滞税減額、5回の分納を認める納税の猶予許可通知書


 国税通則法は「納税の猶予」の要件について、災害や病気だけでなく、親会社からの発注の減少などによる事業の著しい損失や事業の休廃止なども適用の対象になるとしています(同法第46条第2項3・4・5号=別項参照)。

納税の猶予(国税通則法第46条)

  1項 (略)
  2項 税務署長等は、次の各号の一に該当する事実がある場合、その該当する事実に基づき、納税者がその国税を一時に納付することができないと認められるときは、その納付することができないと認められる金額を限度として、納税者の申請に基づき、1年以内の期間を限り、その納税を猶予することができる。
 
  (1号、2号は災害、病気などの場合)
  3号 納税者がその事業を廃止し、又は休止したこと。
  4号 納税者がその事業につき著しい損失を受けたこと。
  5号 前各号の一に該当する事実に類する事実があつたこと。

納税の猶予等の取扱要領から

 第2項第4号の猶予該当事実‐調査期間の直前の1年間(基準期間)の利益金額の2分の1を超えて損失が生じていると認められる場合。または著しい損失となるような事実の発生した日以降、調査日までの間に生じたと認められる損失金額と、基準期間の(うちそれに)対応する期間の利益金額とを比較してもよい。
 第2項第5号の猶予該当事実(第3・4号類似)‐下請け企業である納税者が親会社からの発注の減少等の影響を受けたこと、その他納税者が市場の悪化等その責めに帰すことができないやむを得ない事由により、従前に比べ事業の操業度の低下または売上の減少等の影響を受けたこと。

 しかし税務署は、申請者に対して「売り上げが著しい減少とは認められない」「著しい損失が生じた事実は認められない」と述べるだけで、これまで一貫して経済的理由での認定を却下してきました。
 今回、経済的理由による「納税の猶予許可通知」を受け取ったのは川口民商のKさん=機械メンテナンス=。
 消費税約16万円について、延滞税年14・6%を4%台に減額することと、5回の分納が認められました。「本当にうれしい。たたかってきたかいがあった」と喜んでいます。
 原油高などの影響で取引先のクリーニング店の経営も厳しくなり、機械の補修が激減。数年前は4000万円くらいあった売り上げが、06年は1400万円まで低下しました。
 所得税18万円はなんとか払いましたが、消費税16万円がどうしても払えず昨年3月、民商の呼びかけで納税猶予を申請しました。
 しかし9月になっても税務署から何の連絡もなく、審査を進めようとしない税務署に、民商は「怠慢ではないか。ただちに納税の猶予に基づく分納を認めよ」と抗議行動を展開。その後、税務署から追加の資料を求める「補正通知書」が会員らに送られてきました。
 Kさんは民商の仲間とともに税務署に出向き、「生活費も出ない、払えないような税制だ。納税の猶予を認めるのは当然ではないか」と主張しました。
 帳簿や領収書、預金通帳などの提示を求める税務署員に、それらの提示は税務調査とは関係ないことを確約させ、民商の自主計算会で作ったパソコン記帳の帳簿を示してここ数年の売り上げの減少を説明。税務署員を説得する大きな材料になりました。
 その結果、税務署は「納税の猶予等の取扱要領」(別項参照)が定める「従前に比べ事業の操業度の低下又は売上の減少等の影響を受けた」と認定しました。
 
2分の1以上の損失(46条2項4号)を適用

 同民商の会員・Sさん=内装=は「同取扱要領」(別項参照)が定める「前年の利益金額の2分の1を超えて損失が生じている」に認定されました。
 消費税など255万円について、延滞税減額、担保なしで当面12回の分納を認める「許可通知」を受け取り喜んでいます。
 
憲法は納税者の権利を保障

 この運動の中心を担ってきた川口民商の米田務会長は「それぞれ意義ある内容だ。税務署は納税の義務だけ言うが、私たちはその前に憲法25条の生存権があると税務署にいつも主張してきたことが実ったもの」と強調。「金額の問題ではなく、納税の猶予を申請することが納税者の権利主張になる。権利を守ってこそ安心して商売を続けられる」と話しています。
 同民商では「これで突破口を開いた。この春、納税者の権利としてどんどん申請しよう」と確信が広がっています。

納税の猶予こそ「憲法上の要請」
積極的に承認する法的義務負う

日本大学名誉教授 北野弘久さんがコメント

 憲法25条は人びとの「健康で文化的な最低生活」を保障している。この25条を含めて憲法は税制のあり方として「応能負担原則」(憲法13、14、25、29条等)を要請。この憲法の応能負担原則は、課税面のみならず、徴収面にも及ぶ。
 課税面では最低生活費非課税の原則、一定の生存権的財産の非課税・軽課税(利用価格×低税率)の原則を要請する。徴収面では人々の生存権を確保するために、差押禁止財産、条件付差押禁止財産、納税の猶予、換価の猶予、滞納処分の停止などの制度が現行税制の下でも導入されている。ここで問題になっている納税の猶予が憲法上の要請であることを明記することが大切だ。
 消費税は間接税とされているが、多くの中小業者にとっては消費税は転嫁が困難であって業者負担となっている(間接税の直接税化)。つまり多くの中小業者にとっては消費税は税法上の納税義務者であると同時に、現実の税負担者となっている。この点に関連して消費税の滞納増大の事実に注意する必要がある。巷間いわれる「益税」ではなく、むしろ「損税」となっているわけである。
 現行税制は、災害、病傷、事業の休廃止、事業の著しい損失、以上に類する事情があった場合には納税の猶予をすると規定しているが(国税通則法46条2項)、憲法25条等の要請からいって、ケースバイケースで納税者の諸事情にフレキシブルに対応すべきだ。
 納税の猶予を承認するかどうかが課税庁の裁量に委ねられているわけではない。納税者の諸事情を総合勘案して、一時に納税することが困難と認められる場合には、課税庁はむしろ納税の猶予を積極的に承認すべき職務上の法的義務を負うている。承認しないことの方が職務怠慢、不作為の違法と言わねばならない。
 差押処分を強行したところで果たして、その差押財産が公売で売れるのかどうか、またいくらで売れるかは不明。多くの場合、当初予想した「換価」が得られないのが通例である。それよりも納税者の諸事情に適合した納税の猶予を行い、納税者から実際に分割で納税してもらった方が、税務行政としても効率的であり、得策である。もし、納税の猶予の承認をした後に、正当な理由により納税が困難になった場合には、さらに猶予期間を延期する配慮を行うべきだ。

 
     
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