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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2975号 5月23日付
 
 

原発事故・営業損害直ちに賠償を

 福島県商工団体連合会(県連)と同災害対策本部は4月28日、県に対し「東日本大震災からの救援・復興をめざす中小業者の緊急要請」を行いました。民主商工会(民商)から15人が参加。日本共産党の藤川淑子県議が同席しました。

支援融資などを県に要請=福島県連

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原発被害の損害賠償などを県に要請する福島県連(前列左が紺野災害対策本部長)

 要望は(1)原発事故に伴う営業被害の賠償を東電と国の責任で最大限行うこと。仮払い制度を設け、損害の半分は直ちに払うこと(2)避難地域以外の営業被害、風評被害などについても損害賠償すること(3)店舗・事業所に対し、住居に準じた再建・補修費用の助成(4)既往債務の返済凍結、債務免除(5)避難所の環境改善-など13項目。
 紺野重秋・県連災害対策本部長は、避難指示地域にある約8000の事業所(従業員約6万人)のうち94・6%が30人未満の中小企業であることを指摘した上、いまだ事故の責任を認めない東京電力の姿勢を厳しく批判。「迅速に事故の収束に努め、損害賠償に全面的に対応すべき」として、30キロ圏外を線引きすることなく損害賠償の受付・相談窓口の設置、賠償額の確定前の緊急仮払い、また県として事業者等への必要な支援に全力を挙げるよう求めました。
 応対した佐藤節夫・生活環境部長は「農業被害は30キロで切れない。中小業者についても、東電との因果関係があれば損害賠償を申し出るのは当然ではないか」との認識を示しました。「受付・相談窓口の設置」については、「県も4月29日から開設する」と回答。賠償問題に関して被害者が属する各種団体等で構成する連絡会議への民商・県連の参加についても「次回から参加していただけるよう検討する」と前向きの姿勢を示しました。
 半壊以下の住宅に対する再建・補修に必要な費用助成についても「岩手県の事業所再開への補助新設を参考に検討したい」と回答しました。
 交渉後、福島県は協議会の案内を福島県連に行うことを表明。また、5月の補正予算に中小業者の営業再開を支援するため、工場の修繕や設備費用を補助する制度や「ふくしま復興特別資金」融資の創設と3年間無利子化のための利子補給制度などを提案しました。

風評被害賠償へ 飯坂温泉で実態調査=福島民商
 福島民主商工会(民商)は4月30日、原発事故の影響で客足が途絶えた飯坂温泉街で被害実態のアンケート調査を行い「経営相談は民商に」と呼びかけました。黒森道夫会長や紺野重秋県連災害対策本部長など10人が参加。32軒から回答がよせられ1軒の旅館が入会しました。原発から65キロ離れた飯坂温泉でも影響は計り知れず、被害は町全体に広がり、深刻な状況であることを浮き彫りにしました。
 飯坂温泉は鳴子、秋保とともに奥州3名湯に数えられます。一番規模の大きいホテル聚楽では取締役が対応しました。「屋上にある30トンの水槽が壊れ、水が9階から上の階のすべての客室に流れ込み使えない。約2000人以上がキャンセルになり、9月、10月の客は断っている。8階から下は使えるので、原発事故があった浜通りからの避難者約40人、全国の警察官約170人、工事関係者100人を受け入れているが、今後1年間くらいはお客は来ないのでは」と不安を語りました。また「正規の従業員は解雇せず頑張っているが、パートや派遣は解雇せざるを得なかった」と苦しい胸のうちとともに、「今後、半壊・全壊に限らず、固定資産税減額など支援してほしい」と語っていました。
 別の旅館でも「4月25日から営業を再開したが7〜8割がキャンセル。原発が収まらないと客は戻らない」「地震が起きた3月は1240人のキャンセル、4月は900人、5月の連休もばったりで今後の予約はない」「現在は避難者などを受け入れているが、その人たちがいなくなった後が怖い」と不安の声を上げていました。
 また、「東電の社長が辞めるとか、役員報酬の減額の話が出ているが、原発を促進してきた歴代の役員を含め個人資産を売却してでも責任を取るべき」と東電の責任を問う厳しい声も聞かれました。

旅館以外も損害は拡大
 和菓子店では「本店を含めて3店あるが、1店は閉店した。旅館やホテルに菓子を納めていたが、返品はくるわ、注文は全然なくなるわで大変。本店では従業員5人を解雇した」、精肉店は「売り上げの7割が旅館。その6割がなくなった。どうなるのか不安でいっぱい。ぜひ5年据え置きの借り換え融資をつくってほしい」と家族4人が顔をそろえて語りました。
 民商への共感も寄せられました。今年2月に夫婦で開業したばかりという土産店は「飯坂温泉には堀切邸があって観光の目玉になっているが、地震と原発でお客が来ない。どうしてくれるんだという気分。3、4月は開店した2月より悪い。民商が提起する東電への損害賠償の考えは一致します」と話していました。さらに「旅館がお得意さん。地震後、全然仕事がない。自分が避難したいぐらいだ」(畳店)、「旅館に納めていたが、注文がない」(家電店)、「街が静かになり、旅館からの注文は全く来ていない」(鮮魚店)、「旅館は避難者ばかり。1人1泊3食で5000円と聞いている。安い米を注文してくるので、問屋と相談して探しているがもうけは出ない」(米店)など多くの店主が悲鳴を上げていました。
 民商では「東電は一刻も早く原発事故を収束させ、実際に損出を伴う風評被害には一刻も早く損害賠償せよ」と強く求めることにしています。

全国商工新聞(2011年5月23日付)
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