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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2982号 7月11日付
 
 

全商連研究所シンポジウム「震災復興は住民主人公、地域循環型で」

 「震災復興は住民主人公、地域循環型で」をテーマに全商連付属・中小商工業研究所(研究所)は6月24日、衆院第1議員会館内で東日本大震災復興を考えるシンポジウムを開き、120人が参加しました。全商連の「緊急提言」発表後に行った研究者の調査・研究を踏まえ、被災業者を主人公にした生活と営業再生の方向や地域金融の役割を明らかにしました。

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被災業者主人公の復興のあり方を考えたシンポジウム

 研究所の遠藤強運営委員(全商連常任理事)が主催者あいさつ。復興基本法や復興構想会議の「第1次提言」に触れ、「被災者の声が反映されていない上から目線の計画だ。現地は今も大変な困難を抱えているが、国の役割が発揮されていない。被災者主人公の復興の方向を考えよう」と呼びかけました。日本共産党の吉井英勝衆院議員が特別報告をした後、被災地で調査活動をした研究者が問題を提起しました。

利益獲得狙う財界の復興計画
 駒澤大学教授・吉田敬一氏は「石油業法廃止に伴うガソリン不足や消防、公立病院の規制緩和、自治体合併など市場原理主義の欠陥が被害を拡大した」と指摘。「復興は財界・大企業の利益獲得の手段ではない。地域の多様性を生かし、中小業者・農林漁業を基礎にした復興計画こそ求められている」と述べました。
 名城大学教授・井内尚樹氏は、岩手県宮古市の建設業者が対策協議会を結成し、がれき処理の受け皿になっていることや、同県住田町が地元木材を活用して地元業者が仮設住宅を建設していることを紹介。「日本は資源が豊富にある。地域資源を生かしたエネルギー政策が必要」と話しました。
 地域金融の課題について静岡大学教授・鳥畑与一氏が報告。「復興には地域社会の再生が不可欠で、その担い手である中小業者を選別淘汰させてはいけない。再生ファンドによる債権買い取りでは『再生可能な中小企業』しか救わない。震災で被害を受けた地域金融機関への支援も必要」と強調しました。
 続いて被災地の現状が報告されました。

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報告するパネリストの皆さん

 「いまだに原発事故収束の見通しが絶たず、中小業者は営業が成り立たない。東電や国に損害賠償を求めたい」(福島)、「水産業の要である漁協が壊滅状態。船も90%以上が使用不能で造船所も被災し、自力では再建できない。海岸のがれき撤去に励み、早く元の養殖に復旧できることを願い働いている」(岩手)、「復旧・復興を支援する県民センターを立ちあげた。災害救助法や被災者生活支援法は施しではなく、その適用は被災者の権利であり、国の責任であることを確認した。村井嘉浩県知事の『水産特区』は漁業者の漁業権を奪うもの」(宮城)など厳しい実態と切実な要求を訴えました。
 フロアーから各団体の代表も意見を述べました。
 全国労働組合総連(全労連)の伊藤圭一氏は「広域行政や公立病院の統廃合が被害を拡大し、構造改革路線の誤りが証明された。政府がやろうとしている復興は大企業優先。中小業者が元気にならなければ地域は再生しない」と発言。全国官公需適格組合協議会の星野輝夫会長は「がれき撤去、道路、水道の復旧などに組合が立ち上がった。被災地の中小業者が官公需の受注機会を増やすために分離分割発注などが必要」と報告しました。

復興口実にした消費増税やめよ
 全商連の太田義郎副会長は復興構想会議「第1次提言」について「復興財源として『基幹税』の増税を求めているが、復興を口実にした消費税増税は容認できない」などの四つの問題点を指摘。阪神・淡路大震災を経験した兵庫県の参加者は「被災前の債務免除を要求することが重要。二重三重の借り入れ金で被災後16年間も苦しむことがないような対策が必要」と強調しました。

全国商工新聞(2011年7月11日付)
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