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  トップページ > 地域のページ > 自治体 > 全国商工新聞 第2865号 2月2日付
 
地域 自治体
 

ルポ=キャノン派遣切りで地域にも重大な影響

大分キヤノン1200人を解雇

 キヤノンの「派遣切り」により、請負・派遣社員が続々とアパートから退去し、空部屋が広がっている大分県国東市安岐町、杵築市、大分市。本紙(08年5月19日号)は「税金を使った大企業誘致は本当に自治体のためになっているのか」と大分県の実態を伝えました。大企業に翻弄される町で今何が起きているのか、派遣会社の借り上げアパートが集中する安岐町を取材しました。

大企業に翻弄された町で
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昨年暮れまでほぼ満室だったアパートは、すべて空室に(安岐町大分キヤノン工場前)
 「安岐町に約1000室ある派遣・請負の借り上げアパートのうち、3割以上は空いちゃったんじゃないか」と話すのは国東市商工観光課の課長。昨年12月、キヤノン子会社の「大分キヤノン」(本社安岐町)、「大分キヤノンマテリアル」(本社杵築市)の2社は、全従業員1万2000人の1割に当たる請負・派遣1200人の削減を発表。従業員は請負会社や派遣会社から一方的に解雇を通告され、アパートから追い出されたのです。
 昨年暮れまで6棟60室がほぼ満室だったアパートも、今は10人程度が住んでいるだけ。駐車場には乗り捨てられた車が放置してありました。

▽ローンが払い続けられるか…
 この問題は労働者だけでなく、地元安岐町の経済も直撃しています。
 「12月にいきなり派遣会社と契約していた11室が解約された。月40万円も減収し毎月70万円のローン返済がこれからどうなるか心配だ」と話すのは家族で4棟のアパート(64室)を経営するAさん。
 「キヤノンは去年の夏、まだ500室アパートが足りないから作ってくれと言ってきたんですよ。天下のキヤノンが相手だからと誰も疑わなかったし、銀行もすぐ建築資金を出した。しかし、もう部屋は埋まるわけがない。家賃の値引き合戦になるだろう」と不安を隠せません。

▽「2009年問題」でさらに空室が
 安岐町、杵築市を中心に営業する地元中堅の不動産業者のBさんは「派遣から正社員に切り替える2009年問題もある。これから3月末までに500か600室は空くのではないか」と危機感を募らせます。
 大分キヤノンが安岐町に来て25年。これまで100棟以上のアパートを建ててきましたが、ここ数年は1棟ごとにオーナーが違う投資目的の建設が多いといいます。
 「退職金を丸ごと投資した人もいた。銀行のローンを返済できなくなっている人も出てきている。市長が直接キヤノンやソニーに雇い止めをやめろと交渉するべきじゃないか」と言い切りました。
 国東市議会でキヤノンの派遣・請負問題を取り上げてきた日本共産党の白石徳明議員は次のように強調しました。
 「年末、引っ越しする何人もの青年と会いましたが、『もう派遣生活はいやだ!』と、言っていました。キヤノンのやりたい放題で住民と未来ある若者が引き回されているんです。国も行政も実態をもっと知るべきです」
 
   
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