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トップページ >  国保・年金のページ > 国保 > 全国商工新聞 第2827号 4月21日付

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後期高齢者医療制度は廃止せよ
こんな制度許せない
全商連が新たな署名提起

 
 
   75歳以上のすべての高齢者から保険料を取り立てるとともに、保険で受けられる医療の制限を狙う後期高齢者医療制度が1日から始まりました。65歳から74歳までの国保料(税)の年金天引きも始まっています。国民・中小業者の怒りが噴き出し、制度の廃止を求める声は大きく広がっています。全国商工団体連合会(全商連)は、同制度の廃止を求める請願署名を提起しました。高齢者を差別する最悪の制度は、廃止するしかありません。
署名用紙ダウンロードページはこちら

保険料なんと2.7倍に
  神奈川・川崎中原民主商工会(民商)のKさんは3月半ば、「後期高齢者医療制度」の通知と保険証が届き、民商の事務所に駆け込みました。保険料の計算方法を初めて知り、「こんなひどい制度は許せない」と怒りが込み上げてきました。保険料を推計したところ約16万円にも。75歳未満の妻の国保料7万円と合わせた金額はこれまでの2・7倍に跳ね上がりました。妻の国保料には後期高齢者医療制度への支援金が加わり、さらに高くなる可能性があります。
  市役所に問い合せてみても理解できない説明で「もう国で決まったことですから」の一点張り。「説明が不十分なだけではなく、決まってから9カ月間、何も知らせず、通知がきたのは実施からわずか2週間前。少ない年金から介護保険料と新たに後期高齢者医療制度の保険料が天引きされるのは許せない。長生きするなということか」とKさんは怒りが収まりません。

TVで告発 検査が年2回に
 福岡・八幡西民商のSさんとEさん夫妻=不動産管理=はテレビ朝日「報道ステーション」の取材を受け、実態を告発しました。
  Eさんは糖尿病で、毎月1回、検査を受けて病気の進行状況をチェックし、医師と相談しながら食事の内容、運動量を加減して10年来、体調を整えてきました。
  ところが、3月半ばに受診したとき「後期高齢者医療制度が始まると医師への報酬が包括点数になり、上限が設定されるので、糖尿病の検査は年2回が限度になる。政府は高齢者の医療費がかかり過ぎていると言っている」と説明を受けました。「冗談じゃない。1年間にたった2回の検査では体調管理はできない。財政不足だからといって命を縮めるのか」とEさんは納得できませんでした。
  3月末、再度の受診で「しばらくはこれまでどおりの診療にしましょう」と言われ、ホッとしたものの、「しばらくとはいつまでですか」と尋ねると「それは分からない」との返事。「年を重ねれば体力が落ち、病気がちになるのは自然の理。高齢者の医療費を削って命を縮めるのが政府の方針なら、そんな政府は必要ない。制度は中止、廃止させるしかない」とSさん夫妻は署名を集めています。

医師の間でも反対の声が
 医師の間でも制度に反対する声が広がっています。茨城県医師会は3月31日、「制度の撤回を求めて運動する」の声明を発表しました。「わずかな年金から新たな保険料を徴収し、さらに年齢により、人間の価値を差別する制限医療を目的とすることは明白。このような政策は、文化国家政府の許される行為ではない」と制度を厳しく糾弾。
  後期高齢者診療料(注)を算定せず、これまでどおり「出来高払い」で算定するように会員に呼びかけています。こうした医師会の動きは各地に広がっています。
  埼玉県保険医協会の理事を務めるY医師は「今回は後期高齢者診療料の算定は選択制になったが、国は制度化をあきらめたわけではない。背景には、日本の医療制度を根本から打ち崩す壮大な計画が隠されている」と指摘します。
  その一つが「主治医制度」の導入。主治医となった一人の医師が診療計画を立て患者を管理するもので、医療費削減が最大の狙いです。
  「この制度は患者が自由に医療機関を選択できない。主治医以外の受診は、主治医がその是非を判断し、必要と判断すれば紹介状を持って受診しなければならない。主治医の診療報酬は定額制で、手厚い医療をすれば医療機関の持ち出しになり、逆に手抜きをすれば医療機関のもうけにつながる。いずれは後期高齢者だけでなく、すべての患者を対象しようとしている」とY医師は強調します。
  さらに、Y医師は保険会社の発言力が強まりつつある政府の姿勢を懸念し、「公的医療制度を崩壊させて、保険会社に国民の医療をカバーさせ、もうけさせようとしている。こうした動きは日本の福祉社会の概念を大転換させるもので、大量の『医療難民』を生み出します」と危惧しています。

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神奈川・金沢区の社保協がとりくんだ署名行動には署名とともに怒りの声が寄せられました
「腹立ち、嘆かわしい」と怒りの署名
 後期高齢者医療制度がスタートした1日、全国各地でとりくまれた「怒りの行動」では、消費税増税や後期高齢者医療制度に反対する街頭署名が繰り広げられました。
  横浜市金沢区では横浜南部民主商工会(民商)も参加する社会保障推進協議会が街頭で宣伝し、多くの高齢者や若い世代が署名をし、怒りと困惑の声が寄せていました。
  80歳過ぎの男性は「私の年金は月3万ちょっとだけ。ここから新たに保険料をとるなんて。次の選挙で自民党を大敗させてやりたい」と政府を批判。
  もうすぐ75歳を迎えるという女性は「子どもの扶養からも外されるなんて、何という制度かと腹が立つやら嘆かわしいやら」と憤ります。
  この日の行動には俳優の竹中直人さんの父親の竹中弘美さん(80)もマイクを握って訴え。
  「とにかくひどい制度が始まった。1300万人いるといわれている高齢者に対する収奪だ。高齢者を病院にかかりにくくする制度は『うば捨て山制度』。高齢者から生きる希望を奪う後期高齢者医療制度は撤回させましょう」と呼びかけました。

(注)後期高齢者診療料
  診療報酬の点数を600点(1点10円、月1回算定)に制限する包括医療。必要な医療が制限される可能性があります。届け出が必要で、患者が同意しなければ算定できません。対象疾患は糖尿病、脂質異常症、高血圧性疾患、認知症、結核、甲状腺障害、不整脈、心不全、脳血管疾患、ぜんそく、気管支拡張症、胃潰瘍、アルコール性慢性すい炎。

 
     
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