コンビニ 人手不足、24時間営業 廃棄ロス…問題解決し経営を守ろう

オーナーの経営権を確立し対等な契約を

全国商工新聞 第3360号2019年5月13日付

全商連「見解」に反響広がる

 各地の民主商工会(民商)で全国商工団体連合会(全商連)の「24時間営業などコンビニが直面する課題と私たちの考え」(「コンビニ見解」)に基づき訪問・対話が進んでいます。神奈川県内でセブン-イレブンを経営するオーナーの声を紹介します。

神奈川県のセブン-イレブンオーナーが告発

 コンビニの経営を20年以上も続けていますが、私と妻を合わせて手取りは月13万円にしかなりません。これほど収入が低い状態にあることは、恥ずかしくて人には言えません。しかも、休みはいつも不定期。今も、深夜2時~5時の時間帯に防犯上も兼ねて店に立っています。
 なぜ、こんなに苦しいのか。それはフランチャイズのシステムにあります。

仕入れに金利発生 オーナーの負担に

 第一は、オープンアカウントという独特の会計システムにあります。
 オーナー店に変わって、仕入れをセブン-イレブン本部が代理で支払う仕組みですが、買掛金ではなく、融資(借入金)として会計上処理がされるため、加盟店に金利がついてしまうという問題があります。
 通常、商品を仕入れたらそれは買掛金となり、仕入れ先に翌月か翌々月に支払いをしますが、金利はつきません。オープンアカウントでは、金利が発生し、オーナーが負担するのです。

人件費の高騰続き開業時の倍以上に

 第二は、人件費の高騰です。店を始めた頃は時給485円でしたが、今は983円と倍以上になっています。店の周辺には外国人が多く、アルバイトの多くを外国人に依拠していますので従業員は確保できていますが、この人件費の高騰は想定外です。

「契約解除」脅され ロスが出ても発注

 第三は、廃棄ロスが減らないことです。
 本部は廃棄品原価の15%を負担するようにはなりましたが、ロスは加盟店の負担です。本部から週単位で「基本商品リスト」が送られてきます。加盟店を回るOFC(オペレーション・フィールド・カウンセラー)は、加盟店の発注状況をチェックし、平均水準に達していないと「契約更新されなくなる」と脅し、発注を増やすよう迫ってきます。キャンペーンの新商品などはノルマを持たされ、廃棄ロスは減らないのです。

利益が出なくてもロイヤルティーが

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「誇りをもって働けるようフランチャイズシステムの改革を」と訴えるオーナーの店舗(画像は一部加工)

 第四は、「売上高-純売上原価=売上総利益(粗利益)」に掛けられるロイヤルティーにあります。約60%です(図)。この純売上原価には人件費を含む営業経費は含まれていません。「純利益」に適正なロイヤルティーをかけるようなシステムに改めない限り、加盟店の状態は改善されません。
 このようなシステムの中、加盟店がもう少し利益を増やそうと思ったら、売上高を増やすしかありませんが、本部が進めてきたドミナント出店戦略(特定地域への集中的出店)で、市場は飽和。競争は苛烈で不況ですし、売り上げの大幅アップなど望めません。
 本部は「奥さんもお子さんもいるんでしょ。頑張るしかないでしょ」としか言いません。
 時給は最賃でこれ以上下げようがないので、オーナーが長時間働くしかないのです。私は、客商売が好きで、やりがいも感じていますが、オーナーが誇りをもって働けるように、このフランチャイズのシステムを改革すべきだと思います。
 そのためにはオーナーが声を上げていくしかないと思います。

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24時間強要 独禁法違反も

公取委事務総長 国会審議受け会見

 公正取引委員会の山田昭典事務総長は4月24日、記者会見でコンビニエンスストアの24時間営業について、加盟店オーナー側の短縮営業の要求を本部が一方的に拒否した場合、独占禁止法違反に当たる可能性があるとの考えを明らかにしました。
 これは日本共産党の辰己孝太郎参院議員の経済産業委員会での質問(下)を受け、さらに踏み込んだ見解を示したものです。
 山田事務総長は、24時間営業見直しの一方的な拒否が「相手方に不利益になるような取引に該当すれば、優越的地位の乱用に当たる可能性は排除されない」と述べ、独禁法の適用対象とする方向で検討していることを明らかにしました。
 同委員会は2009年、加盟店に弁当などの見切り販売をやめるように一方的に求めることが独禁法が禁じる「優越的地位の乱用」だとしてセブン-イレブンに是正を命じています。公取委が新たな判断を示せば、コンビニ本部各社は「24時間営業」是正に向けた対応が求められることになります。

「時短拒否は優越的地位乱用」

日本共産党 辰巳参院議員 国会で追及

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 日本共産党の辰巳孝太郎参院議員は4月16日、経済産業委員会で、コンビニのフランチャイズ契約の規定によって24時間営業を強いられている問題で、同契約が独占禁止法に違反するのではないかとただしました。公正取引委員会の杉村和行委員長は、フランチャイズ契約が優越的地位の乱用を禁じた独占禁止法違反になることもあり得ると答弁しました。
 辰巳氏は、「コンビニの深夜営業は来客者が少ないわりに、人件費が高く、赤字となり、オーナーの負担となっている」実態を紹介し、「オーナーが契約更新の際に、24時間営業が不当に不利益を与えており、時短営業したいと申し出た場合に、本部が拒否したら優越的な地位の乱用に当たる可能性があるのか」と質問しました。
 杉村氏は、一般論としながらも、「加盟店が営業を的確に実施する上での限度を超えるようなことを条件として、これが正常な商慣習に照らして不当に不利益を与える場合には、優越的地位の乱用として独禁法違反となる場合がある」と答えました。

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