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  トップページ > 国保・年金のページ > 国民健康保険 > 全国商工新聞 第2969号 4月 4日付
 
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国保料引き下げ 1世帯2万円=北海道・旭川

一般会計から5億円を繰り入れ、4月から
 北海道旭川市では、今年度から国民健康保険(国保)料が1世帯当たり平均2万円引き下げになりました。一般会計からの繰入金を5億円増やすことで、国保財政の財源をまかないます。旭川民主商工会(民商)は高すぎる国保料を下げるよう署名運動を展開し市と交渉を重ねるなど奮闘。道理ある要求と運動は政治を変え、自治体を動かすと確信が広がっています。

 旭川市は北海道のほぼ中央に位置する人口約35万人、国保加入世帯数5万8350(08年度)の中核都市です。
 市は3年前から国保料の滞納者に対して容赦のない取り立てを行い、大問題となっていました。

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旭川民商の署名活動に、道行く人々が足を止めて応じてくれました Photo
積み上げられた署名は、市の国保加入者の3割に当たる1万7497人分に達しました。

賦課と徴収は別問題と強弁
 夫婦と子ども2人の4人家族の自営業者Sさんは国保料を100万円滞納し、今年度は56万円賦課されました。払いたくても払えない事情を市役所に相談すると、「所得があるのだから支払えないわけがない」「財産を調べて差し押さえることもある」とまで言われました。
 また夫婦と専門学校に通う子どもの3人で生活するBさんは、過年度分の国保料の滞納額が100万円。今年度は64万円賦課されました。納付相談に行くと「なんで子どもを専門学校に通わせているか」「家があるんだったら、家をどうにかしなさい」「車も差し押さえます」と言われました。
 民商は昨年4、7月の2回、旭川市に要望書を提出して交渉しました。しかし旭川市税務部納税課の課長は「国保料が高いことは議会の答弁もあり分かっている。しかしわれわれの仕事は賦課された金額を徴収することで、別問題と考えている」と厳しい取り立てを続ける姿勢を崩しませんでした。

道内主要都市と保険料を比較し
 民商は道内の主要都市と旭川市の国保料を比較調査。家族3人で所得200万円の場合、旭川市は44万6000円であるのに対し、札幌市は37万2000円、帯広市は35万4000円、江別市は32万9000円となり、江別市とは11万7000円もの開きがあることが分かりました。
 ここまで高くなった理由は、国保事業特別会計の累積赤字が一時20億円に達し、収納率も道内でワーストワンになったためです。解決に向け、市は国保料を毎年のように引き上げるとともに、税務部を3年前に新設し徴収を強化。その結果、旭川市の国保特別会計の単年度収支は08、09年度の2年間で14億円の黒字となり、2010年度も4億円の黒字が見込まれることが分かりました。
 「引き下げる財源はある」-。財源論を突破したことで署名は一気に広がりました。役員・会員が署名活動に大奮闘。取引先の客に訴えて3桁の署名を集める役員や、店先に署名を置いて来店客に訴える理容業の役員、町内会を軒並み歩いて訴える役員など、開始から4カ月で1万7497人分の署名が積み上がりました。これは国保加入世帯の約3割に当たります。
 Yさん=美容=は「お客さんや町内会の役員にもお願いしましたが、『なんぼでも書くよ』『少しでも保険料が下がるんなら』と歓迎され、断る人はほとんどいなかった」と声を弾ませます。

全会派を訪問し市長も公約に
 昨年10月には、紹介議員を募るため市議会の全会派を訪問。4会派と懇談し、日本共産党4人と無党派ネットワークの2人が紹介議員になりました。11月の市長選挙では、2期目をめざす西川将人市長が市民の声を受ける形で、選挙公約に「国保料の負担軽減」を掲げて当選。これを受けて12月の議会では「来年度の予算編成に向け、軽減を図る方向で関係部局に指示している。国保に加入している人たちの切実な声を受け止め、検討したい」と答弁していました。
 また、2月24日には請願署名が市議会で全会一致で採択されました。
 斉藤俊仁副会長は「署名が市政を動かした。これは大きな確信になる。本当に署名は大切だということを実感した」と話し、西支部の五井喜宣支部長は「大きな成果となってとてもうれしい。市民にも喜んでいただける取り組みになった」と話しています。

全国商工新聞(2011年4月4日付)
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