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  トップページ > 教育のページ > 文化 > 全国商工新聞 第2861号 1月5日付
 
教育 文化
 

平和の大切さ伝えたい

子どもたちに「平和映画」を伝えて

 大分民主商工会の葉玉久さん=映画配給・出張上映=は映画を通して命と平和、人権の尊さを大分県内の小中高生を中心に伝え続けています。

憲法9条がある命の尊さ知って
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体育館で映写機の位置を調整する葉玉さん
 葉玉さんは昨年11月13日、大分県中南部にある臼杵市立上北小学校でアニメ映画「ライヤンツーリーのうた」を上映しました。終了後、葉玉さんは子どもたち一人ひとりの目を見ながら「憲法9条を変えない限り日本は戦争をしません。62年前、日本国民が決めたのです。だから1年に1日でいいから日本国憲法をほめてください」と語りました。
 「ライヤンツーリーのうた」は、日中戦争で日本軍に強制連行された中国人の農民が北海道の炭鉱から脱走し、終戦を知らず、13年間も逃走し続けた実話を題材にしたもの。旧満州でソ連軍に母親を殺され、精神的ショックで言葉を失った日本の少女と逃走する中国の農民が出会い、その農民が歌う子守り歌を機に少女が言葉を取り戻す物語。戦争で傷ついた人間同士が心の交流を通じて希望を失わず生きるさまを描きながら満州開拓団の悲劇、中国を侵略した加害の両面を写した傑作です。

子どもたちから感想が次つぎと
 係の先生が「映画の感想を言える人」と子どもたちに呼びかけると、全校児童80人中50人以上が立ち上がり、それぞれが感じた思いを話し始めました。
 N君(10)は「中国人が炭鉱で働かされている場面を見て許せなかった。憲法をつくった人たちは平和を愛しているんだと思った。僕の平和や幸せは友達と笑顔でいっぱい話しをしたりするとき」と発表。M君(10)は「9条をつくった人はすごい。戦争をしない、武器を持たないと自信を持っている」と応えました。
 教頭のI先生は「感想を述べる子どもは通常の行事で20人から30人ほどなのに、きょうは倍ぐらいの子どもが出てきた」と驚き、S先生は「映画や葉玉さんの話が伝わり、みんな自分の言葉で言いたかったのだと思います」と顔をほころばせました。
 「昨年あたりから上映終了後、(憲法や平和について)話をしてほしいという依頼が多くなった」と話す葉玉さん。「映画の主人公が言葉を取り戻したことを、子どもたちが自分のことのように思ってくれて。その素直な感性に学ばされることばかり。感想文をもらい、『毎年、楽しみにしています』と先生たちからも言われ、励まされるから頑張れるんです」と語ります。

採算度外視でも届けたい思いが
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葉玉さんの話を真剣に聞く上北小学校の児童ら
 上映した学校数は03年からの5年間で約432校、生徒数は4万2000人に上ります。映画鑑賞など文化的な授業が全国的に削減され続けており、経営的には厳しい状況が続きます。しかし時には採算度外視で全校児童7人の小学校にも大きな映像機材と暗幕をライトバンに積み込んで出向きます。
 「たとえ1人でも映画の内容を家族に話してくれるとうれしい。人間が部品や『モノ』扱いされる現状、世界中で起こされる戦争や飢餓などで苦しむ人たちに視点を向け思いをはせる、命の尊さを知る原点の一つだと思うのです。子どもたちには自分の命、他人の命を大切にする大人になってほしい」
 葉玉さんの心からの願いです。
   
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