コンビニ 人手不足、24時間営業 廃棄ロス…問題解決し経営を守ろう

「24時間営業見直せ」に共感
オーナーの困難解決へ

全国商工新聞 第3356号2019年4月8日付

東京・豊島民商がコンビニ訪問

 「アルバイトも集まらず、このままでは過労死しかない」と大阪府東大阪市のセブン-イレブンのオーナーが24時間営業の見直しを求めたこと(3月25日号既報)を機に、事態改善へ経産省が本部に要請するなど変化が生まれています。東京・豊島民主商工会(民商)は3月28日、「困っているコンビニオーナーの思いに寄り添って解決するのが民商の役割」と話し合い、全国商工団体連合会(全商連)が発表した「コンビニ見解」を持って豊島区内のコンビニ10店を訪問、6人と対話しました。

加盟店守るFC法制定を

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全商連の「コンビニ見解」や商工新聞などを渡し対話する豊島民商の役員

 2組に分かれた訪問行動では、「お気軽に相談を」と呼び掛けた全商連作成のチラシと本紙(4月1日号と3月25日号)、アンケートを持ってオーナーと対話しました。

全面的に賛同

 事前に届けた「見解」をすべて読み、「タイムリーだし全面的に賛同」と述べたのは、男性オーナー(40代)。現在地で長年営業しています。「24時間営業はすぐにやめるべき」ときっぱり。
 深夜帯の時給が25%割り増しになる上、人員もなかなか集まらないため、オーナー自ら店頭に立たざるを得ない状況だといいます。
 「コンビニは社会のインフラとよく言われるが、交番だって24時間開けていませんよ。本部は私たちとセーフティーステーション契約を結び、災害時でも店を開け、水の配給、トイレの貸し出し、深夜には徘徊する老人の確保などを呼び掛けていますが、すべてオーナーの負担」と主張。
 「インフラというなら、私たちコンビニオーナーにゆだねるのではなく、国や行政が責任を持つべきだ」と訴えました。
 コンビニ会計の理不尽さも話題に。「総利益の60%は本部が持っていく。アメリカは本部のチャージ率を50%以下に定め、韓国も24時間営業は2割だけ。日本が一番遅れている。深夜営業の中止だけでなく、休日も認めてほしい。先日、妻の義父が亡くなって本部に応援に入ってほしいと依頼したのですが、断られたんですよ」と告発。「FC規制法の制定は急務だ」と述べました。

休業も認めて

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24時間営業の見直しを求める東大阪市のコンビニ店

 「24時間営業問題を変えるのは今がチャンス」と話したのは、女性オーナー(30代)。
 夫婦で開業して数年たちますが、最初の3年はほとんど休みが取れなかったといいます。小さい子ども2人を抱え、保育園と家と店を往復する毎日です。
 店に届けてあった全商連の「見解」に「賛同します」と表明。先日、本部からは「店によって対応を検討する」と連絡があったといいます。
 中央労働委員会が、コンビニオーナーは労働者ではないとの判断を下したことについて、「だったら私たちの自発的な休業も認めるべきですよね。労働者は守られる方向が進んでいますが、私たちはどうなるのでしょうか。安倍政権にもっとコンビニの実態を知って動いてほしい」と語りました。
 その上で、「民商はすごいですね。なぜ私たちのためにこんなに動いてくれるんですか」と笑顔に。今野万貴江さん=著作権管理=が「民商は中小業者の味方。コンビニオーナーも地域の大切な仲間だと思っています」と応じました。

民商に期待も

 「民商の活動に期待します」と話すのは、女性オーナー(40代)。「近くの駅の終電が終われば客は来ない。セブン-イレブンが思い切って深夜営業をやめてくれれば、うちの本部も続くのでは」と話しました。
 今、困っているのはアルバイトが集まらないこと。「15人のアルバイトはネパール人とベトナム人。外国人留学生を雇えば、仕事以外のことも教えなくてはならないが、本部はそういうことにはお構いなし」と訴えます。
 参加した民商の役員らは、「オーナーの痛みがよく分かり、有意義な行動だった」「FC規制法をつくり、本部とオーナーが対等に交渉できるようにすべき」「オーナー同士の結び付きが弱い。民商がつなぎ役を果たしたい」と積極的な感想が出されました。

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全商連「コンビニ見解」学習 商工新聞で対話広げよう

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コンビニ見解を学習し訪問の意義を訴える巻島副会長(右)

 豊島民商がコンビニ訪問を行うのは今回で3回目。豊島区内にも約270店のコンビニがあることから、訪問して仲間づくりにつなげようと話し合ってきました。
 昨年2月の行動では、本紙「出店攻勢で“コンビニ飽和”」(昨年2月12日号)などを活用。「うちも4カ月休めていない」「24時間営業見直しを」「コンビニ会計は不公平。盗難もオーナー負担」などの大きな反響が寄せられました。
 今回の行動に参加したのは6人。最初に本紙に掲載された全商連の「コンビニ見解」(4月1日号)を読み合わせました。
 副会長の巻島豊二さん=弁理士=は、新聞に掲載された投稿を示し、「元オーナーも『家庭を犠牲にするのは10年前と何も変わっていない』と告発している。24時間営業問題では、経産省もいよいよ大手4社に改善を求めて動き出した。この問題で、地域から運動を広げられるのは民商の強味。商工新聞で対話し共同を広げよう」と呼び掛けました。
 参加者からは、「経済成長期は24時間の意味もあったかもしれないが、今は必要ない」「見解を読んで運動の正しさを納得」「コンビニ会計はバクチの胴元と一緒で本部は絶対に損しない」などの声が出され、頑張ろうと激励し合いました。

コンビニオーナーの皆さん、お気軽にご相談を!あなたの街の民商

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