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  トップページ > 地域のページ > 全国商工新聞 第2870号 3月9日付
 
地域 まちづくり
 

生産者・業者・消費者むすぶ地産地消に世界も注目

 地域で生産された農産物や水産物をその地域で消費する「地産地消」。安心・安全な食材を提供し、地域経済の活性化に貢献します。これを営業方針に掲げ、長野県伊那市で15年間営業している産直市場「グリーンファーム」。この営業活動が世界で注目され、「地産地消を推進し、生活改善に結び付けたい」と、中米8カ国から研修生17人が訪れました。

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グリーンファームの活動を生活改善に結び付けたいと、中米8カ国から訪問した研修生
 産直市場「グリーンファーム」を経営するのは、長野・上伊那民主商工会(民商)会員のKさん。
 民商事務局員を退職した6年後の94年、伊那市ますみケ丘に同ファームをオープンし、「新鮮な野菜や果物が安い」と、地元で評判です。Kさんは「民商運動の中で知り合った業者、農家、消費者から、地元の安心・安全な野菜などを地元の人が消費する地産地消が求められていることを知った」と、開業の動機を語ります。

1600人の生産者が納入
 扱う品物も有機農法野菜に限らず、そばやおもちなどの無添加食品に加え、生花や鉢花など多種にわたり、長野県産のものを中心に納入する生産者は、1600人にもなります。2階には絵本専門の「コマ書店」、外にはヤギやダチョウが放し飼いになっている「コケコッコ牧場」があり、休日にはレジャー気分も楽しめると約3000人が来店。「グリーンファーム」は、地域経済を活性化させ、地域おこしの役割を発揮する存在となりました。

中米諸国の貧困解決のヒントに
 そんな「グリーンファーム」の活動が、貧困問題で苦しむ外国の農村振興と生活改善のヒントになるのではないかと考えたのが、JICA(国際協力機構)です。Kさんを含むJICA派遣団は昨年8月、中米グアテマラを訪問。Kさんは「グリーンファーム」の成功を話し、農産物直売システムや地産地消運動の意義を訴えました。
 36年にも及ぶ内戦を1996年に終えたグアテマラは、国内の産業が発達せず、貧困問題が恒常化しており、貧困からの脱出が最重要課題となっています。
 かつては武器をもって戦っていた元ゲリラ兵士らの前で、「新鮮な野菜を栽培し、地産地消を推進する直売システムを築こう」と熱く訴えるKさんに、大きな拍手が送られました。
 これを機に今年1月28日には、グアテマラ、コスタリカ、エルサルバドル、ホンジュラス、メキシコ、ニカラグア、パナマ、ドミニカ共和国の中米8カ国(地図参照)の研修生17人が、「グリーンファーム」に視察に訪れました。
 Kさんは視察に先立ち、信州大学農学部キャンパス内で研修生らを前に、「グリーンファーム」の事業内容をスペイン語の通訳を通して説明。
 「グリーンファームに納品に来る農家や業者は、納品を終えるとお客になる。それゆえ、物を売り買いするだけではなく、地域のコミュニティーの場にもなり、農家が元気になった」と、語りかけました。
 研修生から「グリーンファームの利益は?」「農家への支払いは?」「農家との取引契約は?」と具体的な質問が相次ぎました。
 「利益は、売り上げの2割。残りを代金として毎週支払う」「生産者との出荷契約は、グリーンファームを褒めることが条件。だから生産者1600人が宣伝してくれる」との回答に、「オ〜」と感嘆の声が上がりました。
 「グラシアス!(ありがとう)」と感謝の言葉とともに大きな拍手がわき起こりました。

素晴らしい活動研修生も感動
 「グリーンファーム」の売り場面積は1330平方メートルと広いものの、照明は不十分で、床もないため底冷えします。防寒具を着込んで、名物「おやき」を食べながら、採れたての大根やジャガ芋を手に取り記念撮影する研修生。
 ホンジュラスから来たジョナタンさん(26)=開発公社勤務=は「自国で昨年8月に産直の第1号店を開店したが、ここの活動は想像以上に素晴らしい。自国の生活改善に役立てたい。感動した」と興奮気味に話します。
 コスタリカから来たマリセルさん(45)=農業省=は「生産者の組織化の手法が大変参考になった。地産地消を目標にしたい」と手応えをつかんでいました。
 視察終了後の懇談では参加者全員が「建物が近代化していないのがいい」と一致した意見。Kさんは「グローバル化に反対し、地域経済活性化をめざしたシステムに共感を得られたようだ。ぜひ、自国での経済振興と生活改善に結びつけてほしい」と話します。
 研修に同行した民商会長のTさん=印刷=は「地産地消の取り組みは民商でも運動化していけるテーマ。みんなで研究していきたい」と、意欲を見せました。

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産直市場 グリーンファーム
 野菜、果物、生花、鉢花、肉、乳製品、米、雑貨、書籍などの小売り。創業は94年4月。生産者の会(登録生産者数)は約1600人で、生産者が組合を組織し、生産者自らが商品を管理運営するシステム。従業員は40人。店内で使用されている電気は太陽エネルギーでまかなわれる。店舗の2階では、児童書を専門に扱うコマ書店が営業。店舗外には、コケコッコ牧場がある。営業時間は8時から19時まで、年中無休
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 長野県伊那市ますみケ丘351の7
Tel0265・74・5351
   
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