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  トップページ > 平和・民主主義のページ > 憲法 > 全国商工新聞 第2812号 1月7日付
平和 憲法
 
京都で共感ひろげる「業者9条の会」のとりくみ
京都で共感ひろげる「業者9条の会」のとりくみ
 昨年の参院選で、国民は改憲を狙う安倍内閣に「ノー」の審判を下しました。しかし改憲派も巻き返しに必死。自民・公明与党と民主党は自衛隊の海外派兵恒久化を狙うとともに、憲法審査会を始動させる動きを強めるなど、今年は憲法を守るたたかいの飛躍が求められる1年です。こうした中、「9条を守れ」の一点で共同を広げる「9条の会」は全国で6801に(昨年12月)。中小業者の分野で多彩に活動する京都のとりくみを紹介します。

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詩人・作家の辻井喬さんを招いて発足2周年の記念集会を開いた京都中小企業9条の会
京都中小企業「9条の会」
「改憲に物申す」意見広告運動に反響

呼びかけ人京商連副会長 田口克己さん=ポリエチレン袋加工=
 中小企業分野で9条守れの多数派をめざしてとりくんでいるのが「『9条の会』アピールに賛同する京都中小企業の会」。3年前に100人を超す呼びかけ人と多くの賛同者を得て発足し昨年12月、作家の辻井喬さんを招いて2周年記念の講演会を開催しました。呼びかけ人の一人で京都府商工団体連合会(京商連)副会長の田口克己さん=ポリエチレン袋加工=は9条を守る地域の共同を広げています。
  出発点になったのは05年4月の京都中小企業家同友会の総会です。04年6月に作家の大江健三郎さん、評論家の加藤周一さんなど9氏が呼びかけた「9条の会」が発足して以降、京都では「中小企業の分野でも立ち上げが必要」との気運が高まっていました。
  総会では会の発足をめぐって論議になり、「賛成!立ち上げよう」「いや、政府のすすめる改憲に沿うべき。反対だ」など、意見が二つに割れたそうです。しかしその後、「今、立ち上げることが求められている」と有志が参加団体を募ることに。「平和でこそ商売繁盛」を掲げて運動してきた民商に声がかかったのです。
  5回の準備会を開き、「9条を守ろう」の一点で賛同を広げようと議論を重ね、発足総会を迎えました。
  日本経団連など経済3団体が改憲を打ち出すなか、当日は経済同友会の品川正治終身幹事の講演に約200人が参加。「中小企業は平和の中でこそ発展できる」と結成宣言で表明し、「9条の会」アピールへの賛同者や「憲法改悪反対署名」にとりくんできました。
  これらを力に、広げたのは、昨年3月から始めた意見広告「改憲に物申す」の運動です。「京都民報」を発行する京都民報社のwebサイトに、平和憲法を守る決意などを180字ほどにまとめ、顔写真や屋号、住所や電話番号も掲載したのです。
  府内の商工会議所幹部も「憲法9条を守るためなら」と承諾し、「天皇のために国民を戦争に駆り立て、中小企業も無茶苦茶にした、あの時代に逆戻りさせてはならない」と強い思いを語っています。安倍内閣が改憲手続き法の成立強行を強め、陸上自衛隊の国民監視活動が暴露された時期だけに、「その決意も大きかった」と田口さん。
  「平和でなければ何一つ始まりません。これは戦中・戦後を生き抜いた私の原点」と述べ、「経営を伸ばしたい」「安心して営業し、暮らしたい」という中小業者の要求をかなえるためにも、平和憲法は絶対に必要だと強調します。
  憲法改定を第一の公約に掲げた安倍内閣を崩壊させた昨年7月の参院選の結果に、「この国は捨てたもんじゃないと実感しました。『9条を守る』という一点が国民の魂に宿っている。そのことを、運動を通じてみんなが分かるとりくみに広げることが、われわれの役目です。それは、圧政と大資本の収奪から中小業者を解放する運動でもあります」と決意しています。

戦時食で悲惨さ訴え
憲法と平和の大切さを語る

中京料飲業者9条の会 上田チヨ子さん=料飲・仕出し=
 料理という得手を生かして憲法と平和の大切さを語る中京料飲業者9条の会の上田チヨ子さん=料飲・仕出し=。戦時食を振る舞いながら戦争体験を語り、平和憲法の大事さを訴えています。
  「戦争中は本当にひもじかった。空腹を感じなかったことはありません。空襲でも、米軍機の機銃掃射に襲われて何度も怖い思いをしました」という上田さん。
  当時、父親が兵庫県西宮市で割烹料理店を営んでいましたが、戦争の激化で統制経済が強まり、企業整備令で商売をやめさせられ、神戸の軍需工場に徴用されたといいます。国の命令に背いて商売をすることは非国民とされた時代。商売がしたくても言論の自由はなく、思ったことがそのまま言えるデモクラシーはありませんでした。
  「父は金属類や金物類などが供出される中、憲兵に見つからないように包丁やまな板を庭に穴を掘って隠していた」とふり返ります。
  お店のカウンターに並んだ戦時食はすいとん、コーリャン粉などを生地にお好み焼きのように焼いたもの、サツマイモの茎に見たてたゼンマイを炊いた三品。
  戦時中、米やみそやしょうゆなどの物資が配給制で制限されたため、だしも味もないものばかり。道に生えている草などもすいとん汁に入れ、カボチャの茎や葉など食べられるものはなんでも食べたといいます。
  上田さんは強調します。「どんなに苦しくても、あの時代には戻りたくありません。無限の能力を持った若者たちが特攻などでたくさん死にました。人も、文化も破壊する戦争は絶対にいやです。憲法9条を守り通すためにも体験を伝えていきたい」

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業者婦人の願いを込めた缶バッジ
9条バッジ願い込め
オリジナルグッズで対話に

伏見業者女性の会 藤本千賀子さん=呉服製造販売=
 9条の話が楽しくできるユニークな缶バッジを力に運動を広げているのは「憲法9条を守る伏見業者女性の会」。
  代表世話人を務める伏見民商婦人部の藤本千賀子さん=呉服製造販売=は、国民投票法(改憲手続き法)が強行採決されたことに危機感を募らせたと言います。
  「このまま憲法が変えられたら、本当に戦争になる」「子どもや夫の命が危ない。9条を守るためにできることをしよう」。婦人部では、情勢を学び、自分の思いをざっくばらんに語れる懇談会を開いて、昨年5月に19人で「憲法9条を守る伏見業者女性の会」を立ち上げました。
  そこで「何か対話のきっかけになる物を」「既製品の9条グッズではなく、自分たちの思いを込めたものを作ろう」とみんなでコンセプトをまとめ、会員の画家・月乃星綬さんにデザインを依頼。地球を9条の輪が守るイメージのバッジを作製することにしました。
  金色に輝く両輪の9の字は孫悟空の頭の緊箍児(きんこじ)。地球の上に9が二つ巻きつき、9条を変えて戦争を起こそうとすると、みんなの声(呪文)で9条の輪がしまり「改憲」を封じ込める‐というもの。
  バッジに込めた願いを聞いて2、3個まとめて買う人も。小売店では店先に置いて対話のきっかけにしています。
  「憲法9条って何?」という人も、バッジをきっかけに対話すると「憲法を変えられたら大変。私に何かできることがあれば」と変わり始めています。
  引き続きこのバッジに祈りを込め、9条を守る一点で運動を広げています。
 
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