全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 業種のページ > 製造・小売 > 全国商工新聞 第2880号 5月25日付
 
業種 製造・小売
 

変わる業界=脚光浴びる太陽光発電

国・自治体が設置に補助 中小業者の仕事確保

 地球温暖化の対策は待ったなし―。二酸化炭素(CO2)は地球温暖化の原因と指摘され、その削減は急務です。そこで、注目されているのが太陽光発電。CO2を出さず太陽の光を利用して電気をつくる自然エネルギーです。国も普及に力を入れ、町場の工務店や電気店など中小企業にとっては仕事確保の新たなチャンスです。

ワット神戸が開発した「風の妖精」
 環境問題に強い関心を寄せる中小企業の経営者によって設立された「NPO法人ワット神戸」。地球に負担をかけない太陽光や風力発電など自然エネルギーの普及を進めています。正会員は27社。これまで事業所や学校、福祉施設などの産業用の太陽光発電の設置を共同受注しました。新製品も開発し、07年には樹木をイメージしたマイクロ風力発電機「風の妖精」を製品化。そよ風と感じる風速1メートルでプロペラが回転し始める風車に、太陽電池パネルを組み合わせた電力で夜間、高輝度LED照明(20ワット相当)で周囲を明るくします。さらに現在、アウトドアや非常用の携帯太陽光発電開発を手がけています。
 会長を務めるのは、電気会社の代表取締役のTさん。自社ビルの屋上に菜園を設け、菜の花や玉ネギ、九条ネギなどを栽培。水槽にはメダカが泳ぎ、癒やしの空間が広がっています。雨水をためたタンクから屋上までくみ上げて作物に散水する仕組みや、水槽の水を循環させるのは太陽光や風力発電。楽しみながら自社でデータを取って、自然エネルギーの効果を実証しています。「環境問題はこれからの大きなテーマ、世界中がCO2削減に動き出している。中小企業が希望を持って新たな分野に挑戦できるチャンス」とTさんは強調します。

ドイツ視察での感動きっかけに
 「ワット神戸」発足のきっかけになったのは、兵庫県中小企業家同友会が99年7月に実施したドイツ環境視察でした。原子力や石油に代わる太陽光や風力発電の開発が進むドイツの現状に感動したTさんは帰国後、同友会のメンバーや専門家、行政などと一緒に研究会を重ね、01年に「ワット神戸」の発足にこぎ着けました。「ドイツでは意識が変われば仕組みが変わり、仕組みが変われば行動が変わり、行動が変われば環境が変わるという表現がある。われわれが中小企業・国民の意識を変えるために情報を発信しなければならない」とTさんは話します。

工務店からも“チャンス”の声
太陽光パネルを設置する住宅建設現場
 町場の工務店も太陽光発電に注目しています。「仕事確保の絶好のチャンス」と話すのは埼玉・川口民主商工会(民商)のSさん。建設会社の代表取締役です。
 「環境問題への関心は高い。太陽光発電はハウスメーカーも力を入れているが、町場の工務店も研究して仕事につなげることが大事」と言います。太陽光発電に付随して空気の力を利用してお湯を沸かすエコキュートや床暖房、オール電化の工事を受注し、仕事は好調です。
 仕事仲間のIさん=瓦=やSさん=建材=も積極的に太陽光発電をPR。「太陽光パネルを設置するかどうかは消費者の判断。工務店は選択するための情報を提供し、仕事の幅を広げる必要がある」と口をそろえます。

国が費用補助で普及が本格化へ
 国や自治体の設置費用の補助金制度が太陽光発電への関心を高めています。例えば一般住宅に3キロワット(18畳)の太陽光パネルを設置した場合、費用は210万円。国21万円、埼玉県9万円、川口市15万円を合わせて45万円が補助されます。さらに余剰電力を売電できる「買取制度」を導入し、売電価格を現状の一キロワット24円から49円に引き上げ、設置費用が早く回収できるようにしようとしています。
 国は「2020年に太陽光発電導入を現状の10倍、2030年に40倍」にすることを目標にしており、普及はこれから本格化します。「太陽光発電の設置は町場の工務店へ」―。中小業者の技術と力の見せどころです。

各種補助制度を活用しよう

 政府は太陽光発電を普及するため、今年度から一般住宅設置費用の一部を補助する制度を復活させました。補助金額は1キロワット7万円(補助総額は200・5億円、8万4000戸相当)。

 対象は(1)太陽電池モジュールの交換効率が一定の数値を上回ること(2)一定の品質が確保され、設置後のサポートがメーカーなどによって確保されていること(3)最大出力が10キロワット未満で、かつシステム価格が70万円(税抜き)/キロワット以下―です。申請から補助金交付までの流れは別表のとおり。

 「太陽光発電協会」(Tel03・3459・6351)では設置工事に関する技術者向けの無料講習会(5月後半分は受け付け終了)を開き、パネルメーカーも講習会を開いていますので、積極的に参加して情報を集めることが大切です。
 また、「太陽光発電普及拡大センター」(Tel043・239・6200)が補助金の申請について全国10カ所で説明会を開いています(東北・沖縄以外は受け付け終了)。
 県や市町村でも補助制度の実施が増えていますので、問い合わせて下さい。
 また、民間事業者が太陽光発電などの設備を導入する場合、その費用の3分の1を補助する「新エネルギー等事業者支援対策事業」もあります。募集は5月下旬まで(秋にも募集する予定)。問い合わせは「新エネルギー導入促進協議会」(Tel03・5979・7621)まで。
   
  ページの先頭