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  トップページ > 中小施策のページ > 選挙 > 全国商工新聞 第3050号 12月3日付
 
選挙
 

2012年総選挙 主要争点と各党の態度

 日本の未来をかけた総選挙公示日が目前に迫りました。中小業者の願いと「自民党型」政治からの転換を託せるのはどの党か。そして消費税増税ストップと税の使い道、原発ゼロ、TPP(環太平洋連携協定)参加阻止、オスプレイ配備反対の国民的な共同を広げてきた本物の政党はどこか。総選挙を前に政党の“野合”が相次ぐ中、主な政党の態度と争点を検証すると…。
 ※以下の政党名は、略称で表記してあります。日本維新の会→「維新」、国民の生活が第一→「生活」、みんなの党→「みんな」


2012年総選挙(1) 消費税 増税やめ、景気回復を

 民主、自民、公明の3党は消費税の大増税を談合で決めました。
 軽減税率の導入や不公正取引の監視強化など小手先の対策で増税を実施しようとしています。これでは、「逆進性」や「転嫁問題」など、根本問題を解決することはできません。
 しかも、民自公3党は、大企業への成長戦略や大型公共投資のばらまきを計画。民主党は「2030年までに160兆円」、自民党は「10年間で200兆円」、公明党は「10年間で100兆円」などと、競い合っています。
 日本維新の会は「消費税率を11%にして、地方税化する」と主張し、さらなる増税を掲げています。
 これらの政党が消費税の増税をめざす背景には財界の要求があります。日本経団連は、15年10月に税率を10%にした上で、17年から25年度にかけて年1%ずつ引き上げ、19%にするよう求めています。消費税に頼る路線では、際限のない税率引き上げの道を突き進むことになります。

日本共産党の提言に注目が
 一方、日本共産党は消費税増税に一貫して反対してきました(図1)。
 「一体改革」が消費をさらに冷え込ませ、日本経済をどん底に突き落とし、財政危機に拍車をかける「愚策」だと批判。選挙後に増税中止法案を提出するとしています。
 消費税増税に頼らずに社会保障を充実し、経済危機を打開するという日本共産党の「改革ビジョン」(図2)が注目されています。

図1 消費税増税に対する政党の態度と変遷

図2 日本共産党の改革ビジョン(抜粋)


2012年総選挙(2) 原発ゼロ エネルギー政策転換は急務

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17万人が集まった「さよなら原発集会」(7月16日)

 原発の再稼働を許さず、原発ゼロの実現と再生可能エネルギー政策への転換を図るのか―。総選挙で問われる重大な争点です。
 各種世論調査では、過半数が脱原発を志向し、大飯原発の再開についても5割から6割以上が反対を表明しています。「原発ゼロ」の世論はかつてなく広がり、7月16日には東京で17万人の大集会が開催されました。
 しかし、政府・民主党は「2030年代に原発稼働ゼロを可能にする」とした戦略を打ち出したものの結局、閣議決定は見送り。大飯原発の再稼働も「活用するのは当然」と容認しました。
 54基もの原発を設置してきた自民党は、脱原発について「実現不可能かつ整合性の取れない夢」(安倍晋三総裁)と攻撃。公明党は「遅くとも40年後に」と「原発ゼロ」を将来に先送りしています。
 「維新」は太陽の党との合流後に発表した政策で「脱原発」の言葉さえ削除。新代表に就任した石原慎太郎氏は「原発をどうするかとか…些細な問題」「センチメントで原発反対をいうのは簡単なことだけど恐ろしいこと」などと、原発反対の世論を敵視してきた人物です。
 一方、日本共産党は根拠のない電力不足や処理できない「核のゴミ」問題を指摘し、「原発即時ゼロ」を提言。再生可能エネルギーへの転換によって経済成長や雇用が生まれる、としています。
 全国商工団体連合会(全商連)は原発事故の2カ月後、「原発からの撤退」「原発ゼロ」を提言。原発被害の損害賠償請求運動を弁護士や税理士と共に広げ、福島県内だけで39億円の賠償を実現しています。賠償金への課税反対も呼びかけ、建設、医療、漁業関連団体など、これまでに70団体から賛同が寄せられています。


2012年総選挙(3) 復興予算 被災地に寄り添う使い方に

 「なぜこんなものまで復興予算が使われるのか」―。被災地はもとより、全国で怒りを広げているのが復興予算の流用問題です。
 反捕鯨団体への対策強化、被災地ではない税務署の耐震改修、核融合炉の実験事業など。立命館大学の塩崎賢明教授の試算によれば、11年度の3次補正予算9・2兆円のうち、4分の1に当たる約2・5兆円が被災地とはまったく関係のないところに使われていました。
 予算流用の大本になったのが、昨年6月に制定された復興基本法です。民主、自民、公明3党の談合で、「活力ある日本の再生」という言葉が付け加えられたことで、何にでも使える仕組みが作られたのです。その財源は恒久的ともいえる所得税、住民税増税。反対したのは、日本共産党と「みんな」でした。
 予算流用で被災地に必要な資金が回らず、中小業者が求めていたグループ補助金は、岩手、宮城、福島の3県をみても申請が受理されたのは34%で、66%が「予算が足りない」などの理由で、却下されました(第5次募集)。
 被災地の民主商工会は、こうした中でもグループ補助金獲得に向け全力。被災に応じた制度創設も要求してきました。10月18日には全商連が中小企業庁と交渉し、「復興予算の使い道を正せ」と申し入れています。

えっ、こんなものまで復興予算


2012年総選挙(4) TTP 参加阻止で日本を守れ

 「例外なしの関税撤廃」で、アメリカに日本の経済主権を売り渡すTPP。その影響は農業はもとより、医療・薬価制度、労働規制、食品安全基準、共済制度など多くの国内制度が改変を迫られます。
 解散直後、JA全中の萬歳章会長は「TPP交渉参加反対を明確にした候補者・政党を支援する」との談話を発表。日本医師会も国民皆保険制度を揺るがすとして「全面的に反対」する姿勢です。TPP意見書も10年10月以来、44都道府県で延べ100件可決しています。民商・全商連も各地でJAなどと一緒に参加阻止の集会を呼びかけてきました。
 こうした参加反対の国民的な共同の広がりにもかかわらず、民主党はTPPへの参加を推進。野田首相は解散前後にTPP参加を選挙の争点に持ち出すことさえ表明し、20日の日米首脳会談では「(参加に向けた)協議を加速する」と約束しました。
 自民党の安倍総裁は、日本商工会議所との懇談(11月15日)で「『聖域なき関税撤廃』を突破する交渉力が自民党にはある」と述べ、TPP交渉に参加する可能性を示唆。「維新」は政策でTPP交渉参加を明記しました。「みんな」も一貫して「早期交渉参加をすべき」と主張しています。

TPPは米国政府・業界の要求

TPPへの各党の態度


2012年総選挙(5) オスプレイ 米軍基地も即時撤去を

 オスプレイ配備撤回と米軍基地の全面撤去も大きな争点です。
 構造的欠陥を抱えるオスプレイは、事故率が高く、開発・試作機段階から墜落など重大な事故を繰り返してきました。
 その危険なオスプレイの沖縄配備を強行したのが政府・民主党です。
 安全を脅かされるのは沖縄だけではありません。すでに山口県の岩国基地などを拠点にした全国七つの低空飛行訓練ルートが明らかになっています。東京都の横田基地や神奈川県の厚木基地の施設利用も判明しました。日本の空全体の安全が脅かされる中で、「配備や訓練中止」を求める意見書・決議が、これまでに147自治体で可決されています(11月21日現在)。
 沖縄配備直後には米兵による女性への性的暴行事件も発生し、住宅地上空は飛ばないとの日米合意さえ無視した飛行訓練を繰り返しています。
 「米軍基地の全面撤去を求める声が出始めている」と、沖縄県議会が決議したのも当然です。
 米国政府はオスプレイ配備について「日米安保条約上の権利」(パネッタ国防長官)と主張します。「日米同盟の堅持・強化」では自民党、公明党、「生活」、「維新」もスタンスは同じ。「維新」の橋下氏に至っては、危険なオスプレイ配備を「お願いする」とまで明言しています。
 一方、日本共産党はオバマ大統領に書簡を送り、女性暴行事件、オスプレイ配備強行に抗議。基地の全面撤去を求めています。
 全国商工団体連合会もオスプレイ配備撤回、基地の全面撤去を求めて、運動を続けています。

オスプレイの拠点と使用が予定されている低空飛行訓練ルート


2012年総選挙(6) 税務行政 納税者権利憲章の制定を

 人権無視の税務調査や強権的な徴収が横行しています。納税者の権利を保障することは憲法に基づく国の責務です。民主党は「納税者の権利憲章」の制定を選挙公約に掲げ政権に就きました。
 ところが、その公約を完全に投げ捨てました。それにとどまらず、自民や公明両党と談合し、税務当局の課税権を強化する国税通則法の改悪で合意。改悪国税通則法は昨年11月30日、民主、自民、公明の3党とたちあがれ日本(当時)が賛成して成立し、国民・中小業者の権利保護に関する条項を削除する一方で納税者の義務を強化しました。
 日本共産党の佐々木憲昭衆議院議員は国会で「民主党の選挙公約に違反し、内容も重大な問題がある」と厳しく批判。税務調査は任意にもかかわらず、文書による事前通知義務を削除していると指摘。強権的調査がまかり通ることになると追及しました(2011年11月18日衆議院財務金融委員会)。
 国税庁の岡本栄一次長は「同意がなければ調査はできない」「事前通知は調査開始日まで相当の時間の余裕をおいて行う」と答弁しました。


2012年総選挙(7) 自家労賃 所得税法56条廃止へ

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56条廃止を求めた全婦協と安住財務大臣の懇談

 業者婦人の働き分が認められないのは人権問題。働き分を給与として認めてほしい―。全商連婦人部協議会(全婦協)は創立以来、家族従業員の働き分を正当に認めない所得税法第56条の廃止を求め、業者婦人の地位向上をめざしてきました。各地の民商婦人部も自治体や地方議会に働きかけ、同条廃止を求める意見書や陳情書などを提出。現在、全国で366自治体が意見書・陳情書を採択しました。
 国会では、大門実紀史参院議員をはじめとした日本共産党の国会議員が同条廃止を繰り返し要望。藤井裕久財務相(当時)から「廃止についてしっかり検討していきたい」との回答を引き出していました(09年11月17日)。
 また、全婦協は今年9月27日、安住淳財務大臣(当時)と懇談し、同席していた大門議員とともに所得税法第56条の廃止を要望。「財務省でも実情は把握している。検討も次の段階に入る。今は政治的にタイミングを計っている」と回答しました。


2012年総選挙(8) 社会保障 制度解体許さず拡充を

 消費税増税と一体に進められている社会保障の大改悪。民主党は最低保障年金制度の創設や後期高齢者医療制度廃止など選挙公約を投げ捨てました。自公両党は民主党に公約破りを迫り続けました。
 見過ごせないのは、3党の「密室談合」で合意し、まともに審議もせずに「社会保障制度改革推進法」を成立させたことです。同法は社会保障の土台を「自助努力」「家族などの助け合い」に置き換え、憲法25条に基づく社会保障への国の責務を縮小させるものです。自民党の「構造改革」路線とそれを丸ごと引き継いだ民主党政権によって、医療や年金、介護などの社会保障制度は危機に直面し、とりわけ年金制度では国民・中小業者の信頼を失っています。
 「維新」は生活保護を受給できる期間を設ける「有期制」の導入や保険が効かない医療を広げる「混合診療の完全解禁」など一層の改悪を狙っています。
 消費税増税ではなく、「負担能力に応じた負担」という税の原則に立ち社会保障の再生・拡充を提案しているのが日本共産党です。

社会保障に関する政策・態度


2012年総選挙(9) 仕事確保 住宅リフォーム助成拡充を

 仕事確保は中小業者の切実な要求。建設業者はその要求を実現するため、住宅リフォーム助成制度を積極的に活用し、仕事を確保しています。自治体や住民にも喜ばれています。現在、全国で533自治体が実施(2012年7月11日現在)し、この8年間で6倍に増えました。
 この制度はリフォーム工事費用の一部を自治体が助成するもので、工事金額は助成額を大幅に上回り、自治体職員も驚くほど経済波及効果は抜群。継続や制度を拡充する自治体も増えています。
 「仕事がほしい」との中小業者の声に応えて、日本共産党の市田忠義書記局長は参議院本会議で「いま政治がなすべき課題の柱は、企業数の99%、雇用の7割を占める中小企業への支援」と迫り、住宅リフォーム助成制度が助成額の10倍から20倍を超える経済波及効果が生まれていることを示し、国による支援強化を求めました(2011年1月28日)。
 菅直人首相(当時)は「住宅市場を活性化させる観点から住宅リフォームの推進は極めて重要」と答弁。「(同)制度については社会資本整備総合交付金を活用することができ、今後とも支援していく」と約束させました。


2012年総選挙(10) 国保料 国庫負担増やし引き下げを

 国保料(税)が高くて払えないと中小業者などから悲鳴が上がっています。滞納を理由にした保険証の取り上げや売掛金などの差し押さえが強まっています。
 高くて払えないほど国保料(税)が跳ね上がっているのは、国が国保予算への国庫負担金を減らしたからです。全商連は国庫負担金を総医療費の45%に戻すとともに応能負担の原則を適用し、払える国保料(税)にすることを要求しています。同時に減免制度を拡充し、保険証の取り上げや機械的な差し押さえをやめることを求めています。
 日本共産党の紙智子参議院議員は経済的理由で医療を受けられずに病状を悪化させている実態を国会で告発し、国保料(税)の引き下げを迫りました(2012年4月3日参議院厚生労働委員会)。同時に札幌市の事例を示して所得200万円(夫婦と子ども2人)の世帯で国保料が年約35万円にも上ることを訴え、国保料が払えずに保険証を取り上げられた世帯が全国で約30万世帯に上ることを指摘して、国費を投入して国保料を引き下げるべきだと迫りました。
 小宮山洋子厚労相(当時)は「消費税増税分を回して低所得者の国保料を軽減する」と答弁。しかし、消費税増税分のうち国保に回すのは2200億円に過ぎないことから、全国の市町村が国保料(税)を抑制するために負担している4000億円にも及ばないと指摘しました。


2012年総選挙(11) 融資 金融円滑化法の延長を

 「下請け単価は2年前の3分の1、景気は悪くなるばかり」…多くの中小業者が厳しい経営を強いられる中、政府は来年3月末で金融円滑化法の打ち切りを決定しました。その動きと前後して「変更した条件で返済していたのに、売掛金を差し押さえられた」「『条件変更前の支払いに戻せ。できないなら預金を拘束する』と言われた」など金融機関の貸し渋り、貸しはがしが再燃し始めています。
 民商・全商連は、こうした実態を告発するとともに、国や金融機関に改善を要求。「円滑化法廃止後も、引き続き条件変更に応じる」などの回答や、来年3月以降も条件変更への柔軟な対応を指示する金融担当大臣「談話」を出させました。
 国会では日本共産党の佐々木憲昭議員は衆議院財務金融委員会で、中塚一宏金融担当相が金融円滑化法の再度の延長はしないとしている問題を取り上げました。中小企業の経営実態を見れば来年3月末の期限も延長すべきだと求めたのに対して中塚氏からは「監督・検査は引き続き変わりません」と回答を引き出しました(11月7日)。今度の総選挙では、全商連が要求する、金融円滑化法の恒久化、金融機関に中小業者に必要な資金を回すよう促す「日本版・地域再投資法」の制定、中小業者の不良債権扱いを許さない金融検査マニュアルの改正などの実現へ向け奮闘するのはどの党かが問われています。


2012年総選挙(12) 年金 生活できる年金に

 解散直前の臨時国会で、年金支給額を3年間で2.5%削減し、基礎年金国庫負担引き上げに消費税増税に充てる年金改悪法が駆け込みで成立しました。民主、自民、公明の3党と「維新」が賛成しました。この改悪によって国民年金(満額)で年2万円、厚生年金(夫婦で月23万円の場合)で年7万円も下がり、暮らしを直撃するのは明らかです。
 民主党は「月額7万円の最低保障年金の実現」の公約を自公両党の談合で投げ捨てたばかりでなく、年金額を大幅に減らしました。その責任は重大です。
 また、自民党は民主党に公約破りを迫り、公明党も年金を削減しているのに衆議院選での重点政策で「老後の大きな安心を」と宣伝しています。「維新」にいたっては橋下徹代表代行が「医療、年金、介護、社会保障が日本をつぶす一番重要な原因だ」と社会保障を敵視しています。
 日本共産党は2段階の改革を提案。民自公3党が強行した金額の2.5%削減を中止し、無・低年金者を無くすため受給期間を直ちに25年から10年にするとしています。第2段階ではすべての国民に最低保障年金を月5万円支給することなどを提案しています。

   
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