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  トップページ > 中小施策のページ > 選挙 > 全国商工新聞 第3077号7月1日付
 
選挙
 

2013年参議院選挙特集 中小業者の要求と争点

 景気、消費税、憲法、TPP、原発など日本の針路と中小業者の明日が問われる参議院選挙(7月21日投開票予定)が迫りました。アベノミクスの効果を中小業者・国民は実感しているのか。「平和でこそ商売繁盛」の願いを託せるのはどの政党か。原発ゼロの方針を掲げ、行動しているのはだれか―。業者の願いと各党の政策を徹底検証しました。

アベノミクス 大企業だけに恩恵
国民所得増やしてこそ
 安倍自公内閣の最大の“売り”となっているアベノミクス。しかし各種世論調査では、「所得は増えない」「景気の回復を実感していない」が7割、8割近くを占めるなど、アベノミクスに対する懸念と不安が広がっています(図1、図2)。

図1、2

 昨年12月の衆議院選挙以降始まった円安の影響で、今年4月以降、輸入原材料や燃料などが高騰。小麦粉や食用油、トイレットペーパーなど生活関連用品の値上げラッシュが続き、庶民の暮らしを直撃、中小業者の営業を圧迫しています。
 全国商工団体連合会(全商連)が実施した「緊急影響調査」でも「材料、経費は上昇している」と答えた中小業者は6割近く。「上昇分を価格に転嫁できない」との回答は7割を超え、今後の経営の見通しについて「よくなる」と回答したのは、わずか3%に過ぎません。
「 この上、消費税が上がったら商売はつぶされる」と、中小業者から怒りの声が上がるのも当然です。
 もともとアベノミクスは、国民・中小業者の暮らしよりも「世界で一番企業が活動しやすい国」(成長戦略)をめざすもの。企業といっても主役は一握りの大企業で、その中身は「投機とバブル」による異常な金融緩和、不要不急の大型開発へのバラマキ、「成長戦略」による雇用ルールの弱体化、消費税増税の推進、年金給付削減など社会保障の大改悪…。
 恩恵にあずかるのは大企業と巨大資産家だけ。中小業者・国民いじめの政策そのものです(表1)。
 しかし、大企業・資産家の利益や資産が増えても、日本経済を支える中小業者(全事業所数の9割、雇用の7割を占める)を苦境に追い込めば、景気回復は望めません。
 消費税増税を中止し、国民・中小業者の仕事や所得を増やす内需主導の景気回復と、それを実現する政治こそ求められています。

表1

社会保障 さらなる給付削減
国保料など負担軽減を
 「社会保障も聖域とせず見直す」―。6月14日、安倍内閣は「骨太の方針」で明記しました。自民、民主、公明の3党は昨年夏、消費税増税を含む「税と社会保障の一体改革」を決めましたが、今度は社会保障の全分野にわたって予算削減と制度改悪に乗り出す、というわけです。
 最初の標的になったのが生活保護。保護申請に「書類提出」を新たに義務付けるなど、相談者を窓口で追い返していた「水際作戦」を合法化する生活保護法改悪案が6月4日、衆院を通過しました。賛成したのは自民、公明とともに民主、維新、みんな、生活。5月24日には、大阪市内で母子が餓死した事件が発覚したばかりでした。
 中小業者の多くが加入する国民健康保険(国保)料(税)は、年間30万円(4人家族の所得200万円層)を超える異常な高さとなっています。そのため11年度の国保料(税)滞納を理由とした差し押さえは21万世帯にも及んでいます。
 さらに、社会保障制度改革推進国民会議は年金の支給開始年齢の引き上げを検討するなど、消費税増税の一方で、社会保障の改悪・切り捨てが相次いで強行されようとしています。
 全商連は、国保への国庫負担金を増やし国保料(税)の引き下げとともに無条件の正規保険証の交付を要求。年金の切り下げに反対するとともに、雇用保険、社会保険などの負担軽減を求めています。
 自民など多くの政党が社会保障の切り下げに賛成する中、日本共産党は「国に社会保障増進の責務を課した憲法25条の全面実現」を提案。国保料の軽減、年金削減の中止などを求めています。

経済再生 規制緩和競い合う
地域循環型経済へ転換
 大企業・富裕層だけが潤うアベノミクス。それに代わる景気対策は、消費税増税を中止し、国民・中小業者の所得と雇用を増やす内需振興を図り、地域循環型経済へと転換することです。
 地域経済の活性化をめざす実践はすでに全国で始まっています。民商・全商連が、地域の建設団体、各地の日本共産党議員・団などとも共同し実現してきた住宅リフォーム助成制度もその一つです。
 すでに全国533自治体で実施(12年、本紙調査、図3)され、この1年で、県を含め200自治体が新たに創設しています。地域内での仕事と資金を循環させるこの制度は「三方よし」の事業として、業者はもちろん、住民、地域にも活気をもたらしています。

図3

 今年4月には群馬県高崎市が「商店街版リフォーム」といわれる個店を対象にした「まちなか商店リニューアル助成事業」を創設しました。店舗改装、備品を購入する場合、その半分(上限100万円)を補助するもので、「行政がこれほど中小業者の支援をしてくれたことはない」と、大きな反響を広げています。
 全商連は緊急5項目要求で、再生可能エネルギーの普及に中小業者の役割を位置付ける事や中小業者に必要な資金を回す日本版・地域再投資法の制定などを求めています。こうした中小業者の役割発揮と仕事おこしを支援することこそ、景気を底から温める確かな道です。
 消費税増税で合意し、大企業優遇の規制緩和路線を推進してきた自民、民主、公明などに中小業者の未来と日本経済再生を託すことはできません。
 日本共産党は消費税増税中止と内需の健全な成長をもたらす産業政策への転換を求めています。

消費税 際限なき増税狙う
無駄を見直し財源確保
 本紙が今年5月に東京都杉並区の商店街で行った調査(個人商店など123人が回答)では、消費税の増税に「反対」が53・7%と半数を超え、価格転嫁が「できない」「部分的に」で46・0%に上り(図4、図5)、「消費税が上がれば、中小業者はどんどんつぶれていく」と切実な声が上がっています。

図4、5

 財界系の調査機関は消費税率の8%、10%への引き上げに伴う家計負担増について、1997年(橋本内閣)の増税時(7兆円)を大きく上回る11兆円と試算(表2)。史上最大の増税であり、中小業者の経営はもちろん、日本経済そのものをどん底に陥れるものです。

表2

 消費税は課税売上高が1000万円を超えれば、赤字でも、価格転嫁ができなくても納税を迫られます。そのため、主要税目の中で新規滞納税額が最も多く全体の5割を超えるなど、「払いきれない」消費税は中小業者の営業を破壊しています。
 地域シンクタンクの試算では消費税率が10%になった場合、福島県の県税・市町村民税は37億円の減収など、被災地の復興にも逆行するものです(表3)。

表3

 全商連は長期にわたる「デフレ不況」下での消費税増税は、国民・中小業者の暮らしと営業を破壊するだけでなく、財政も悪化させると主張。消費増税中止こそ最大の景気対策と訴え、国民の所得を増やし景気を足元から押し上げることを呼びかけています。
 自民、民主、公明の3党は昨年夏、消費税率アップで合意し、維新も増税では一致。安倍内閣は今年秋には税率8%へのアップを判断、来年4月から実施しようとしています。
 日本共産党だけが消費税に頼らない「別の道」を提言。不要不急の大型公共事業や軍事費などの無駄遣いをただし、大企業・大資産家の優遇税制を改めれば、財源はあるとし、消費税増税の中止を求めています(表4)。

表4

憲法改悪 強力な軍事国家へ
平和を守って商売繁盛
 憲法問題が参議院選挙の重大争点として急浮上しています。
 安倍首相は憲法改定の発議要件を定めた96条を変え、現行の両院の3分の2から過半数にすることを打ち出しました。自民、維新、みんなの党など改憲派はこれを突破口に「憲法9条」を変え、「海外で戦争できる国」に変えようとしています。
 実際、自民党の石破茂幹事長はテレビ番組で96条改定について「9条改正を視野に入れたもの」と明言。自民党の選挙公約に、発議要件の緩和と「国防軍」の保持などを列挙しました。維新の会の石原慎太郎共同代表にいたっては「強力な軍事国家になるべき」と後押ししています。
 もともと憲法は、主権者である国民が国家権力を縛るという立憲主義に立ったもの。96条は、時の権力者の都合で憲法を容易に変えられないように高いハードルを課したもので、先進各国では当たり前のことです。
 こうした改憲派の策動にたいし、立場を超えて「反対」の共同が大きく広がっています。
 改憲論者の慶応大学の小林節教授は参院憲法審査会で96条改憲について「裏口入学」と厳しく批判。自民党の古賀誠元幹事長は「96条改定は大反対」「憲法の平和主義は世界遺産」と表明し、加藤紘一元自民党幹事長も「9条に手をつけるな」と戒めています。
 世論調査でも96条改正については「反対」が半数を超え、9条についても「変えない方がよい」が6割近くを占めています(グラフ)。

グラフ

 民商・全商連は、戦前、戦後の体験を通じて「平和でこそ商売繁盛」を信条に憲法改悪阻止へ各界各層と力を合わせてきました。
 民主、公明も「創憲」「加憲」などと揺らぐ中、命懸けで戦争に反対した歴史を持つ日本共産党は、平和憲法を守れと主張し公約に掲げています。

TPP参加 経済主権投げ捨て
農業、医療、業者守る
 「ウソつかない TPP断固反対 ブレない自民党」―。昨年12月の総選挙でこんなポスターまでつくって政権復帰を果たした自民党。しかし安倍首相は3月15日、日米首脳会談でTPP(環太平洋連携協定)への交渉参加を表明、みずから公約を投げ捨てました。
 TPPは「例外なき関税と非関税障壁の撤廃」が大原則。関税ゼロになれば、日本農業は壊滅します。非関税障壁が撤廃されれば、国民皆保険、食品安全基準、さらに中小企業振興条例さえ脅かされ、米国型のルールが日本に押し付けられます。
 民商・全商連は各地のJAや市民団体と一緒になって「TPP参加は地域経済を破壊する」と、参加阻止の集会を呼びかけ、共同行動を広げてきました。
 県議会でも交渉参加に反対か慎重の意見書・決議が可決され、その数は全都道府県議会の94%にあたる44道府県議会に達しています(「東京」6月17日付)。東京大学の醍醐聰名誉教授らが呼びかけた「TPP交渉参加からの即時撤退を求める大学教員の会」も結成され、900人を超える学者・研究者が賛同するなど、新しいうねりも広がっています。
 こうした国民的な反対運動にもかかわらず、民主、維新、みんなの各党は公約破りの自民党と一緒にTPP推進を加速化。自民に至っては交渉参加を進めながら、昨年の衆院選公約で掲げた「聖域なき関税撤廃を前提にする限り、交渉参加に反対」の文言を参院選公約では「国益にかなう最善の道を追及」とあいまいな表現に置き換えました。
 これに対し日本共産党は「TPPは日本を丸ごとアメリカを売り渡すもの」と、即時撤退を主張。JAグループでも自民党候補を推薦から外したり、日本共産党の候補を推薦するなど、大きな変化が表れています。

原発 再稼働・輸出進め
全廃炉と完全賠償要求
 原発ゼロ、再稼働反対の願いを託せるのはどの党か―。参議院選挙の争点の一つです。
 ところが、安倍首相は「世界一安全な原発技術」といって、日立製作所、東芝、三菱重工など原発メーカーと一緒に危険な原発技術を世界に売り込む始末。自民党は選挙公約に「再稼働」の言葉を入れ、原子力技術の輸出についても「支援体制を強化」を盛り込んでいます。
 しかし福島原発事故は、いまだに原因さえ特定できず、政府の「収束宣言」以降も、放射能汚染水漏れや電源喪失事故が繰り返され、今なお15万人を超える人々が避難生活を強いられているのが実態です。
 「原発事故で死者なし」と暴言を吐いた自民党の高市早苗政調会長が福島県民から大きな怒りを買ったのも当然です。
 世論調査でも、原発の輸出について約6割が「支持しない」と表明し、原発の「再稼働」についても反対が6割を超えています。こうした世論を無視して暴走する安倍自公内閣に厳しい審判を下さなくてはなりません。
 全商連は原発事故直後から、国と東電に弁護士、税理士らとともに完全賠償を求める運動を展開。合わせて原発即時ゼロ、原発に頼らない再生可能エネルギー政策への抜本的転換を求めています。

図7

ネット選挙解禁 できる運動は?
ウェブサイトで「△△さんへ投票を」はOK
 今年4月、選挙活動のルールを定めた公職選挙法が改正され、7月の参議院選挙からインターネットや電子メールによる選挙活動が原則解禁となりました。
 インターネットでできる選挙活動は、(1)ウェブサイトの利用(2)電子メールの利用、の2点に分けられます。期間は選挙の公示から投票日の前日までです。
 選挙活動とは「○○候補に1票を」などと呼びかけるもので、「○○党の政策を読んでほしい」など呼びかけることは政治活動となり原則自由です。ウェブサイトには、ツイッターやフェイスブックなどのSNS(注)配信、動画配信なども含まれます。

表

 【できること】
○ウェブサイトで政策を知らせ、投票を呼びかける。
 例えば…「消費税増税ストップのために△△さんを当選させよう」「△△党へ投票してください」
○ウェブサイトで演説会や小集会のお知らせをする。
○ウェブサイトで政党や候補者を事実に基づいて批判すること。
 例えば…「□□党は消費税増税・憲法改正をめざしています。厳しい審判を」などの呼びかけ。
 以上はアドレス、名称の記載が必要です。

【できないこと】
×有権者は、電子メールを使った選挙活動はできません(政党・候補者であれば電子メールを使って支持を訴えることができます)
×ウェブサイトである候補を当選させないために虚偽を広めること。また、自分の氏名を偽って情報発信をすること。
×悪質なひぼう中傷などの行為。
 注意が必要なのは電子メールの利用。選挙期間中に支持を呼びかけられるのは、政党と候補者に限られます。落選を呼びかけることは問題ありません。
 また「ネット選挙」という言葉から「インターネットで投票できる?」という「誤解」もあるので注意が必要です。
 選挙活動の自由を広げる法改正です。中小業者の願いに応える政治実現のためにも、積極的な活用に踏み出しましょう。
【注】▽ウェブサイト…インターネット上のホームページやブログ、ツイッターやフェイスブック、動画共有サービスなどの総称。
▽SNS…ソーシャル・ネットワーキング・サービスの略称。インターネットを通じた社会的なつながり、結びつきを広げるインターネット上のサービス。

全国商工新聞(2013年7月1日付)
   
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