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  トップページ > 震災情報のページ > 全国商工新聞 第2974号 5月16日付
 
 

全国初 被災店舗・工場に補助金=岩手県


 岩手県は4月27日の県議会臨時会で、東日本大震災で被災した沿岸部の店舗修繕や工場施設の復旧を市町村と協調して補助する制度を提案、関連事業費として約9億円を計上しました。店舗などを対象にした補助は初めて。岩手県商工団体連合会(県連)が22日、店舗・工場などへの直接支援を求め、上野善晴副知事に要望した直後のことでした(関連記事)。

修繕費の半額支給 店舗200万円、工場2000万円
 新設される制度は、「中小企業被災資産修繕費補助」(修繕費補助)と、製造業を対象に原則5000万円以内を限度に補助する「被災工場再建支援事業費補助」(工場再建補助)の二つの事業。いずれも市町村の制度設計が必要です。
 「修繕費補助」は(1)被災店舗(中小小売業者、旅館業を含むサービス業者が対象)(2)被災工場(中小製造業者が対象)の二つに分かれ、被災した店舗の場合、補助上限は200万円程度で、工場の場合は2000万円が上限。それぞれ一定額以上で修繕した場合、その費用の半分を県と市町村が2分の1ずつ負担する計画です。予算は6億8000万円。被災時の従業員の維持などが条件となる予定です。「工場再建補助」は、被災時の従業員30人以上の企業が再開する際、5000万円を限度に工場(土地・家屋・設備)の再建費の10分の1を県・市町村が補助するもの。予算規模は2億2000万円。被災時の従業員の8割以上を雇用するのが条件で、被災時の従業員が100人以上の場合、限度額は1億円となります。
 県担当課は「応急的な手当てとしてこの時期に何ができるかを考え、修繕費への補助事業を提案した。全壊した店舗・工場への支援策は復興計画との兼ね合いもありこれからの課題」といいます。
 藤沢光一・岩手県連会長は「これまで店舗・工場への直接支援がなかっただけに画期的なこと。使いやすい補助事業にすることを含め、さらに直接支援を求めて運動を強めたい」と話しています。

県連 店舗・工場再建へ直接支援を要請

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上野副知事(右端)に店舗・工場などへの直接支援を要請する岩手県連メンバーと国分会長(左から3人目)

 「中小業者の営業再開と地域の復興は一体。従来の枠を超えた支援を」―。岩手県商工団体連合会(県連)は4月22日、震災被害救済と中小業者の営業再開に向けた支援を求め、上野善晴副知事に緊急要請しました。藤沢光一県連会長をはじめ県下の民商から11人が参加。支援に訪れていた国分稔全商連会長も駆けつけ、斎藤信・日本共産党県議が同席しました。

債務免除も訴え
 要請したのは(1)生活と営業再建への支援にスピード感をもって取り組むこと(2)既往債務の免除、無利子・長期間の制度融資の創設(3)店舗・工場再建への直接支援(4)復興計画に中小業者の意見を反映すること(5)中小業者の被害実態調査-など9項目。
 陸前高田民主商工会(民商)の佐藤吉郎会長=漁業・養殖=は、藤井裕久首相補佐官が全商連の要請(4月13日)に対し「海のがれき撤去は漁業者に任せたい」「(既往債務を)不良債権扱いしない」と発言したことを紹介。「港の修理を最優先にしてほしい」「昨年作った船が流され、使用不能。住宅ローンもあり、余力がない。借金の棒引きを」と強く要望しました。大船渡民商の新沼治会長は、港に積まれていた輸入木材、コンテナが津波の際に大暴れしたことを指摘し、「高台への設置等の検討を」「営業再開に向けて二重ローンにならない対策を」と発言しました。
 山田町の大杉繁夫観光協会会長は営業再開支援とともに「失業保険を支給延長し、地域の雇用継続をしてほしい」と求め、木村明宮古民商事務局長は「制度融資なども従来の延長線上でない、大胆な発想で施策を講じ、岩手県から発信を」などと訴えました。
 上野副知事は「皆さんにできる限りのお力添えをしたい」とした上で「国には従来にないような、思い切った大胆な制度、スキームをお願いしている」と強調。「県としてもいろんな工夫をやっていきたい。みなさんのお知恵を拝借できればと考えております」と決意を表明しました。
 国分会長らは要請後、県下の民商役員らと懇談。23日には陸前高田民商、大船渡民商を訪問し、被災状況を視察するとともに、激励しました。

全国商工新聞(2011年5月16日付)
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