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  トップページ > 方針・決議のページ > 主張 > 全国商工新聞 第2983号 7月18日付
 
私たちの主張
 

美言に隠れた財界の野望許すな

 政府の東日本大震災復興構想会議が6月25日、「復興への提言〜悲惨の中の希望〜」を発表しましたが、その内容は被災者の暮らしや生業の再建支援から程遠いものになっています。
 象徴的なのは、農林水産業への対応です。「提言」には農地の大区画化による「低コスト化戦略」や、大手商社の漁業への勝手な参入を促す「水産特区構想」などが、遠慮なく打ち出されました。こうした発想自体、経団連など財界の要望を丸のみしたものであり、震災を口実に、弱肉強食の構造改革を復活させる狙いが鮮明です。
 また、震災復興税が提唱されたことも見逃せません。「提言」は「今を生きる世代全体で」「負担の分かち合いにより」「基幹税を中心に多角的な検討」としていますが、合わせて製造業の空洞化の懸念をいたるところで強調する姿勢を見ても、財界・大企業の意向に沿って消費税増税を画策する姿勢が明らかです。
 こうした中で、政府の無責任さが際立っているのが原子力災害への対応です。というのも、「提言」は放射能事故をギリシャ神話の「パンドラの箱があいた時」の不幸にたとえています。そしてこの箱の中に「誤ってしまわれていた」のが「希望」であり、これを「寄りどころに苦しい日々をたえた」神話の人びとのように「希望の光の中に、明日のフクシマを生きることになろう」というのです。
 ここには、原発事故が「人災」であることへの認識もなければ、「安全神話」を振りまき、利権を漁り続けてきた「政官財」癒着への反省もまったくありません。だからこそ、客観的な検証を放棄し、広範な国民が求める原発ゼロの要求に対して、耳をふさぎ、何ら言及しないのです。
 いま大切なのは、この虚飾に満ちた「提言」に惑わされることなく、被災地と被災者本位の復興に向けて、正面から要求実現を迫ることです。とりわけ、広範な被災中小業者が「せめてゼロからの再出発ができる」よう「二重ローン問題」を解消させるとともに、原発被害の完全賠償やエネルギー政策の抜本転換こそ不可欠です。
 憲法が保障する国民の幸福追求権や生存権に基づき、被災地の復興に連帯して「生きることが優先する」たたかいを大きく広げましょう。

全国商工新聞(2011年7月18日付)
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