不当な調査はね返し
納得の税額で終了

全国商工新聞 第3388号2019年12月2日付

追徴1300万円から大幅減 民商の仲間に励まされ

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名古屋南民商が開いた税務調査対策会議

 突然、自宅を訪ねてきた税務署員に、1300万円の所得税と消費税の追徴を言い渡されたSさん=スナック。名古屋南民主商工会(民商)に入会し、納税者の権利を主張して不当な調査とたたかい、11月6日、納得して調査を終えました。「初めは7年さかのぼると言われてどうしようかと思ったけれど、3年しか応じないと主張し、追徴金が4割以上も減った。民商に入ったから頑張れた」と喜んでいます。

 30年以上、スナックを経営しているSさんは毎年、税務署で申告し、これまで税務調査の経験は一度もありませんでした。そこへ事前通知もなく突然、熱田税務署の2人の署員が自宅を訪ねてきたのは7月16日。断れないと思って事務所に案内すると、申告で使った資料の提示を求められました。
 「追徴課税は何年ですか?」と署員に尋ねると「7年です」と言われてびっくり。「3年と聞いていますが、7年ですか」と再度聞き返しても「そうです」としか言わず、署員は3年分の資料を持って帰りました。

何の説明もなく

 3日後、来訪した署員は何の説明もなく、「追徴金は1300万円です」と言い放ちました。
 驚いたSさんは分納を申し出て「今払えるのはギリギリで500万円」と言ったところ、所得税と消費税、加算税に分けて納付書を書かされ、2、3日以内の納付を約束させられました。しかし、一夜明けて冷静に考えると、1300万円の根拠も聞かないまま、払うことに合点がいかず、「納付できない」と電話。常連客が民商の話をしていたのを思い出し、7月25日、民商の事務所を訪ねて相談しました。「税務調査には事前通知が必要で、1300万円の根拠も示さずに納付書を書かせることや、調査に入る前から7年遡及するのは不当な調査。一緒にたたかいましょう」と励まされ、その場で入会し、たたかうことを決意しました。

統括官も疑問視

 その後、何度も署員から「会いたい」と電話がありましたが、「数字の根拠が示されない限り会わない」とはっきり伝えました。9月6日に署員が臨店。役員と事務局が立ち会い、事前通知をしなかった理由や7年遡及の根拠を問いただしました。署員は立会人を理由に説明せず、「立会人を拒否する法的な根拠」を聞いても「勉強不足で覚えていない」など無責任な回答に終始。「調査が不当すぎる。税務署と直接交渉する」と言って、調査を延期させました。10月17日の税務署交渉では、個人課税第1統括官も「そんな調査はありえない。確認させてほしい」と言わざるを得ませんでした。
 4回目の調査では、数字を説明するものの、調査内容は一切触れずに3年分と7年分の追徴金を提示。Sさんは「3年なら検討するが、7年は応じられない」ときっぱり主張。数日後、署員は「3年分の結果です」と追徴金の根拠を説明し、収支内訳書に記載された経費を全て認め、未記載だった通信費や自動車の減価償却費、自宅のうちの事務所代も経費に入れていました。
 売り上げ計上漏れなどがあり、追徴金が発生しましたが、Sさんは納得して修正申告に応じました。

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