どうなる複数税率・インボイスの実務(10)

全国商工新聞 第3386号2019年11月18日付

インボイス制度導入阻止を

 政府は2023年10月に、適格請求書等保存方式(インボイス制度)の本格導入を予定しています。インボイス制度が導入されると、請求書等への記載事項の増加や請求書等の保存が厳格化され、ますます事業者の事務負担が増加します。
 そればかりではなく、インボイス制度が導入されれば、適格請求書等がある仕入れしか税額控除ができなくなります。免税事業者は適格請求書等が発行できないため、経済取引から排除されることになります。そうなると、事業者間で消費税の扱いをめぐってさまざまな問題が生じます。国税庁は高みの見物です。
 では、免税事業者と取引している相手(親会社など)の消費税がどうなるか、表を確認してください。
 免税事業者からの課税仕入れができなくなると、相手法人の消費税額は大幅に増えることになります(※の消費税相当額の約300万円が仕入れ税額控除できない)。一方、免税事業者が事業者登録番号を取得し、課税事業者となった場合には、消費税が事業や生活に大きな負担としてのしかかります。

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 インボイス制度の本質は、商取引を行う事業者間で消費税納税額を調整させることです(この他にもいろいろな価格設定が考えられます)。
 その他にもインボイス制度が導入されると、多くの皆さんに影響があります。
 免税事業者とは、課税売上高が1千万円に満たない事業者のことですが、自動販売機を設置している、事業者に事務所や工場を貸している、何らかの手数料をもらっている、ホステス、一人親方など今まで消費税を意識したことがない多くの人が対象となり、課税事業者登録を迫られることになります。
 このように、消費税の増税や複数税率による事務負担などで厳しい状況にある事業者にさらにムチを打つのがインボイス制度です。インボイス制度導入反対を消費税減税、複数税率制度廃止と併せて取り組まなければなりません。(終)

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