徴税攻勢・納税者の権利
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住民側の全面勝訴が確定した「
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行政庁と審査委員会に大きな軌道修正を迫る |
東京都港区赤坂の住民が東京都固定資産評価審査委員会に「口頭審理はきちんと審査していない〈審理不尽〉である」と訴えていた裁判で10月6日、最高裁は審査委員会の上告棄却の判決を出し、住民側の全面勝訴が決定しました。
90年代に入り土地バブルは崩壊しているにもかかわらず、当時の自治省が出した評価額「公示価格の7割通達」によって、94年からは都心の住民には、担税力をはるかに超える5倍にも跳ね上がった固定資産税を賦課してくる状況となり、港区、新宿区、千代田区の民商会員が中核になってビルのオーナーを中心に200人を組織して「高い固定資産税から営業と住まいを守る会」を設立し、活動を続けてきました。
赤坂の当会会員3人が00年、「固定資産税台帳の登録価格は適正な時価を超えている」と審査委員会に審査を申し出て、評価額よりずっと低い近隣の2件の取引実例を提出し、「東京都が評価額を決定するに当たって参考にする基準地価格は、実勢価格を超えている」と主張しました。
審査委員会は取引事例などには見向きもしないで、「『評価基準』通りに評価しているから評価額は適正である」として申し出を棄却する決定を下したのです。
会員らは「審査委員会の決定には審査を尽くさなかった〈審理不尽〉違法がある」と東京地方裁判所に行政訴訟を起こし、東京地方裁判所は04年2月、住民側全面勝訴の判決を下しました。しかし、審査委員会は東京高等裁判所に控訴。
東京高等裁判所は05年7月、2つの取引事例が公示価格水準と異なることを根拠に、不適切事例に当たるとして、「これを無視した審査委員会の対応は売買実例の検討自体を拒否するもので許されない。審査委員会の決定を取り消す」と控訴棄却の判決を下しましたが、審査委員会は最高裁に上告しました。
最高裁判所は10月6日、審査委員会の上告を受理しない決定をし、それによって東京高裁が言い渡した判決が確定しました。
従来、固定資産税の裁判で確定している判例では、土地の評価額が適正な時価を超えていれば超えた分は減額すべきである、とした個別の事例を争っているのが大部分です。
この決定では、(1)評価額が適正な時価を上回れば、たとえそれが評価基準に従って決定されても、その決定は違法である(2)評価額が提出された取引事例を上回ると認められたときは、審査委員会は評価額が適正な時価を上回るものであるかを具体的に判断し、上回れば個別に評価することも検討すべきである‐としています。
判決文では、「本来検討すべきであるのにかかわらず、真摯な検討を怠ったもの(審理不尽)」と断じています。
さらにこの決定は、審査委員会が「評価基準」「公示地価格」「基準地価格」を聖域化せず、必要があれば個別に検討して客観的時価を評価することも求めています。
従来、審査委員会は、評価基準にのっとって評価していれば適正な価格であるとしていましたが、おざなりな口頭審理を開いてきた行政庁と審査委員会に大きな軌道修正を迫るものとして、その影響は全国的に非常に大きいものと考えます。
決定を受けて当会は1日、東京都固定資産評価審査委員会に「直ちに審査委員会の開催を求め」、都知事、都議会議長には、審査委員会の権能と評価方法を十分理解し、適法な審理、判断をなしうる委員構成となるように求めた「審査委員会の委員人選について」の要望書を提出しました。 |
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