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  トップページ > 業種のページ > 建設土木 > 全国商工新聞 第2889号 7月27日付
 
業種 建設土木
 

住宅の増改築助成制度で需要掘り起こし=島根

 島根県江津市を中心に生産・出荷されている石州瓦。赤瓦が特徴で山陰地方などでは赤い屋根が連なる町並みが地方独特の情緒を醸し出しています。しかし、生活様式の変化とともに年々、生産・出荷数が減少。こうした中で、島根県は今年4月、「石州瓦を使用した住宅の増改築に対する助成制度」を創設。瓦業界からは需要の掘り起こしにつながればと期待の声が上がっています。

変わる業界=石州瓦
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赤瓦を使った家屋(江津市)
 石州瓦の生産地は、島根県の中西部にあたる石見地方。日本三大瓦の一つとして三州瓦(愛知県)、淡路瓦(兵庫県)とともに日本を代表する瓦となっています。西日本を中心に、遠くは北海道にまで運ばれ日本情緒あふれる和風建築の継承に大きく貢献しています。
 石州瓦工業組合の佐々木啓隆事務局長は「石州瓦は白土(アルカリ分と鉄分の少ない粘土)を原料としているため、高温で焼き締めることができます。そのため、水分を吸い込みにくく、潮風を受けるような土地でも簡単に劣化しにくく、寒冷地の凍結にも強いという優れた特徴があります。さらに防災機能をもっているため、地震や台風にも強く、日本で使う瓦に必要な条件は整っているといえるでしょう」と話します。
 江戸時代以降、寒さの厳しい日本海沿岸を中心に使用された石州瓦ですが、現在は、中国地方はもちろん、南は沖縄から九州一円、四国、さらには近畿、北陸、関東の一部まで市場を拡大。国内市場ばかりではなく、海外市場に活路を見出す製造業者も出ており、台湾はじめ、東南アジアへの輸出も始まっているといいます。

助成制度できて出荷額も上昇し
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石州瓦工業組合が作製した支援制度を知らせるチラシ。屋根葺き換え工事も助成の対象
 現在、組合加入は9社、約500人が働いています。2004年には25社でしたが、合併、撤退、廃業、経営破たんなどで現在の9社に。石州瓦業界2位で江津市を代表する地場企業のアメックス協販が07年に経営破たんした時は、従業員の突然の解雇など地域経済に大きな影響を与えました。
 今、業界が期待を寄せるのは、島根県が4月に創設した県産木材や石州瓦を生かしたリフォーム促進事業。佐々木事務局長は「大田、江津、浜田、益田の4市の市長にお願いにあがりました。助成制度ができて、県の4月、5月の出荷額が目に見えて高くなりました。6月時点で約300件の申請がありました。工務店や業者が組合のチラシを持って営業活動もしているし、需要掘り起しにもなります。こうして動いたことは、来年からも生きてくると思います」と期待します。
 リフォーム助成制度の創設へ運動した地元の江津民主商工会(民商)の島本巽会長は「江津市を代表するような地場企業・アメックス協販が経営破たんするなど経済が落ち込み、大きな影響を与えた。県内すべての自治体で住宅リフォーム助成制度を1日も早く実施し、拡充してほしい。そのために頑張りたい。地場瓦産業と私たち零細な建築関連業者との共同で地域経済の立て直しをめざしたい」と抱負。「6月県議会の補助予算で、4億6000万円の基金が作られ、1年限りだった三つの県助成制度の、2年間の延長が決まりました。さらなる助成制度の充実が必要と思います」と語っています。

「地産地消」を地元にアピール
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工場前に山積みされ出荷を待つ瓦
 石州瓦の生産は94年に2億4000万枚だったのが08年には1億枚を下回りました。組合の佐々木事務局長は「新築着工件数の減少が主な要因ですが、住宅用屋根材使用比率は瓦が約55%。そのほか化粧スレート・金属・コンクリート瓦ですが、環境問題や耐久性など粘土瓦の使用増が期待されます」と話します。業界の課題について「シェアは全国2位だが、『地産地消』といいましょうか今一度中国地方に力を入れたい。地元にアピールが足りなかったと反省もあります。工場を稼動させるためにも、とにかく販路を拡大しなくては」と語ります。工場は最盛期の設備そのままのものが多く、生産調整もしながら稼動しています。

不良品の再利用商品化で市場に
 組合では5年ぐらい前から不良品(規格外瓦)を粉砕し、歩道の表層に使っています。環境問題などを考えても、原料土に戻し、瓦を再生利用するのが理想ですが、コストが掛かりすぎるといいます。また、保水タイル・壁材なども瓦工場で作っていますが、どう市場に乗せていくのかが課題。
 今、瓦業界は環境、省エネ、長期優良住宅など時代のニーズに応えられる商品づくりに取り組んでいます。


石州瓦を使用した住宅の増改築に対する助成制度
 対象は島根県内で住宅、店舗、お寺、工場などを増改築する施主で、石州瓦を使用すると最大で10万円を助成。
 石州瓦を使用した屋根工事を伴う増改築工事(屋根葺き替え工事含む)で、屋根工事費が100万円以上のもの。
 期間は平成21年4月1日から22年3月31日。
 申し込み窓口は石州瓦工業組合 Tel0855・52・5605
   
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