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  トップページ > 業種のページ > 製造・小売 > 全国商工新聞 第2824号 3月31日付
業種 製造・小売り
 
  靴づくりに夢かける若者たち
行政や業界団体も注目「靴・ものづくり懇談会」 東京・浅草民商が支援
技術交流や開業支援が魅力 「仲間がいるのは心強い」
 
   
   靴産業が地場に根付く東京・浅草に新しい風が吹き込まれています。ネットワーク「靴・ものづくり懇談会」の活動です。靴作りにかかわる20代から30代の若者が参加しています。海外進出などの影響で衰退の一途をたどってきた浅草で、若者たちは町をよみがえらせ、靴作りを未来につなげようとしています。浅草民主商工会(民商)も懇談会の活動を支えようと、民商会館の3階に技術を伝承できる共同作業所を開設。夢を抱く若者たちが靴作りに励んでいます。

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ハンドメードで仕上げた靴
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アッパークリーピング加工した靴皮。木型通りの立体ライン仕上げが可能に
 「懇談会」の活動は定期的な会議や規約、会費があるわけではありません。独立開業している人、独立を考えている人、メーカーの従業員、下請けの職人などさまざまな人たちが参加。靴作りの輪でつながり、声をかければ、ざっと50人は集まります。情報交換やベテランの職人と交流しながら技術を磨いています。
  共同作業所のオープンは「懇談会」の活動を大きく前進させました。今年になってから本格的に入居者を募集し、現在、五つのスペースに仕切られたオフィスに6人が入居。費用は光熱費込みで月2万3000円で、民商会員になることを条件にしているので会費が加わります。
  魅力は靴作り技術の交流、アドバイスが受けられる、ネットワークに参加できる、独立・開業への支援が受けられる‐こと。時間を気にせずに作業できるのも入居者に喜ばれています。

紹介され即入居
  2月中旬に入居した女性は、アイヌの衣装やアニマル柄などをモチーフにぺインティングで大胆な柄を描き、ハンドメードで仕上げ、「JUCO」というブランドで一点ものや撮影用などの靴を作っています。「人と同じ靴を履くのはちょっと…」という個性派の女性たちに人気です。
  浅草に革などの材料を買い付けに行くたびに不便さを感じていた女性は、知り合いを通じて共同作業所を紹介され、即入居を希望。「一緒に働く仲間がいるのは心強い。技術的に相談できる先輩がいるし、情報も交換できる。確定申告の相談に乗ってくれる民商も力強い存在」と話します。

革を曲げる技術
  「技術的に相談できる先輩」というのは、浅草民商常任理事。「懇談会」の代表を務め、共同作業所に一緒に入居して指導・援助にあたっています。優れた技術の持ち主で、業界では知らない人はいないといわれるほどの職人です。
  15年ほど前に、アッパークリーピング加工の技術を日本に導入しました。靴底を付ける前に、デザインどおりに革を曲げて立体の形をつくる技術のことです。「イタリアなどでは早くから導入されていたが、日本で遅れたのは、メーカーを含めて職人が革の性質を読みきれず、機械を使いこなせる技術がなかったから」と指摘します。
  革のどの部分にどれだけの圧力を加えれば革が曲がるのか10年ほどかけて研究を重ね、簡単にできるアッパークリーピング加工の技術を生み出しました。足にぴったりとフィットするので、足を痛めることはなく、履き心地は抜群。特許取得も可能でしたが、「日本の靴作りの発展には必要な技術」と考え、普及をめざすことにし、200社以上を指導してきました。

チャンスくれた
  「僕にチャンスを与えてくれたんです」というのは1日から共同作業所に入居した青年。靴の型紙やサンプルを作っています。
 「出会わなかったら、独立はできなかった。ここでは日常的に学べ、技術を磨ける。将来的には世界を視野に入れた職人になりたい」と夢を広げています。

区も高く評価
  「懇談会」の始まりは、浅草民商と台東民商が05年秋に合同で開いた第2回商工交流会でした。地域の活性化をめざした取り組みには300人が参加。中小業者の技術が再認識され、区や業界団体からも高い評価を得ました。
  交流会でクリーピング加工の技術を紹介したところ、「これを機に靴の分野の商工交流会ができないか」と考えるように。最大の目標は後継者の育成。構想を温め、06年12月、若手職人に声をかけて支部の忘年会を開き、靴作りについて熱く語り合いました。
  昨年12月、今年1月と集まりを重ね、知り合いに声をかけたところ、口づてに広がり50人を超える若者が集まりました。
  そこには区の職員や、区議会議員、中央大学教授も出席しました。参加した青年は八幡教授を見てびっくり。中央大学在学中に授業を受けたことで、ものづくりに関心を持つようになり、靴作りにかかわるようになったからです。「こんなところで会えるなんて」と再会を喜びました。

若手職人育成へ
  この春からは、「懇談会」の活動を一緒に盛り上げてきた親子が靴職人養成塾「コルソ・アルティジャーノ」を開講し、1年かけて少人数の若手職人を育成します。「靴の専門学校は教えるのが中途半端。それじゃ、後継者は育たない。基本から学んで確かな技術を身につけてほしい」と考えています。
  共同作業所は近い将来、製品を展示・販売できるショールームをつくる計画を立てています。若手職人が作ったオリジナルブランドの靴が浅草の町から羽ばたこうとしています。

 

 
     
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