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  トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第3005号 1月9日付
 
地域 まちづくり
 

再生可能エネルギーが地域を変える (1)循環型社会を目指す=長野・飯田市


 「エネルギーの地産地消」を掲げ、再生可能エネルギーの利用拡大を促す施策を進めている長野県飯田市。国内有数の日射量を生かした太陽光発電の普及で、初期投資ゼロ円というユニークな仕組みを打ち出すなど、先進的な取り組みが注目されています。省エネ対策では、中小企業の力を引き出して製品開発につなげるなど、仕事おこしにもつなげています。省エネ・創エネで循環型社会を目指す飯田市を訪ねました。


飯田市の地図

 「全ての屋根に太陽光発電を」――。
 飯田市が09年に導入した「おひさま0円システム」は、10年度までで48件設置の実績を挙げています。太陽光発電余剰電力固定価格買取制度がスタートしたこともあり、市民の関心は高く、応募は約3倍の120件超に。事業の中心を担うおひさま進歩エネルギー株式会社(以下、おひさま進歩)によれば、資料請求はさらに多く、市外や県外からの問い合わせも増えていると言います。11年度は飯田市内の30件程度を募集するほか、周辺の下伊那町村に拡大する計画です。


「おひさま0円システム」による住宅用太陽光発電普及プロジェクト

飯田信金も協力
 0円システムは、飯田市とおひさま進歩、飯田信用金庫の三者が共同して立ち上げた太陽光発電普及策(上の図)。「関心があっても、設置費用が高くて導入できない」という家庭が多い中、「初期投資を0円」にして設置のハードルを下げるものです。
 太陽光発電の開始を希望する住民に対し、おひさま進歩が地域の設置関連事業者を通して「無料」で太陽光パネルを設置(3.5キロワットの標準サイズで価格は約200万円)。飯田信用金庫は低金利のエコファイナンスで、おひさま進歩を支援(170万円)し、飯田市が独自の設置奨励金に国の補助金を加えた相当額(30万円)を同社に交付することで0円とするものです。


Photo
「おひさま0円システム」を利用して太陽光パネルを設置した家(写真提供:おひさま進歩)

売電収入で返済
 その後、おひさま進歩が設置家庭から9年間、月々定額の1万9800円(総額210万円)を電気料として受け取ります。10年目に設備は住宅所有者に譲渡します。以降は、発電分は全て設置家庭の収入となる仕組みです。
 毎月の電気代が約2万円といえば割高感がありますが、電力会社への売電収入が生まれるので、実質的な負担は低額に。導入事例では、省エネ努力で売電を増やし年間14〜18万円の収入を得て、6〜10万円ほどの負担で済んでいると言います。
 画期的な0円システムは、パネル設置の期待の声に応え、全国の市民に出資を呼びかける手法で広がりを見せ始めています。
 次号以降、地域事業の創出や太陽光パネルの普及に「意思あるお金」として市民出資を活用しているおひさま進歩の実践と、環境文化都市を目指し多彩な政策を展開する飯田市の取り組みを紹介します。


全国商工新聞(2012年1月9日付)
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