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徴税攻勢・納税者の権利
1258万円 先日付小切手 取り戻す
三重・四日市民商 国税局の脅しに抗して
 「このままでは不渡り。従業員と家族を守りたい」との運送業者の相談を受けた三重・四日市民主商工会(民商)はこのほど、先日付小切手1258万円分を取り戻し、名古屋国税局に分納計画を認めさせました。
 三田浩さん(仮名)は、従業員50人と車両50台を有し、得意先に上場企業もある、市内では比較的大きな運送会社の社長です。売り上げ減で消費税を中心に約1400万円の税金を滞納。4月に国税局の署員3人の訪問を受け、「6、7月は100万円ずつでいいが、8月に残額1200万円を一括完納せよ」と迫られました。署員は「できない場合は売掛金を差し押さえる」とどう喝。「つぶれてもいいということか」との質問に、「税金は期限内に納めるもの。待つだけのメリットがない」と言い放ち、得意先名簿をコピーし、先日付小切手を切らせて、持ち帰りました。
 三田さんは、ホームページで民商の存在を知り、四日市民商に相談して入会。民商の役員らとともに5月25日、名古屋国税局と交渉しました。三田さんは「3年間で1億2000万円もの税金をちゃんと分割納付してきた。倒産に至れば多くの従業員と家族が路頭に迷う。これまで通り分納を認めてほしい」と要望。役員らが「国会で国税庁は先日付小切手を強要しない、納税者の実情に十分配慮すると答弁している」と批判すると、局側は「社長としか話ができない」と交渉を拒否。「なぜ請願書を出したのか」と電話で脅してきました。
 この問題を重視した民商の税金対策部は6月5日、国税局の納税者支援調整官(注)に実情を訴え、再度国税局との交渉の場を設定してもらいました。
 交渉のなかで国税局側は、先日付小切手の返還をしぶしぶ約束。「5月末期限の新規発生の消費税の一部を7月20日までに納付することを条件に相談に応じる」との回答を引き出し、その後、12月までの分割納付を認めさせました。
 税金対策部に参加した三田さんは「民商の力の大きさにはびっくりしました。これでなんとか頑張れます」と喜びを語り、役員からは「国税局には国会での答弁を守らせなくては」「粘り強く交渉した成果。民商の出番だ」などの決意が交流されました。

(注)納税者支援調整官 01年6月、財務省組織規則により設置。納税者から寄せられた苦情及び困りごとについて、納税者の立場に立って迅速かつ的確に対応することが任務とされている。
 
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