消費税10%の影響深刻
全中連 業界団体と意見交換

全国商工新聞 第3394号2020年1月20日付

「もっと声を上げねば」

 全国中小業者団体連絡会(全中連)は12月20、23、24の3日間、業界団体訪問を行い、全国中小業者決起大会(2月12日・別項)への賛同を要請するとともに、消費税10%増税から2カ月近くたった現況などについて意見交換を行いました。

決起大会賛同呼び掛け

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全国スーパーマーケット協会と懇談する全中連の岩瀬晃司代表幹事(左から2人目)ら

 全中連の代表幹事らが手分けをして18団体を訪問。JKの会(中小建設業者制度改善協議会)からは「全面的に賛同。参加する」との回答が寄せられ、多くの団体から消費税増税による景気後退の深刻な影響への懸念や、複数税率、ポイント還元、インボイスなど政府が進める施策への批判がこもごも語られました。
 全国スーパーマーケット協会には岩瀬晃司代表幹事、岡崎民人事務局長、中山眞幹事が訪問、島原康浩事務局長が応対しました。同協会は、食料品のスーパーを組織した団体で1958年に設立され60年以上の歴史を持ち、会員は約千社・2万店舗を数えます。
 消費税などの影響について2度のアンケート調査を実施したと紹介。10%後の消費動向について、約4割が「想定より悪い」と回答。今後の消費回復については「しばらく回復しない」が6割を超えています。

ポイント還元 公正ではない

 島原事務局長は「キャッシュレス・ポイント還元は、各カード会社がポイントを付けたりしているので、相当複雑になっている。公正ではないという声も上がっており、自腹を切って還元しているところもある」と早期終了を求めました。
 インボイスについては、「地方スーパーの仕入れ先には免税業者も多く、インボイスを出してくれと言わざるを得ない。こだわった商品も多いだけに、取引中止となればスーパーの魅力を下げることにもなりかねない。財務省には、何とかしてほしいと要望している」と指摘。「消費税増税、インボイス、複数税率、食品表示など商売がしにくくなるような施策が次々と出てくる。もっと声を上げていく必要があるのではないか。頑張ってほしい」と大会開催を激励しました。
 中小企業家同友会全国協議会(中同協)、日本商工会議所(日商)には住江憲勇代表幹事らが訪問。中同協の平田美穂事務局長は「10%増税や複数税率、インボイス制度に反対してきた。10月に『消費税影響緊急アンケート調査』を行った。55%以上の企業が価格に転嫁しきれず、何らかの形で自社負担している」と影響の大きさについて述べるとともに、「ポイント還元で現場は混乱。カード決済の手数料負担は大変だ。インボイスは理解されていない」と現状を語りました。
 日商・新田大介課長は、「インボイスには大反対。手間が増えるだけで、意味がない。今、軽減税率対策・影響の定点調査をしている。消費税増税などについて検証、評価をしていく必要がある。三村会頭は、『大企業と中小企業の共存共栄関係の構築』を言っており、中小企業が弱い発言力、立場に置かれ、大企業との格差が広がっていることを指摘している。小企業がなければ大企業は成り立たない」と述べました。

業界懇談会も案内

 この訪問では、全中連が2月26日に予定する業界懇談会と名刺交換会を案内し、参加を呼び掛けました。

10%増税などについて各団体の意見、状況

▽日本チェーンストア協会

 増税、複数税率対応について、大きいところは大きいなりにコストもかかっており負担感は大きい。消費税については、社会保障の充実のためという大前提があったので、10%程度までは協力していこうという思いがあった。何%が適当という議論はしていないが、複数税率は過重な負担になっている。「抜本的な見直し、即時撤回」を求めている。キャッシュレス・ポイント還元については、直ちに中止、少なくとも2020年6月以降の延長を行わないことを要望している。

▽全国飲食業生活衛生同業組合連合会

 増税以降、経営状況が悪化しているようだ。忘年会シーズンにもかかわらず冷え込んでいる。影響を把握するためにアンケート実態調査を始めた。免税点を3000万円に引き上げることを要望している。

▽全国建設労働組合総連合

 インボイスの問題は大きい。廃止・見直しにもっていかないと廃業が相次ぐ。急ぐ必要がある。

▽全国生協労働組合連合会

 8%増税時は需要の落ち込みもあったが、回復は早かった。今回は駆け込み需要もなく、10月以降落ち込みが戻っていない。

▽全国社交飲食業生活衛生同業組合連合会

 免税店を2000万円に引き上げることを要望している。ポイント還元は来年6月以降に影響が出るのでは。

▽日本書店商業組合連合会

 インボイスに関して、店主の高齢化で4年後に自主廃業する店舗が増えると予測している。キャッシュレスは3~5%の手数料負担が経営を圧迫している。

▽日本米穀小売商業組合連合会

 増税後の影響については特に聞いていない。食料品など値上げの影響の方が大きい。キャッシュレスの効果も疑問。インボイスは困る。

▽全国青果物商業協同組合連合会

 卸業者も減っており、衰退している。課題は山積している。複数税率・インボイス廃止のスローガンには賛同できるかもしれない。

2・12全国中小業者決起大会 要求を結集しよう

 2月12日(水)、開会午後1時~閉会後国会請願デモ 午後4時終了予定
 東京・砂防会館(千代田区平河町2の7の4)
 主催・全国中小業者団体連絡会(連絡先・全国商工団体連合会内 TEL03・3987・4391)

○大会スローガン

 消費税率5%で景気回復!
社会保障の充実を! 中小業者の経営支援強化、地域循環型経済の確立を!

【要求スローガン】

(1)税金の私物化許すな。消費税率引き下げ、複数税率・インボイス制度の即時廃止を
(2)兵器の爆買いをやめて復興予算に回せ。被災業者の直接支援を拡充し、被災地復興を急げ。
(3)大企業による優越的地位の乱用をやめさせ、公正な取引ルールと適正単価の実現を
(4)中小業者・国民の受療権を守り、国保と社会保険料の負担軽減、「減らない年金」を実施せよ
(5)改憲・大軍拡を阻止し、「戦争する国づくり」を許すな
(6)原発再稼働・辺野古新基地建設は中止せよ。核兵器禁止条約の批准を

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