全商連トップページ
中小施策 税金 国保・年金 金融 経営 業種 地域 平和・民主 教育・文化 県連・民商 検索
 全商連とは活動方針・決議署名宣伝資料調査婦人部青年部共済会商工研究所発行案内入会申込リンク
  トップページ > 業種のページ > 建設土木 > 全国商工新聞 第2841号 8月4日付
 
業種 建設土木
 

住宅瑕疵担保責任保険始まる
内容、手続きのポイント解説
(財)住宅保証機構「まもりすまい保険」を例に

 来年10月1日から実施される住宅瑕疵担保履行法に基づく保険法人の業務が始まり、保険の内容や仕組みが明らかになってきました。現在、国土交通省が認定している保険法人は(財)「住宅保証機構」をはじめ4社。最大手の(財)「住宅保証機構」の住宅瑕疵担保責任保険「まもりすまい保険」を例に保険の内容や手続きとともに問題点を考えます。



PHOTO
来年10月1日以降に引き渡す新築住宅は供託金を積むか保険に加入しなければなりません
保険料はいくらに?
床面積で区分され共同住宅は別計算
  保険料と現場検査手数料を合計したものが料金として示されています(表1)。床面積の区分によって保険料が設定され、中小企業者(注)コースでは床面積が100平方メートル未満の場合は保険料が3万8800円、現場検査手数料は2万180円です。
  共同住宅等の料金の計算は表2、現場検査料は表3のとおりです。

(注)中小企業基本法第2条第1項に定める中小企業者(資本金3億円以下または常時使用する従業員が300人以下)



PHOTO

PHOTO



対象となる事業者は?
09年10月1日以降に引き渡す新築が対象
 新築住宅を供給する建設業者や宅地建物取引業者は、保険に加入するか、供託金(最低2000万円)を積むことが義務付けられました。多くの中小業者は保険加入を選択するとみられています。
  09年10月1日から引き渡す新築住宅が対象で、着工から引き渡しまで半年と考えると、09年3月ごろ着工の新築住宅は保険加入が必要です。
  建設業許可のない事業者で請負金額が1500万円未満か、延床面積が150平方メートル未満の木造住宅(建築一式工事)を請け負う場合、義務化の対象外です。建設業許可がない事業者でも「まもりすまい保険」に任意で加入することができます。



割引制度はあるの?
契約数や事故率で割り引きされる
 「まもりすまい保険」には割引制度があります(表4)。年間の契約数が多いほど割引率が大きく、自動車保険と同じように事故率が低いほど保険料率が下がります。
  団地割引は建売住宅のように一戸建て住宅が5戸以上建設される場合、同じ時期に現場検査を受けることを前提に割り引きされます。

PHOTO



設計施工基準て何?
保険に加入する際に満たす必要があるもの
 保険契約を申し込む住宅の審査・検査の基準を保険法人が定めたものです。
  建築基準法を満たしていても、設計施工基準を満たさなければ保険に加入することができません。
  事前の確認が必要です。地盤調査や地盤補強の方法、雨水の浸入防止の仕上げ材の仕様などを定めており、書類審査や現場検査で設計施工基準を満たさない場合、手直しなどが求められることがあります。



保険利用の流れは?
必要書類をそろえて住宅保証機構に提出
 保険を利用する場合の流れは表5のとおりです。
  「住宅保証機構」の地域の窓口に「事業者届出」と必要な書類(表6)を付けて提出します。届け出に必要な費用は2万6250円、有効期間は1年。
  保険契約は1棟ごとに着工前にします。現場検査は一戸建て(3階以下)で通常2回(基礎配筋工事完了時と躯体工事完了時)。保険期間は住宅の引き渡し日から10年間有効です。

PHOTO

PHOTO



保険金の支払いは?
補修費や調査費など限度額は2000万
 対象は住宅品質確保法(施行令第5条)で定める(1)構造耐力上主要な部分、(2)雨水の侵入を防止する部分。補修材料などの直接費用、調査費用、仮住居・移転費用が支払われ、限度額は一戸建て住宅(基本契約)の場合、2000万円です。



保険の問題点明らかに
改善求める運動が重要

地盤調査を強化
 保険を利用するためには保険法人が定めた「設計施工基準」をクリアしなければなりません。同基準「16年版」が5月に見直され、「20年版」が運用されていますが、「地盤調査」が強化されました。
  「16年版」では一戸建て住宅は「軟弱地盤または造成地盤等」の場合に地盤調査をしていましたが、「20年版」では原則的に地盤調査が必要となりました。そのため、保険法人が必要以上の地盤調査を求めることが懸念されています。
  これまでは建築基準法にかかわって国土交通省が告示(第566号)しているように、べた基礎の場合、1平方メートルにつき20キロニュートン以上あれば、許容応力度があるとされていました。
  ところが、住宅瑕疵担保履行法が動き出してから30キロニュートンあるような硬い地盤でも、地盤調査会社などから地盤調査や地盤補強が求められるなど現場では混乱が生じています。
  今回の保険加入にあたって保険法人自身が一戸建て住宅(2階建て以下)では「現場調査チェックシート」に基づいた現地調査の結果、地盤調査が必要ないと認められた場合、この限りではないと説明しています。
  保険法人に対して過度な調査、補強を求めないよう働きかけることが必要です。



罰則規定を導入
 住宅瑕疵担保履行法は、住宅事業者が年2回の基準日(9月30日、3月30日)ごとに国土交通大臣または都道府県知事に保険に加入しているかの届け出を義務付けています。
  届け出をしない、または虚偽の届け出をした場合は50万円以下の罰金が科せられます。
  基準日から50日を過ぎて届け出をせず、新たに新築住宅の販売契約をした場合は1年以下の懲役か、100万円以下の罰金が科せられます。
  長年、住宅建築にかかわってきた工務店からは批判の声が上がり、「罰則規定を外せ」と条文の撤廃を求める声が広がっています。
   
  ページの先頭