被害に見合う賠償を
福島生業反せ訴訟

全国商工新聞 第3369号2019年7月15日付

控訴審第5回口頭弁論

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「控訴審でも勝利判決を勝ち取ろう」と口頭弁論に先立って行われた原告団、弁護団の集会

 東京電力福島第1原発事故の被害者約4000人が国と東電を相手に原状回復と慰謝料を求めている「生業を返せ、地域を返せ!」福島原発訴訟(生業訴訟、中島孝団長)の控訴審第5回口頭弁論が6月20日、仙台高裁(上田哲裁判長)で開かれ、弁論の更新手続きを行いました。裁判所の人事異動に伴うもので、原告側、被告側双方の代理人が陳述しました。
 原告側代理人の菊池紘弁護士は、一審・福島地裁の判決について、国、東電の責任、国の中間指針を超える損害を認めたことを評価しつつ「その損害額はあまりにも低額」と指摘。この社会がまともな社会へ立ち返るために「国、東電は被害者にすべての賠償を払わなければならない」と力を込めました。
 日本海溝寄りのどこでも津波地震が発生しうるとした「長期評価」(2002年)の信頼性を争点とした責任論では、「客観的、合理的根拠はなかった」との国側主張に対し、久保木亮介弁護士が国側証人の証言そのものによって論拠が崩れたことを指摘。「長期評価は地震学上の知見に裏打ちされ、高度の信頼性を有している」と反論しました。
 舩尾遼弁護人は「『防潮堤の設置』のみが津波に対する防護措置」だったと主張する国に対し、「建屋の水密化」等の防護措置を講じていれば、全交流電源喪失を回避することは可能だったと強調。「結果を回避することはできた」と、改めて論破しました。
 損害については、過去に類を見ない被害が生じているにもかかわらず賠償基準が極めて不十分なこと、また、自主的避難者等対象区域などの損害認定について、一審判決が事故直後の混乱期を2カ月間に限定し、さらに2011年12月を賠償の終期と判断したことは「合理性がない」と指摘。「具体的な事実を認定した上で、被害に見合った賠償を」と主張しました。
 中島孝・原告団長は事故から8年の歳月を「それぞれが、それぞれの苦しみの中で切り抜けてきた8年」と振り返るとともに、国、東電が「十分放射線量が下がったのに不安と感じるのは、非科学の立場」「原告らは不当にも絶対安全性を求めている」などの主張に対し、「営業損害、故郷の崩壊、家族内の対立など、人の数だけの苦しみに共感を寄せようとせず、人の苦しみを冷たく切り捨てている」と怒りをぶつけました。
 一方、国は責任論について「事故前の科学技術水準に照らした場合、予見可能性が認められないことは明らか」「事故前の知見によって導かれる結果回避措置では結果回避可能性は存在しない」と、事故は防げなかったと開き直り。東電は「一審原告らに共通する精神的損害の賠償額は、一審東電が公表している賠償額を超えるものではない」などと主張。空前の事故を引き起こした当事者とは思えない釈明に終始しました。
 弁論に先立ち、原告、弁護団は仙台高裁前の公園で決起集会を開催。100人を超える参加者が、裁判勝利に向け決意を新たにしました。

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