中小業者が役割発揮
循環型経済の確立へ

全国商工新聞 第3357号2019年4月15日付

振興基本条例を制定 提案続けて成果

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条例制定後、民商事務所を訪れた市職員(手前)と懇談する気仙沼本吉民商の役員ら

 宮城県気仙沼市は3月議会で「災害発生後の支援」などを盛り込んだ中小企業・小規模企業振興基本条例(振興基本条例)を制定し、4月1日から施行されました。気仙沼本吉民主商工会(民商)は2013年6月に振興基本条例の制定を市に提案。中小業者支援に力を入れるよう要望し、循環型経済の確立を提案し続けてきました。

 条例は前文で、気仙沼市の置かれた自然的特性、東日本大震災の影響にも触れた上で、事業所の多数を占める中小企業・小規模企業について「本市経済の成長に寄与し、雇用を創出するなど、本市の発展の原動力となるとともに、地域貢献、地域振興に資する活動等を通じて地域社会を支え、市民生活の向上に大きく貢献している」と、その役割を明記。市の責務、中小企業者、金融機関、大企業者の役割などに言及するとともに、「災害発生後における支援」として、中小企業・小規模企業の復旧・復興のために必要な措置を講ずる、としています。
 また、「支援団体の役割」として「中小企業・小規模企業の振興に関する施策に協力するよう努める」と規定。振興についての施策を検討するための会議体(振興会議)の設置も決めています。
 気仙沼本吉民商は、足掛け6年にわたって振興基本条例を要望。2018年2月に決定した市の総合基本計画作成では、ワークショップに参加、条例制定を盛り込むよう奮闘しました。同年4月の市長選挙では現市長が制定を公約に掲げ、振興基本条例制定に踏み出しました。12月に出された条例案にも民商としてパブリックコメント(パブコメ)や要請書を提出してきました。
 市は、振興基本条例の制定を決めて以降、民商を気仙沼商工会議所、本吉唐桑商工会、中小企業家同友会気仙沼支部とともに、「支援団体」と位置付け、6月と12月の2回、民商事務所を訪問し意見を聴取しました。
 条例制定後の3月14日には、市の担当者らが民商事務所を訪問し、民商の要請書やパブコメがどのように反映されたか詳しく説明し、今後の協力を求めました。民商では中舘忠一会長らが応対し、「民商を振興会議のメンバーとする」よう要望しました。

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