コンビニ 人手不足、24時間営業 廃棄ロス…問題解決し経営を守ろう

コンビニ24時間営業 合理性ない

全国商工新聞 第3371号2019年7月29日付

加盟店との共存共栄こそ

 東大阪市のセブン-イレブンオーナーが時短営業に踏み切ったことを契機に、あらためてコンビニオーナーの過酷な経営実態が明らかになり、是正を求める世論が広がっています。そんな中、北海道に拠点を置くコンビニ「セイコーマート」(略称セコマ)は、店舗ごとに営業時間を「フレキシブルに設定」、ロイヤルティーは「総粗利益の10%」に設定するなど、画期的なフランチャイズ運営(FC)で、新しいコンビニのあり方を示すものと注目されています。株式会社セコマの広報部長・佐々木威知さんに経営理念を聞きました。

コンビニ「セイコーマート」
株式会社セコマ広報部長 佐々木威知さんに聞く

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7~23時を基本に

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店内で調理した料理を提供する「ホットシェフ」も人気のセイコーマート

─24時間営業問題をどう考えますか。
 全店一律の24時間営業はそもそも理にかなっていません。セコマで24時間営業を行っている店舗は全体の22%にすぎません。創業(1971年)当初から、7~23時営業が基本です。深夜営業のニーズのないところで24時間店を開けると、それに必要なコストを誰が持つかという問題になります。良い商品・サービスをできる限りリーズナブルな価格で提供することが使命であるとすると、ムダなコストをかけて、それを価格に転嫁することなどできません。経営上、合理性がないということです。
 この間、コンビニの問題とFCの問題が混同されてきたように思います。そもそもFCシステムは本部が開発してきた経営ノウハウを移転することで、共存共栄を理念にする合理性をもった事業モデルです。その精神は、本部と加盟店の利益配分に表れます。
 加盟店あっての本部です。両者の関係は対等でなければなりません。お互い契約に定められた権利と義務があるわけですから、相互に理解し合い、問題があれば話し合って解決に当たらなければなりません。
 今の問題は、24時間営業に必要な利益を加盟店が得られなくなったという問題だと思います。

商品開発に力入れ

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規格外の北海道産メロンを使って製品化したメロンソフト

─なぜ、ロイヤルティー10%が可能なのですか。
 弊社は食品製造や物流分野にも事業領域を拡大し、多角化を通じ、強い経営体質をつくるために努力しています。サプライチェーン全体で稼いで、ロイヤルティーだけに頼らない経営をめざしています。店舗を増やすことを目標にはしていません。地域に密着し地域に必要とされる店づくりを通じ、地域貢献することが目標です。
 他のチェーンとの競争の中で生き抜いていかねばなりませんから、特徴のある商品展開に力を入れています。北海道という地の利を生かし、地場のものをできる限り使ったプライベートブランド(PB)商品です。取扱商品3500種のうち1000点に上ります。
 例えば、規格外のメロンを活用したアイスクリーム。傷ついたメロンは廃棄するしかなかったのですが、農家から「なんとか利用できないものか」と相談を受け、2006年に製品化を実現しました。
 今では、年間100トンを仕入れ、製品の3分の1は、道外に販売し、地域外から収入を獲得しています。地域経済循環と道経済の発展への貢献につながると考えています。

やりがいを持って

─直営店が多いのはなぜですか。
 直営店は80%とだんだん増えてきました。直営と言っても子会社の運営ですから、厳密には直営ではありません。直営店の店長は、店の運営には裁量をもっています。店長に女性が多いのが特徴で、みんな地元の人です。パート勤めの人が、チーフになり、店長になり、スーパーバイザーにというコースです。
 コミュニティーのために良いサービスを提供したいという思いが強く、やりがいを感じて働いてくれていることが強みです。昨年の北海道地震で全道がブラックアウトになりましたが、本部が指示したわけでもないのに、多くの店が自主的に店を開けていたことが分かりました。「停電で困っている人がいるだろう」と、店長が営業時間外でも店を開けていたのです。
 オーナーが高齢になり、後継ぎがいないケースでは、店を畳みたいという相談も増えています。オーナーが地域で築いてきた信頼を引き継ぐという趣旨で、本部として土地や店舗を借り受け、同時にオーナーは不動産収入を得ます。直営が増えてきているのはそのような事情からです。

─店舗運営の効率化はどうですか。
 省力化には積極的に取り組みたいと考えています。 人材確保は厳しい面もありますが、今は働いている人たちに働き続けてもらえる環境をどうつくるかだと思います。いかに仕事の量を減らすか、全店の店長からアンケートを取ってヒアリングも行い意見を集めています。それを積み上げ、ひとつひとつ改善を進めています。併せて教育も大事です。パートさんに集まってもらい研修やワークショップも行っていますが、確実に離職率は下がります。

─今後の戦略についてはどうですか。
 高齢化が進んでいます。健康寿命を延ばす上でも、食を通じて健康づくりを行える商品展開に力を入れていきたいと考えています。

 ※セコマは北海道に拠点を置くコンビニチェーン。道内と関東2県に1190店舗を展開。道内では1000店舗を超えコンビニ第1位の地位に。原料生産・仕入、製造、物流、小売までを自分たちの手で担うサプライチェーンへ移行を進めています。コンビニ事業では、加盟店の柔軟な営業時間の設定、元日の休業、見切り販売の実施を認め、共存共栄を前提にロイヤルティーは総粗利益額の10%に設定。また、加盟店はテリトリー権を有すると、半径150メートル以内の出店は行わないとしています。

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