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【弁護団声明】

(「NOON TRIAL SUPPORT」から転載)

NOON風営法違反被告事件検察官上告に対する弁護団声明

2015年(平成27年)2月4日
NOON裁判弁護団長
西川 研一

 大阪高等検察庁は,風営法違反罪(無許可営業)で起訴され,平成26年4月25日の第一審判決,平成27年1月21日の控訴審判決と,2度にわたって無罪判断を得た金光正年氏について,本日,最高裁判所に上告した。検察官は,金光氏の起訴,第一審無罪判決に対する控訴に続き,三たび過ちを犯した。私たちは,裁判所に非難されてもなお,時代遅れの法律の不当な拡大解釈に固執し,金光氏を被告人席に縛り付ける検察官の上告に強く抗議する。
 控訴審判決は,風営法の前身である風俗営業取締法により,ダンスホール営業が許可制とされた昭和23年当時に比べ,ダンスの多様化と,客にダンスをさせる営業の大きな変化により,規制の主な目的とされた売春と,ダンスホールやクラブの営業の結び付きが希薄化したことを指摘した。「客にダンスと飲食をさせるという指標により,男女間の享楽的雰囲気を過度に醸成するおそれのある営業類型とみなすことは,実態に即さず,困難とな」り,遅くとも,NOONが摘発された平成24年当時,「全ての種類,様式のダンスが3号営業の要件となるダンスに当たるとする解釈の合理性は失われていた」と述べた。
 風営法ダンス営業規制が時代遅れであることを明言し,「客にダンスと飲食をさせる営業は一律に公安委員会の許可が必要」とする検察官の主張を,目的に照らして必要のない範囲にまで規制を広げる不合理な解釈と断じたのである。
 さらに,風営法ダンス営業規制の対象は「立法当時から想定されていた,男女が組になり,かつ,身体を接触して踊るのが通常の形態とされているダンスをさせる営業」に限られると解釈した。この解釈に沿えば,ほぼすべてのクラブが風俗営業に当たらず,都道府県公安委員会の許可は不要である。一見すると,社交ダンス等のペアダンスをさせる営業の規制を承認したようにもみえるが,控訴審が発したメッセージの真意は,あくまで立法当時に想定された営業形態のみが規制対象であり,ダンスの多様化やダンス営業の変化を無視した規制趣旨の不当な拡大解釈が許されないことの強調にあったと解すべきである。
 控訴審判決は,検察官の「風営法の規制目的は性風俗秩序の維持だけではなく,薬物の蔓延,刑法犯の発生,騒音や振動等の環境に対する悪影響の防止も含まれる」との主張についても,「風俗環境の保持の一要素として副次的に考慮されるにとどまる」と述べ,拡大解釈を戒めた。控訴審における検察官の主張は,ほぼすべて退けられたのである。
 昨年,政府が閣議決定した風営法改正案は,ダンスを指標とする営業規制を撤廃する内容である。解散・総選挙により,一旦は廃案となったものの,開会中の通常国会で改めて審議されるものとみられる。にもかかわらず,検察官は,既に死に体となったダンス営業規制により,なおも金光氏を罪に問おうとしているのである。もはや何の正当性もない上告であることは,誰の目にも明らかである。
 音楽やダンスをはじめとする多様な芸術的表現の拠点であり,文化の発信拠点でもあるクラブの営業を承認するか否かは,わが国が成熟した文化国家であるかどうかの試金石である。最高裁判所は,金光氏が無罪であること,風営法ダンス営業規制は直ちに撤廃されなければならないことをはっきりと宣言し,時代遅れの風営法に引導を渡すべきである。私たちは,金光氏の無罪確定と,ダンス営業規制を撤廃する法改正の実現を目指し,改めて最善を尽くすことを宣言する。

   
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