間近に迫る参院選
商売に希望が持てる日本へ

全国商工新聞 第3367号2019年7月1日付

業者の切実な要求実現を

 中小業者の死活がかかった参院選が目前です。景気が後退し、国民・中小業者の暮らしと営業は追い詰められているというのに安倍政権は、10月からの消費税10%への引き上げを強行しようとしています。参院選は「消費税10%増税は中止」「改憲ノー」の民意を示し、悪政を転換するチャンスです。社会保障の充実や中小業者を応援する経済政策、再生可能エネルギーへの転換など中小業者の切実な要求を実現し、「商売に希望が持てる日本」にするために、集まって話し合い行動しましょう。

消費税

10%への増税は中止 大企業優遇税制正す

 「これ以上、消費税が増税されたら商売がつぶされる」「10月からの10%引き上げは絶対中止」の声が大きく広がっています。世論調査(日本世論調査会)でも、10月からの10%増税に「反対」が59.7%を占めています(図1)。

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 政府は社会保障の財源確保のために消費税増税が必要と説明していますが、消費税に頼らなくても、大企業や富裕層に応分の負担を求めれば、財源は確保できます。
 財界や大企業は「日本の法人税は高い」と言って法人税の法定税率を34%から29%まで引き下げ、1989年に19兆円あった税収は18年には10.3兆円にまで減っています。受取配当益金不算入や研究開発費の控除など大企業優遇の減税措置があるため、実際の負担率は15%ほどです。大企業優遇税制をなくし、法人税を累進課税にすれば、19兆円の財源が生まれます(菅隆徳税理士の試算、18年10月15日号)。
 所得税も株や土地取引で得た所得の税率は一律20%と低く、しかも他の所得と分離申告ができるため、所得が1億円を超えると税負担率は低くなっています(図2)。所得税の最高税率を引き上げ、申告所得税の累進化を強化すれば、10兆円の増収になります(浦野広明税理士の試算、19年1月14日号)。

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 マレーシアでは昨年5月に誕生したマハティール政権が公約どおり、消費税率を6%からゼロ税率にしました。参院選で増税勢力を追い込めば、10%増税中止の展望が開けます。

経済

地域循環経済確立し中小業者支援強める

 内閣府は3月の景気動向指数に基づき6年2カ月ぶりに景気「悪化」を判断。安倍政権の経済政策「アベノミクス」の破綻を事実で示すものとなりました。景気悪化の原因は、内需の中心を占める個人消費の低迷に加え、輸出系大企業が頼みとする外需も米中関係の悪化などで振るわないためです。
 GDPの6割を占める個人消費は、安倍政権が14年4月に消費税増税を強行してから低迷し、食料品の相次ぐ値上げなど物価高による実質賃金の減少で、消費者心理が冷え込みました。
 加えて年金や生活保護の削減、社会保険料の増額など社会保障も連続改悪され、国民生活は疲弊しています(1~3月期のGDPでも、個人消費は0.1%の減少)。
 一方、大企業には、法人税率の引き下げや研究開発減税の拡充などで優遇。にもかかわらず輸出系大企業は、生産拠点を海外に移転し国内でのリストラを加速させ、その結果、ものづくりの国際競争力を失っています。
 安倍政権が6年間に進めてきたアベノミクスの帰結は、格差拡大と巨額の借金で財政悪化を招き、日本経済を進退きわまる窮地に陥れたことです。国の借金は1000兆円を超え、正常化はまったなし。正常化への道は、外需主導の経済から地域循環型経済へ転換することです。持続可能な地域づくりには、人が生きていく上で欠かせない食糧、住宅、エネルギー、医療・介護などの安定的供給が求められ、担い手である中小企業・小規模事業者への支援こそが求められています。
 この間、コンビニの24時間営業の押し付けが社会問題になり、大企業の身勝手で優越的な地位乱用の是正があらためて問題になっています。フランチャイズ契約に限らず、あらゆる業界で、大企業を頂点にして重層的下請け構造が形成されており、不公正な取引関係の是正と公正な取引ルールの確立、コンプライアンスの確立が求められています。

憲法

改憲発議を許さない 豊かな社会の実現へ

 「早期の憲法改正をめざす」─。参院選で自民党・安倍政権が「重点項目」の一つに掲げた公約です。最大の眼目は憲法9条の改定。その実現のため「憲法改正原案の国会提案・発議を行い、国民投票を実施する」としています。
 米軍とともに世界で「戦争するための国づくり」を許すのかどうか。参院選で問われる最大の争点の一つです。
 2000万人のアジア諸国民と310万人の日本国民が犠牲となった痛苦の敗戦を経て、戦争放棄・軍備および交戦権を否認する日本国憲法が生まれました。
 戦前は安倍首相の祖父である岸信介商工大臣(当時)によって制定された「企業整備令」によって、小売業の7割が整理され、中小企業の解体が進められました。商売の自由も、暮らしも命さえも奪った戦争。それにつながる政治は許さない-今年結成68年になる民商・全商連は「平和でこそ商売繁盛」を自らの信条としてきました。
 「日米同盟」を軸とした自民党政治の下で、沖縄県民の圧倒的な民意さえ踏みにじって強行される辺野古新基地建設、日本防衛とは無関係で米軍のためと指摘される秋田、山口へのイージス・アショアの配備、沖縄だけでなく、岩国、木更津、横田と日本中をわが物顔で飛び回る米軍のオスプレイ…。軍事費は、安倍政権になってから年間5兆円を突破。国民の税金で、1機116億円のF35戦闘機などの爆買いが行われています。憲法にのっとった税金の使い道に転換すれば、営業と暮らしを豊かにする予算を拡充できます(図3)。
 市民連合と5野党・会派が合意した「共通政策」─9条「改定」に反対し、改憲発議そのものをさせないために全力を尽くす、立憲主義に反する諸法律の廃止、辺野古の新基地建設を直ちに撤回する-の実現こそ求められています。

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原発

推進政策を転換して再エネの普及めざす

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市民が出資し合って建設した太陽光発電所。牛舎の上にパネルを設置しています=東京都八王子市

 東京電力福島第1原発の事故から8年以上が過ぎた今でも、4万人以上の福島県民が避難生活を余儀なくされています。増え続ける「核のゴミ」(使用済み核燃料)の問題を考えても、原発推進政策からの一刻も早い転換が求められています。
 安倍政権は原発再稼働と原発輸出を進めています。しかし、日本で約2年間「稼働原発ゼロ」が続いた事実を見ても、原発再稼働中止、「原発ゼロ」の決断は即時可能です。決して難しいものではありません。
 市民連合と5野党・会派の「共通政策」では、「福島第一原発事故の検証や、実効性のある避難計画の策定、地元合意などのないままの原発再稼働を認め」ないと宣言しています。
 世界各国は今、太陽光、風力、バイオマス、小水力といった再生可能エネルギーの普及に力を入れ、それを支える産業振興を図っています。原発ゼロに踏み出したドイツではすでに全発電量の3割以上を再エネが占め、再エネは国の基幹産業に。「共通政策」でも「再生可能エネルギーを中心とした新しいエネルギー政策の確立と地域社会再生により、原発ゼロ実現を目指す」と強調しています。

年金

安心した老後生活へ 信頼できる制度確立

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「年金払え」「年金返せ」などのプラカードを掲げ、ドラム隊を先頭にアピールした6月16日の「年金返せデモ」

 「『100年安心』はウソだったのか」─。年金問題が国会を揺るがし、参議院選挙の最大の争点に急浮上しています。
 発端は「高齢夫婦の平均収入から平均支出を引くと毎月5万5000円が足りないので、30年間で2000万円の蓄えが必要、蓄えるために投資せよ」と試算した金融庁の報告書(高齢社会における資産形成・管理、6月3日発表)。「生活よりも投資」という国民収奪の報告に批判が高まり、麻生太郎財務相は「政府のスタンスと異なる」との理由で報告書の受け取りを拒否しましたが、試算根拠は厚生労働省の資料だったことが明らかになり、批判は強まっています。さらに年金給付を自動的に削減する「マクロ経済スライド」の完全実施で年金給付を7兆円削減させることが判明しました。
 年金制度への信頼が揺らぐ中、都内では6月16日、ツイッターでの呼び掛けに応えて2000人が集まり、「年金返せデモ」を決行。マスコミも大きく取り上げました。
 政府が年金制度に展望が示さない中、日本共産党は保険料の上限を1000万円から2000万円まで引き上げ、高所得者の年金給付の伸びを抑えれば1兆円の財源を増やせることや、200兆円に上る巨額の年金積立金の活用すれば、「減らない年金」にすることは可能と提起しました。
 消費税に頼らず大企業や富裕層に応分の負担を求めて財源を確保し、「すべての国民に全額国庫負担で月8万円の『最低保障年金制度』の創設」(私たちの要求)は可能です。

国保

公費1兆円の投入で払える保険料・税に

 市民連合と5野党・会派は生活を底上げする経済、社会保障政策の確立を「共通政策」で掲げています。中小業者にとって「払える国民健康保険(国保)料に引き下げて安心して医療を受けたい」「安心して加入できる社会保険制度に改善してほしい」という要求は切実です。
 国保料・税は国保会計への国庫負担割合が45%(84年)から30%まで下げられたため、払えないほど高額に。東京23区では、年間の国保料が42万6000円(年収400万円4人世帯)に上り、協会けんぽの年間保険料(本人負担分)の19万8000円の2倍以上です。
 18年4月から国保財政の運営権限を市町村から都道府県に移す「都道府県化」が開始。市町村が国保料・税負担を軽減させるために行っている「一般会計からの法定外繰り入れ」をなくす方針を、安倍政権が打ち出し、国保料・税がさらに引き上がっています。
 全商連は「国保提言」で、1兆円の国費投入で「均等割」「平等割」をなくせば、全国平均で16万円(4人世帯)の引き下げが可能と示しています(表)。政党では日本共産党が「公費1兆円の投入で国保料・税を抜本的に引き下げる」ことを提案。全国知事会や市長会、市町村会も公費1兆円の投入を求めています。

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 重い社会保険料負担の引き下げも切実です。小規模企業振興基本法の付帯決議では、小規模企業の社会保険料の負担軽減のために効果的な支援策の実現を図ることを求めています。社会保険料にも応能負担の原則を貫けば、小規模事業者の負担を軽減させることは可能です。
 さらに最低賃金を1500円にアップし、景気の底上げを図る上でも、中小企業支援は不可欠です。日本共産党は、社会保険料の事業主負担分を減免する賃上げ支援策を打ち出しています。

中小業者に寄り添い 日本共産党 国会の論戦

大手損保会社の契約内容を是正 損保会社の代理店

 大門実紀史参院議員は財政金融委員会(12月6日)で、損害保険会社と保険代理店で取り交わす「委託契約書」が優越的地位の乱用になっているとし、法的根拠の説明と実態調査を金融庁に要求。3月20日の同委員会では、同庁から見直しを検討すると発言があり、大手損保会社で不適切な内容の改定が行われました。

過酷な実態示し実態調査実施へ コンビニ24時間営業

 辰巳孝太郎参院議員は経済産業委員会(4月16日)で、コンビニが24時間営業を強いられるフランチャイズ契約について、公正取引委員会の「フランチャイズ・ガイドライン」では「加盟者に対して正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合」は独禁法違反としていると指摘。公正取引委員会の杉本和行委員長は、「フランチャイズ契約が優越的地位の乱用を禁じた独占禁止法違反になることもあり得る」と答弁。今夏には、公正取引委員会が実態調査を行う検討に入りました。

「生活を困窮」の具体額明らかに 滞納処分の執行停止要件

 倉林明子参院議員は予算委員会(2017年3月3日)で、国民健康保険料(税)の滞納処分の停止要件の具体額を追及。
 厚労省は、国税徴収法で、滞納処分の停止要件が「生活を著しく窮迫させるおそれがあるとき」とし、その基礎となる金額を本人10万円、家族1人につき4.5万円としていることを明らかにしました。

番号不記載でも不利益なし確認 就学援助のマイナンバー

 吉良よし子参院議員は、就学援助の申請書に個人番号の記載を求める自治体の対応について文部科学省に確認。「記載がなくても不利益はない。自治体に条例があるからといって、番号の記載がないことを理由に申請を受けつけないことがあってはならない」との回答を得ました。

働き分否定する税法は見直しを 所得税法56条問題

 大門実紀史参院議員は財政金融委員会(3月28日)で、所得税法第56条問題について、「家族従業者が働いている事実を、税法が否定するのはおかしい」と指摘。
 麻生太郎財務大臣は「だいぶん前から言われている問題。『見直すべき』という指摘は丁寧に検討していく」と答弁しました。

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