確定申告のワンポイントアドバイス
(11)書類提出と提出期限

全国商工新聞 第3350号2019年2月25日付

所得税の青色申告、消費税の簡易課税は要注意

 今回は確定申告の際に必要な提出書類と提出期限について説明します。

〇確定申告時に併せて提出する書類

 確定申告で控除を受けるために必要な必要書類で代表的なものを表にしましたので、確認してください。年末調整を行わない個人事業主の提出書類は数多くあります。
 事業所得(不動産を含む)で申告する人の収支内訳書について、国会の付帯決議で、小規模事業者に過大な負担を押し付けてはならないとしました。収支内訳書の提出よりも自主計算をきちんとやっておくことの方が重要だということです。
 寄付金があった場合の控除書類は、発行団体の関係で申告期限に間に合わないこともありますが、その場合であっても後日、控除書類を提出すれば大丈夫ですので、当初申告時に寄付金控除の記載をしてください。
 医療費控除と住宅借入金控除については本連載の第6回で解説していますので、参考にしてください。

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〇所得税・消費税に影響を与える届け出

 次に、申告自体に影響を及ぼす提出書類のうち、特に重要なものを紹介します。税額計算に影響を与える届け出の代表的なものは、所得税では青色申告書承認申請書、消費税では簡易課税制度選択届出書です。
 所得税は原則、白色申告です。青色申告では記帳義務が課されますが、代わりに青色専従者控除や青色申告特別控除などの特典を与えました。一般には白色申告でも記帳義務があるという人もいますが、法律には税務調査の際に帳簿を確認すると書いてあるだけです。事業規模にあった記録があれば問題ありませんので、小規模事業者は、作成した申告書が、作成の基礎となった帳簿と考えてよいでしょう。
 仮に青色の承認を受けたい場合には、青色申告書で申告しようとする年の3月15日(2019年から青色申告で申告したい場合には2019年3月15日)までに青色申告書承認申請書の届出書を提出してください。
 基準期間の課税売上高が1000万円を超えた場合には、個人事業者であっても消費税の納税義務が生じます(住宅家賃は課税売上とはなりません)。
 消費税は原則として課税売り上げにかかる消費税から課税仕入れにかかる消費税を差し引いた金額が納付する消費税額となります。簡易課税の届け出をしておけば、「みなし仕入率」を用いることにより消費税の計算を簡便に行うことができます(課税売上5000万円を超えると使えません)。ただし、簡易課税制度を利用した場合に消費税の「損税」が生じることもありますので、簡易課税制度を利用するかは慎重に検討してください。
 なお届出書の提出期限はその課税期間が始まる日の前日ですので、2019年に簡易課税の適用を受けるには2018年12月31日までに届出書を提出しておく必要がありました。消費税の申告期限は所得税と異なり、3月31日です。
 このように、届け出一つによって税金の計算が異なることがありますので、諸先輩や仲間のアドバイスを得ながら、良い申告ができるようにしてください。

(税理士・佐伯和雅)

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