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  トップページ > 地域のページ > まちづくり > 全国商工新聞 第2781号 5月14日付
地域 まちづくり
 
寄席でお客増えたで
天満天神 繁盛亭
大阪・北区 天神橋筋商店街
60年ぶりに上方落語の定席復活 地元の店主らが尽力
 大阪天満宮の参詣道ともなっているのが日本一長い(2・6キロ)天神橋筋商店街(440店)。天満宮の一角に昨年9月、落語家と商店街が中心となって上方落語の定席「天満天神繁昌亭」をよみがえらせました。商店街には着物姿の通行人が増え、寄席の始まりを知らせる触れ太鼓が響くと、店先から「帰りに寄ってやー」と呼びかける店主たちにも笑顔が。同商店街の北区民主商工会(民商)の会員たちは、新メニューを考え、もっとお客さんに楽しさを提供しようと張り切っています。

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昼席も大入満員の「繁盛亭」。独演会、一門会のときはファンが殺到します
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開席で商店街を三枝師匠や鶴瓶師匠らが派手に練り歩きました(06年9月、「しんぶん赤旗」提供)
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商店街と繁盛亭連盟ののぼり旗がズラリと並ぶ商店街の通り
 「繁昌亭」(250席)は連日大入り満員で立ち見も出るほど。商店街は休日の人出が以前の4割も増え、寄席の後は食事や買い物を楽しんでいます。
  「お客さんが『楽しかったでー』と店に入ってくる」と言う北区民商会員の山崎毅之さん(43)=うどん店=の店はいつも満席。カレーうどんは多くのテレビ番組で取り上げられるほどの逸品。山崎さんは「お客さんに育てられるんですわ。何度怒鳴られたか。それでいつもお客さんにぐっと来るうどんを考え続ける。カレーおじや、カレー皿うどん、ざるそばの返しで味付けした焼き鳥はお薦め。頑張れば人が来るし、店の器はそれで決まる。繁昌亭をきっかけにどう努力するかですわ」と意欲満々です。

天満宮の宮司さん 無償で土地提供
 上方落語協会会長の桂三枝師匠は「繁昌亭は上方落語協会の噺家の熱い想いに感じていただいた商店街の皆さま、ファンのお力で天満宮の神様が奇跡を起こしてくださった気がする。これを奇跡と言わずになんと表せましょう」(同協会発行冊子「んな あほな」会長ご挨拶より)と喜んでいます。
  大阪に300年の歴史を持つ上方落語の定席ができたのは60年ぶり。昭和の初めまで天満周辺には8軒の寄席があったものの、空襲で焼失。定席は協会の積年の夢でした。
  ことの発端は商店街の空き店舗対策。3年前、天神橋筋商店連合会会長の土居年樹さんと三枝師匠との出会いからでした。三枝師匠いわく、「噺家が商店街の活性化にお役に立つことでけへんやろか、空き店舗で落語やるとか」。天満に伝統文化を取り戻したい思いが伝わりました。
  土居さんは思案したと言います。「それでは仮のものになる」。思いついたのが「天満宮と商店街は運命共同体や」と言う天満宮の宮司さん。快く無償で土地を提供してくれることになり、事態が急テンポで進みました。建設募金は2億5000万円も集まり、寄席の天井は寄付した人たちの名前入りの提灯がぎっしり下がり、壮観です。
  土居さんは「大阪はキタとミナミだけやない。天満もあるんやでと思ってもらえたら」と期待を込め、「われわれ街あきんどの力でできるとは思わなかったが、おかげで大阪の芸能文化が増えた。文化のないまちは崩壊する。流通大手はまちを見守ってはくれない。まち守りの街あきんどが住み、商売に頑張っているからこそ次世代につないでまちが残れる。商店街は地域の心臓だ。繁昌亭と協力して知恵を働かせ、まちがよくなったなあと言われるようにしたい」と話します。
  「繁昌亭」も伝統笑芸の文化を広めようと新たな企画を始めました。ファンを広げようと中・高生向けに落語の体験学習を開き、団塊世代向けの落語家入門講座には60人が通っています。
  「商店街、地元の協力もあってできた」と話す「繁昌亭」支配人の恩田雅和さんは「聞いてもらうだけでは駄目だと思う。寄席はお客さんと落語家でつくる真剣勝負の場。その意味でライブだと思うし、楽しんでほしい」と言います。
  若手落語家も張り切っています。4月1日に繁昌亭をバイクで出発し、1年かけて全国を回り、落語と繁昌亭をPRする落語家もでました。

 
 
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