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  トップページ > 原油・原材料の高騰問題と対策のページ > 全国商工新聞 第2839号 7月21日付
 
原油・原材料の高騰問題と対策のページ
 

原油・原材料高騰被害に苦しむ中小業者の救済を
全商連 抜本対策求め6省庁と交渉

 原油・原材料高騰に悲鳴が上がり、後期高齢者医療制度や消費税増税の動きに怒りが沸き起こっています。全国商工団体連合会(全商連)は、6月20日の公正取引委員会への要請を皮切りに国税庁や財務省、厚生労働省(以上、6月30日)、中小企業庁(2日)、国土交通省(6日)など6省庁と交渉。中小業者の厳しい実態を告発し、経営と暮らしを守る抜本的な対策と中小企業施策の拡充、来年度予算の大幅増額などを迫りました。

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瑕疵担保履行法の見直しを求めた国道交通省との交渉
国交省瑕疵担保対策室
地盤調査問題を追及
保険加入の改善求め

 国土交通省住宅瑕疵担保対策室とは1日に交渉し、来年10月施行される「瑕疵担保履行法」の改善と中小業者の負担軽減などを求めました。
 保険法人が5月に認定され、保険の仕組みや内容が明らかに。交渉では、保険加入にかかわって必要以上の地盤調査が求められる可能性があるなど新たな問題が明らかになりました。
 対策室は「瑕疵問題では、地盤が大きな課題になると認識している。建築基準法で示されている現場が混乱しないように対策室として指導する」と答えました。
 埼玉・川口民主商工会(民商)のSさんは「ユンボでも掘れないほど硬い地盤なのに、地盤調査会社から表層改良をしろと言われた。理解できない。地耐力の基準が建築基準法で明確になっていない。地盤調査会社が地盤が弱いと判断すれば、保険会社は保険に加入させない可能性もある。保険に入れないと、供託金を積まなければならない」と問題点を指摘。保険加入の条件として保険会社が求める「設計・施工検査マニュアルが」新しい問題を生んでいる実態を示しました。
 また、瑕疵担保履行法では、建設業者は供託や保険契約状況などについて国や都道府県に届けることが義務付けられており、違反すると罰則が科せられることから、「罰則の撤廃」を強く求めました。

国交省
白ナンバー業者に広げよう
燃料サーチャージ周知迫る

 国土交通省との交渉では4号建物(小規模木造建築物)の「特例」廃止の凍結、燃料サーチャージ制度の徹底などを要望しました。制度の周知について「ホームページに計算方法を示し、推進している」と回答。また運送業の事業者届け出の際に、「社会保険加入を条件にしない」と明言しました。交渉には、全商連の中山真常任理事はじめ埼玉の代表ら4人が参加。
 中山常任理事らは、4号建物の「特例」廃止について、「これまでの建築技術や伝統を壊していくという側面もあり、配慮すべき」と訴えると、「見直しの方向は時期や内容とも検討中」と、特例の廃止を予定通り行う考えではないことを明らかにしました。
 公共工事において契約後に資材価格が高騰した場合に、工事費用の上積みを認める「単品スライド条項」については、28年ぶりに発動されたことを評価しつつ、「高騰しているのは鋼材や燃料油だけではない」と強調。「アスファルト価格など高騰したすべての品目について対象を拡大すること。また、民間取引についてもスライド条項を契約書の中に盛り込むよう」に求めたのに対し、「価格上昇は随時チェックしている」と回答しました。
 燃料サーチャージ制度については、制度の周知徹底を強く要請。白ナンバー事業者(トラック5台以下の未登録事業者)への導入について、「全トラックの8割以上を占めている現実を見れば、白ナンバー業者に広がらなければ、サーチャージ制度が普及したということにはならない」と強調しました。

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納税者の権利を守れと切実な声を突きつけた国税庁交渉(左から2人目が全商連の西村冨佐多副会長)
国税庁
「納税の猶予」を認めよ
申請書「受理は原則」確認

 国税庁では、「納税の猶予」(国税通則法46条)の申請者に対して、各地の税務署が1年以内の完納を求め、納付計画の不備などを理由に、申請書の受け取りを拒否したり、申請の取り下げを迫っている問題をただしました。
 向川茂弘課長補佐は「納付計画の記載がないことをもって認めないとはなっていない」と回答。申請書は受理が原則であり、あくまで「判定の一つの材料」として記載を求めていることを確認しました。埼玉・越谷民商の代表は「猶予申請した会員4人に1年以上も返答がない。納税者に有利な方向で早期に処理するとした『納税の猶予等の取扱要領』に違反している」と告発しました。
 また、税務行政について、(1)滞納整理は個々の実情に則して進める(2)税務調査は納税者の理解と協力を得て行う‐などの基本姿勢を確認した上で、基本から外れる現場の実態を示して是正を求めました。
 石川・金沢白山民商のAさんは、10年間も分納を続けてきたのにいきなり生命保険や、老後の生活に充てるための預金213万円をすべて取り立てた金沢税務署の横暴を告発。千葉・松戸民商のKさんは、担保と約束したのに不動産を差し押さえた松戸税務署の謝罪を求めました。
 福島・相双民商、山梨県連からは修正申告を強要し、重加算税を課すなど、自殺者も生まれている横暴な税務調査を告発。同席した日本共産党の佐々木憲昭衆院議員に対し、向川課長補佐は誠実に対応すると約束しました。

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納税緩和措置の周知徹底を求めた総務省交渉
総務省
生存権的財産を守れ
納税緩和措置の適用を

 総務省では、自治体が税や社会保険料などを払いきれない人たちに対し、生命保険や給与など生存権的財産の差し押さえを強行していることに抗議しました。
 また、財政難をテコにした地方消費税の引き上げをやめ、地方交付税を拡充するよう求めました。
 参加者は「市役所に徴収猶予や換価の猶予の制度はないと言われた」など、納税緩和措置を認めない事例が相次いでいることを告発。
 省側は「(納税緩和措置が)あるのにないと言っているのは、見過ごせない」と回答しました。
 また、徴収猶予の認定要件について多くの自治体で「災害などの厳しい状況に限られる」としている問題で、国税では「経済環境の急激な悪化」も適用すると国税庁次長が国会で答弁していることを商工新聞を示して追及しました。

厚労省
後期高齢者制度撤回を
社会保障予算増を要求

 厚生労働省では、後期高齢者医療制度の廃止・撤回と年金からの保険料天引き中止、短期保険証・資格証明書の発行をやめること、政府管掌健康保険の維持などを要望しました。
 省側は社会保障予算の増額について「(削減は)大臣も限界と言っている。期待に応えたい」と回答。国保料(税)の便乗値上げについては「調査の必要性を感じている」と答えました。
 参加者は、無駄な道路建設に国土交通省が予算を要求する以上の熱心さで社会保障の予算を増やしてほしいと要望。そのためにも、「払いたくても払えない」国保や年金の実態調査を行うよう強く求めました。また、後期高齢者医療制度に便乗した国保の値上げが各地で起きていることを指摘し、その実態調査を要求しました。
 大阪府内では、国保料を滞納したために保険給付を差し止められ、無保険の子どもが628人に達し、乳幼児9人も含まれる事実を告発。保険証を取り上げる資格証明書の発行をやめるよう求めるとともに、「厚労省として実態調査と指導改善を行うべきだ」と強く要求しました。

財務省
消費税は減税を
社会保障削減するな

 財務省では、消費税の引き下げ、年2200億円の社会保障予算の抑制路線の中止などを要求。
 省側は、消費税について「減税が必要な経済状況でも、減税が可能な財政状況でもない」と税率引き下げを明確に否定したものの、増税については「国民全体の課題として所得税、法人税と合わせて議論する」と答えました。
 また、社会保障予算について「削減の継続は政府の方針」とした上で、「給付は誰がどのように負担するのかセットで議論しなくてはいけない」と、社会保障を人質にした増税論を展開しました。
 交渉団は大企業・大金持ち優遇税制の是正、ガソリン税・揮発油税の暫定税率の戻し税、納税緩和措置の制度拡充などを求めました。

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中小企業庁との交渉には鎌田副会長(右から3番目)をはじめ民商会員や労働者が政府の緊急対策を求めました
中企庁
公契約に価格反映を
セーフティーネット拡充を

 中小企業庁との交渉には全商連と全国労働組合総連合(全労連)の代表が参加。原油高騰の影響を受けている中小企業は指定業種以外でも「セーフティーネット」(5号)を利用できるようにすること、官公需の仕事は、契約時以降の原油高騰などを価格に反映できるように各省庁や自治体に働きかけることなどを求めました。
 省側は「関係省庁や自治体を通じての実態調査の結果を見ながら、内部基準を満たしている場合に『セーフティーネット』(5号)の指定業腫にしている」「官公需の発注は、中小業者の受注機会を増やし、適正価格に配慮することを地方自治体にお願いしている」と答えるにとどまりました。
 全商連の鎌田保副会長は「印刷用紙が7月からさらに15%値上がりする。大手メーカーがいっせいに値上げするのは独禁法違反ではないのか。原油高騰は投機マネーが原因。世界第2位の経済力をもつ日本が率先し、投機マネーを規制するように主張すべき」と訴えました。
 東京・江東民主商工会(民商)副会長のKさんは「原油高騰の影響はあらゆる業種に広がり、営業と暮らしはどうしようもない緊急事態だ」と訴え。原油・原材料高騰を自ら調査して参加した[飾民主商工会副会長のSさんは結果をまとめた一覧を示しながら「米艦船には無償で提供している燃料代が年間90億円。この予算を直接支援に回すべき」と要望。また、「とんかつ店なども大変な影響を受けているが、セーフティーネットの指定方式は実態に合わない。指定業種の枠をとっぱらうべき」と見直しを強く求めました。

   
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