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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2986号 8月8日付
 
 

原発ゼロへエネルギー政策の転換を・新署名解説Q&A

 東京電力福島第1原子力発電所の事故により、多くの住民・中小業者が仕事と生活の場を奪われました。一刻も早い事故の収束とともに、原発被害の完全賠償、エネルギー政策の転換を求める世論が高まっています。全国商工団体連合会(全商連)は「原発から撤退し、再生可能エネルギーへの転換を求める請願署名」に取り組んでいます。原発ゼロをめざし、どうすれば安心・安全で再生可能なエネルギーに転換ができるのかなどQ&Aで解説します。

Q1 原発は完成された安全な技術だったのではないですか
A 原発の技術は未完成。放射性物質の処理さえできません

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事故を起こした福島第一原子力発電所(東京電力HPから)

 今回の福島原発事故のように、大量の放射性物質がひとたび外部に放出されると、抑える手段はありません。被害はどこまでも広がり、長期にわたって危険を及ぼす可能性があります。村ごと移転をせざるを得ないように地域社会全体の存続さえ危うくします。
 そもそも今の原発技術は、未完成で危険です。
 冷却水がなくなれば炉心が溶けてコントロール不能となること、放射性物質=「死の灰」を原子炉内部に閉じ込めておく絶対的かつ完全な技術が存在しないことも明らかになりました。
 色も臭いもない放射能の処理方法も未確立で、使用済み核燃料はたまる一方です。こんな危険な原発は撤廃するしかありません。

Q2 福島以外の原発は安全ではないのですか
A 日本は世界でもトップクラスの地震・津波国。危険は明らかです

大地震の想定震源域と活断層の真上に集中する日本の原発

 現在、国内には北海道から九州まで54基もの原発が集中しています。
 専門家は、「日本は一大地震国であり、原発立地にふさわしいところではない」(地震予知連絡会元会長の茂木清夫氏)、「震源域の真上にある原発は世界では承知していない」(寺坂信昭原子力安全・保安院長)などと指摘しています。
 こうした発言からも日本に原発をつくることの危険性は明白です。
 東海地震の予想震源域の真上にある浜岡原発だけが一時停止となりましたが、ほかの原発も震源域や活断層の近くにあります。
 だからこそ、国民の安全を考え、速やかな撤退が求められています。

Q3 原発をなくすことなんてできるのですか
A 世界各国は「原発ゼロ」をめざし動き始めています

「脱原発」世論調査

 ドイツは原発を22年までに全廃することを決めました。スイスは34年までに全廃する新エネルギー戦略を決定。ベルギーも15〜25年かけて段階的に閉鎖します。
 イタリアは6月、原発復活の是非を問う国民投票を行ない、復活反対は94%。伊首相は「再生可能エネルギーに取り組む」と宣言しました。原発ゼロは世界の主流です。
 10年の世界の再生可能(自然)エネルギーによる発電能力は、3億8100万キロワットとなり、衰退傾向にある原発の3億7500万キロワットを上回りました(米民間研究機関)。
 日本でも、脱原発の世論が拡大しており、エネルギー政策の転換が急務となっています。

Q4 原発被害に対する東電や国の賠償は十分ではないのですか
A まったく不十分です

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東京電力本店前で完全賠償を求める福島県連の会員、役員ら
 東電は営業損害の賠償対象を避難等指示区域内に「線引き」した上、1回目の仮払い補償金(震災から5月末までの81日間)は、申告書などがない場合20万円、書類がある場合でも粗利の半分、しかも上限を250万円と勝手に決めています。書類がない場合、1日の補償額はわずか2500円程度です。
 「風評被害」に至っては、東電は「国の審査会の審議を待ってから」とまるで人ごとです。風評を苦に自殺に追い込まれた農家や酪農家もいます。放射線を含む稲わらを食べた肉牛が全国に流通し、福島の肉牛が出荷停止となる事態も発生しています。「明日の生活も見えない」。被災者から悲鳴が上がっています。
 この声に応え、直接、間接、風評を問わず、原発被害に対する迅速で全面的な賠償を加害企業である東電と国が行うべきです。その際国民に負担を負わせることなど論外です。

Q5 原発をなくすと電力不足が心配です。どうすればいいですか
A 原発をなくしても電力は確保できます

日本の原発7割停止中

 日本の総発電量のうち、原子力発電が占める割合は25%(09年度実績)です。現在の原発を除く発電量は、バブル期の90年度の原発を含めた総発電量と同じ水準です。現在、54基ある原発のうち稼動しているものは15基(8月1日現在)で3分の1に過ぎません。
 政府が原発に依存し続けてきた結果、この5年間に原子力対策につぎ込んだ税金は2兆円以上。一方、太陽光、熱、風力、水力、地熱、バイオマスなど再生可能エネルギーに関連する事業に対する金額は6500億円にも満たない状況です。
 必要な電力を確保しつつ、政治の決断で再生可能なエネルギーへの転換を大胆に進めるならば、原発をなくしても電力を確保することは十分可能です。同時に、国民一人ひとりが節電に努めることも大切です。

Q6 再生可能エネルギーでは電力の安定供給が難しいのでは
A 豊かな自然に恵まれた日本は、大きな可能性をもっています

日本のエネルギーは大きな可能性を持っている

 風力、太陽光、小水力、バイオマス、地熱など日本列島は豊かな自然に依拠した再生可能(自然)エネルギーを生み出す可能性をもっており、この分野では世界でトップクラスの資源国といえます。
 すでに、北海道足寄町、岩手県[巻町、高知県梼原町など、再生可能エネルギー事業を軸としたまちづくりを進める自治体が増えています。発電所など設備建設、その稼動・維持において新たな雇用を生み出します。
 また、太陽光パネルの設置やバイオマス発電に必要な廃棄物の収集など、中小業者が役割を発揮できる分野としても期待されています。

全国商工新聞(2011年8月8日付)
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