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  トップページ > 経営のページ > 公正取引 > 全国商工新聞 第2868号 2月23日付
 
経営 公正取引
 

マツダ本社の下請実態を調査、県にも要請

 自動車メーカー「マツダ」が本社を置く広島市。マツダを支えてきた下請け業者の仕事が一気になくなり、苦境に立たされています。全国商工団体連合会(全商連)は5、6の両日、広島県商工団体連合会(県連)とともに緊急に下請け業者の実態を調査し、マツダ本社と広島県に救済と支援策を強めるように申し入れました。行動には全商連の三谷信雄副会長や県連の加賀茂会長らが参加。マスコミも注目し、地元テレビや新聞などで報道されました。

「受注ゼロ…打つ手ない」
全商連広島県連 本社、件に支援要請

 実態調査では2次、3次の下請け7社を訪問。底が抜け落ちたように、仕事が激減した実態が浮き彫りになりました。

9月以降仕事が止まった
 「経営が悪化しているのは、われわれの責任じゃない。個人の力ではどうしようもない。売り上げが減った分の穴埋めをしてほしい」。せきを切ったように思いを打ち明けたのは広島北民主商工会の内田博さん(仮名)。パート従業員が14人います。
 昨年8月ごろまで厳しいながらも仕事は順調でした。ところが、9月以降は、60%の受注減です。従業員の生活を考えると、辞めてもらうわけにもいかず、労働時間を減らして仕事を回しています。
 同業者の中にはすでに廃業に踏み切った人もいますが、内田さんはセーフティーネット保証を活用して、なんとか困難を乗り越えようとしています。「本音を言えば、もう廃業したい。借入金の返済や従業員のことを考えれば、辞めることもできない。今が底ならまだ、頑張れるが、どこまで落ちるか分からない」と内田さんは訴えます。
 Mさんは、廃業を考えています。昨年11月から受注が激減し、最近は1日働いて3日休む状況です。「事務所も12月に建てたばかりだけど、このままいけば、もっと赤字が増える。傷口が広がる前にやめる。借金の返済は10年前に終わり、長男が関連会社を起業して社長をしているから、仕事も任せられる」と言います。

3月は仕事ゼロ 打つ手がない
 「1月は5割減、2月は8割減、3月はゼロ。一次下請けに仕事がないからどうしようもない」と話すのは広島民商の田中明さん(仮名)。1月は4日間、2月に入ってからは半日しか働いていません。
 「弟がやっているNCフライスの仕事があるだけで、それも1月に入ってから受注が落ちて、打つ手がない」と言います。自家用車を売り、電圧を低くして電気代を節約し、経費を削減しています。「マツダの在庫調整が進んで3月になれば、ある程度のめどが出てくるのでは」と望みをつなぐ田中さん。「やめようと思っても住宅ローンが残っているし、年金はまだもらえない。この年になって雇ってくれるところもない。仕事さえあれば…」と悔しさをにじませます。
 マツダは3月末まで期間工、派遣社員を500人追加で削減し、減産幅も拡大すると報じられています。「3月までもちこたえられるか」―。年度末に向けての危機が下請け業者にさらに襲いかかろうとしています。



「下請けに情報提供を」
 マツダ本社に迫る

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広島県連に支援策の強化を求める三谷副会長(左)、加賀県連会長(左から2人目)ら
 マツダ本社に対し、下請け業者の実態を告発するとともに、生産計画の変更など十分な情報を提供すること、部品は地元で調達すること、固定経費の支援を行うことなどを要望しました。
 総務部の古田篤良マネジャーは「何とか生き残るために模索している。89年間、地域でお世話になったことは忘れてはならない。厳しい中でマツダがしっかりしなければ」と答えました。
 地元紙では同社の山内孝社長が「輸入部品の購入を増やす」と述べたことが報道され、下請け業者の間では「マツダが海外に移転するのではないか」との声が上がりました。
 このことに対して古田マネジャーは「海外に出ることはありえない」と断言。海外での部品調達も「一部の部品に限られる。広島あってのマツダ。地域性を大切にしなければならない」と述べました。
 先の見通しにつていは「輸出が8割近くを占め、海外がどう動くか。来期の数字も出せない状況。決算が終わって4月、5月ごろにある程度の指針が出てくるのではないか」と答えました。

10年返済の制度融資を
 県商工労働局と交渉

 広島県との交渉では、商工労働局総務管理部の山田幸博部長が「2次、3次下請け業者が厳しいことは聞いている。良いと思うことは実行したい」と回答。しかし、県の支援は2億7000万円もの税金を使ってマツダ車を200台購入しようというもの。加賀会長は「下請け切り、派遣切りをしているマツダに信認を与えるようなもの。2億7000万円は中小業者の施策に回すべき。業者を救ってほしい」と県の姿勢を正しました。
 また、セーフティーネット保証に対応して制度融資の返済を7年から10年に延長することを要望。「借り換えしても返済額は減らない。ほかの県ではすでに10年に延ばしている」と迫りました。
   
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