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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2976号 5月30日付
 
 

東日本大震災 被災地で相談会

・原発損害請求相談会120人 集団で被害申し立てへ=福島
・債務返済、税滞納税など 親身に相談=宮城・仙台

原発損害請求相談会120人 集団で被害申し立てへ=福島
 「被害状況出し合い東電に最大限の損害賠償請求を」―。福島県商工団体連合会(県連)は15日、二本松市内で第1回の「東電への損害請求相談・説明会」を開き、請求を集団で行っていくことなどを話し合いました。県内各地から弁護士を含め120人が参加。「民商と一緒に頑張りたい」と入会希望者も相次ぐなど、損害請求は大きな運動として広がっています。

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質問・意見が相次いだ「説明・相談会」

 相談会の会場は二本松市の男女共生センター。開催直後には避難を余儀なくされた被災者で立ち見も出るほど。正面には自由法曹団の弁護士14人がズラリと並びました。
 原発事故による損害賠償をめぐっては4月28日、原子力損害賠償紛争審査会が賠償の範囲に関する1次指針(右下の表)を発表。指針は政府による指示で避難や屋内退避を余儀なくされた被災者を対象に一定の賠償範囲を示したものの、区域以外での損害、風評被害については「今後検討する」としているだけ。中小業者の専従者、役員給与の補償などはまったく触れられていません。
 相談会は県連の紺野重秋災害対策本部長のあいさつに続き、秋元理匡弁護士が1次指針の解説とともに「原発の事故責任は100%東電にある」と強調。地元福島の渡辺純弁護士は「被害者が声をあげ、まともな賠償指針をつくらせること。合わせて仮払い運動を進めることを目標にしよう」と提起しました。

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東京・福島から駆けつけた14人の弁護士

集まって相談を
 県連の佐藤松則事務局長は損害補償をかちとるには、東電に「被害の申し立てをすることが第一歩」と指摘。その上で「損害額を最大に算出するため集まって相談すること」を呼びかけ、6月20日をめどに集団で申し立てをすることを提案しました。
 全商連の中山眞常任理事は損害賠償を求める運動の意義について(1)二度とこうした事故を起こさないことを東電・政府に迫る(2)今回の災害は人災。この運動は生存権を守り、エネルギー政策の転換を求めるたたかいだからこそ団結が必要-と強調しました。
 このあと被災者が被害の実態について次々と発言(別項)。弁護士からも「損害の根拠を説明することは必要だが、補償額を削られた場合、その立証責任は東電側にある」「放射能汚染によってリース物件が使用できない場合のリース料の支払いは東電にある」などの見解が示されました。

入会者も相次ぐ
 相談会を通じ、5人が民商に入会。その後も「民商に入って、一緒に請求しよう」の呼びかけに飯坂温泉のスナック経営者、塾経営者、浪江町に住む建築業者などが相次いで入会を表明しています。
 民商に入って30年になる農家は「多くの人はどこに相談に行ったらいいか分からない。こういう相談会ができるのも民商だから。みんなと一緒になって民商を含め多くの人たちが明日を生きる希望が見出せるようにしたい」と力強く語りました。

損害賠償請求までの流れ 1次指針で認められた主な原子力損害の範囲

県連も協議団体
 福島県連は20日、東京電力本店と交渉し、福島県連が損害賠償請求の協議団体になることで合意。福島原子力補償相談室地域相談グループの池田孝雄課長は「1日も早く仮払いができるようにしたい」との見解を示しました。

寄せられた営業損害の事例

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相談を受ける久保木亮介弁護士(右端)ら

☆原発から10キロ圏内で砂利の販売をしているが、営業が成り立たない。工場移転を考えているが、設備に2億円かかる。その補償がほしいが可能か。
☆10キロ圏内で左官、建築土木、農業をしている。車も重機もすべて放棄。田畑を買い上げてほしい。元の生活に戻してほしい。
☆20キロ圏内で飲食店。設備のローンをストップしているが、支払いはどうなるのか。損害額を算出しようとしても資料は家にある。概算で請求はできるのか。
☆30キロ圏外の郡山市在住。総工費1800万円の新築工事を請け負ったが、風評被害で施工主が建築を見合わせ工事がストップ。一方、設計料や材料費などは請求されている。
☆30キロ圏外。地域のまつりが中止。年間売り上げの3分の1を占めるイベント。祭りに向け大量におでんの材料を仕込んだのがムダに。請求できるか。
☆30キロ圏外。旅館を経営。県の要請で避難者を受け入れているが1泊3食(1人)で5000円。経営的に大変。キャンセルも相次ぎ、見通しが立たない。

債務返済、税滞納税など 親身に相談=宮城・仙台

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震災後の切実な問題が多く出された仙台民商の「なんでも相談会」

 「震災に負けず、1日も早い復興をめざそう」―。仙台民主商工会(民商)は17日、中小業者のための「なんでも相談会」を開催しました。12人の相談者が訪れ、債務整理や納税猶予など多彩な相談に民商役員・事務局員、弁護士、税理士らが相談に乗りました。

 酒小売の女性は、債務整理の問題で相談。消費者金融やカードローン会社へ過払い請求を行い、取り戻した過払い金で金融機関の返済に充てることにしました。
 「以前から滞納で悩んでいた」と話す建設業の男性は、消費税と社会保険料の滞納問題を抱えていました。
 消費税については、国税庁の「東日本大震災により被害を受けた滞納者に対する滞納整理について」通達を示し、「滞納額100万円未満は実地調査が省略されるなど要件が緩和された」ことを伝え、「滞納処分の停止」の活用をすすめました。社会保険料については、減免が難しいことを話し、年金事務所に分納を申し入れることにしました。
 また、4月7日の震度6強の余震で、店舗が全壊した場合のがれき処理の相談もありました。
 民商役員らは相談者一人ひとりの相談に親身に乗り、「全国の知恵が満載された全国商工新聞を読んで、共に頑張りましょう」と激励。店舗が被災した不動産賃貸の女性は、「一人で悩んでいても堂々巡りで答えが出なかった。相談に乗ってもらって安心した。前に進めそう」と笑顔で話しました。
 木村恵保民商会長は「今までの債務免除を求める声が多く出されている。再起にあたり、ゼロから出発できるよう運動を強めたい」と意欲を語りました。
 民商は開催前、「なんでも相談会」のチラシと全国商工新聞を入れたダイレクトメールを2000通用意。会場には、そのチラシを大切そうにファイルした相談者が相次ぎました。

全国商工新聞(2011年5月30日付)
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