コンビニ 人手不足、24時間営業 廃棄ロス…問題解決し経営を守ろう

コンビニ各社が「行動計画」公表
「もうけ本位」抜け出せず

全国商工新聞 第3363号2019年6月3日付

 経済産業省からの要請を受け、コンビニエンスストア各社は4月25日、人手不足や競争激化などフランチャイズチェーン(FC)店が抱える課題の是正策を盛り込んだ行動計画を公表しました(別表)。2月に人手不足を理由に24時間営業の短縮に踏み切り、「全国一律24時間営業強制」の是正へ本部を動かすきっかけをつくった、大阪府のセブン-イレブン東大阪市南上小阪店の松本実敏・オーナーに「行動計画」について聞きました。

セブン-イレブン 東大阪市南上小阪店
松本 実敏さんに聞く

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 セブン-イレブンの「行動計画」は、マスコミ・世論に対するパフォーマンスにしかすぎないと思います。
 24時間営業からの営業時間短縮について「最終判断はFC店オーナーに委ねる。個店ごとに柔軟な運営のあり方を模索する」などと言いますが、口先だけのように思います。
 営業時間を短縮すれば、売り上げが下がるのは当然です。「加盟店様の売上・利益の低下を招かないように実証実験の結果をしっかりと検証して」いくと述べているように、時短すれば、売り上げが下がるという結果を示し、できるだけ時短をさせないようにしたいという考えが透けて見えます。

営業時間短縮で店の利益は増加

 私は2月から時短営業に踏み切り、この間、売り上げは下がりましたが、店の利益が増えています。売り上げが下がったので、本部に対するロイヤルティーも減ります。セブンはこれを一番嫌がるのです。
 私はこれまでセブンが一番と思ってきましたが、この間の本部の動きを見てきて、これまでの考えがちょっと変わってきました。コンビニという業態は、社会に必要だと思いますが、それは必ずしもセブンでなくてもいいのではないか、と思うようになりました。
 本部の中にはロイヤルティーを見直すことを表明するところも出ています。他の本部には、セブンが非難されていることから学び改善していこうという姿勢が見られますが、セブンは、あくまでもうけ本位から抜け出せていません。加盟店にいろんな負担を押し付けて、搾るだけ搾る。オーナーが疲弊し限界にきていても、本部だけがもうかって成長すればいいというような、これまでのビジネスモデルは、これからの時代には通用しないでしょう。

セブンの「計画」 核心に触れない

 「加盟店とともに」と言うのならば、中身が伴わないといけません。セブンの「行動計画」は、何ひとつ問題の核心に触れるような具体策は示されていません。加盟店がいくら赤字になろうと売り上げさえ上がれば本部はもうかるという仕組みの根本は変わっていません。
 全商連の「コンビニ見解」は全くその通りです。セブンを変えるには、外から攻めていくしかありません。世論や政治の力が必要だと思います。私がセブンから契約解除されずに、営業を続けられているのも全国の運動のおかげです。
 FC契約の改革に向け、全国のオーナーさんに働き掛けてくださっている皆さんの取り組みに敬意を表します。

行動計画

大手は横並び

 コンビニ各社は4月25日、経済産業省の要請に応じ、「行動計画」を公表しました。
 コンビニ大手3社が「加盟店への支援」等で打ち出している内容は、「セルフレジ」方式への転換で加盟店の人手不足を軽減する▽24時間営業については実証実験の実施や加盟店と個別に相談する-という内容で、横並び感の強い「計画」となっています。
 また廃棄ロスの削減も掲げています。5月17日にセブン-イレブンは、今秋から全店で、販売期限まで4~5時間に迫った弁当やおにぎりなどの購入者に、本部側が負担し、電子マネーnanacoのポイントを5%還元することを発表。ローソンも同様のポイント還元を発表しました。
 これについて、FC加盟店協会の庄司正俊会長は「今回のポイント還元は本部の負担ではあるが、還元率は数%にとどまり、品目も販売期限の迫った品目に限られている。しかもnanacoの利用者に対しての特典。どれだけの効果があるか疑問。それよりも加盟店がもっと値引き販売を自由にできるようにすべきだ」と話します。また、「コンビニ大手の『行動計画』はロイヤルティーの引き下げに踏み込んだものはなく、全体として見かけ倒しの印象がぬぐえないが、地方コンビニのセイコーマートの経営スタンスは素晴らしい」と評価します。

柔軟な営業時間 セイコーマート

 北海道を中心に展開するセイコーマートは、「営業時間は7時から23時の16時間を原則とし、お客さまのニーズに合わせて、フレキシブルに設定できます」と加盟店の裁量を広く尊重しています。また、「ロイヤルティーは総粗利額の10%に設定」するなど、共存を前提にしたロイヤルティー率を設定しています。大手に対し、地方コンビニが持続可能なフランチャイズの在り方を追求していることが注目されます。

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